カーライフで「CarPlay」が手放せない理由 普段のスマホ体験がクルマに拡張、ただし見落としがちな注意点も(2/2 ページ)
筆者が愛用しているスマートカー「BYD SEAL」で、CarPlayは欠かせないツールとなっている。CarPlayの使い方はとてもシンプルで、有線なら車内の対応するUSB端子に付属のケーブルでiPhoneを接続するだけでよい。データ容量やテザリングの併用など、注意点もある。
意外とデータ消費量が多い? Wi-Fiテザリングの併用ができない点にも注意
便利なCarPlayだが、使っていくうちに意外な注意点もある。CarPlay接続とはいえ、各種通信はスマートフォンのものを利用するので、従来のナビと比較して多くデータ量を消費する点は注意が必要だ。
一例として、データ消費量の多さを挙げたい。筆者が2時間運転した際のデータ消費が300MB(0.3GB)だった。この間利用していたのはApple MusicとGoogleマップの2つ。あとはLINEの着信が1回あったくらいだ。
通信データ量については、大多数がストリーミングアプリでの利用だった。音質設定を見直したり、事前に音楽をダウンロードしたりすることで大部分は解決する。マップアプリは必要なエリアだけ事前にオフラインマップにしておけば、データ量を抑えて使うことができる。
筆者は月100GBの契約なので容量不足に陥ったことはないが、音楽ストリーミングサービスを多用すると思った以上にデータを消費していることがあった。車のスマート化と合わせて、必要に応じて通信プランを見直すとより便利に利用できそうだ。
古いiPhoneを車載用で利用するユーザーの中には「古いiPhoneを車内に入れっぱなしにする」という使い方も見受けられる。これにも注意が必要だ。有線接続の場合、ケーブルの長さや収納の位置関係で、iPhoneをさっと出せない場所に置かざるを得ないことも理解はできる。とはいえ、これは高温になりかねない車内にスマートフォンを放置することになるので、発火等の思わぬ事故を招きかねない。
古いiPhoneであれば、経年劣化でバッテリーが劣化していることもあり、危険度はさらに大きくなる。高温になる環境では、iPhoneを車内に放置することは控えよう。
ワイヤレスでCarPlayを利用する際の注意点もある。CarPlayではWi-Fiで車とiPhoneの通信を行う関係上、iPhoneのWi-Fiテザリングとの併用はできなくなる。車内で他端末を利用する際は車内Wi-Fiを準備するか、iPhoneを有線CarPlayで接続する必要がある。
なお、ワイヤレスCarPlay対応はここ数年の新型車が中心になっている。既存車両では利用できないものも多いが、市販アダプター(1万円前後)を使えばワイヤレス化できる。さらにBYDのようにOTAアップデートで後付け対応するケースもあり、今後は急速に普及が進むだろう。
車のインフォテイメントをスマホ化したら、もう普通のナビには戻れない
CarPlayを実際に使ってみて感じたことは、「カーナビはCarPlayでいい」ということ。ナビ、音楽、通話、メッセージの全てをiPhone経由で車内システムに統合できることで、カーライフが大幅に快適になる。
CarPlayはスマートフォンのような操作感、機能性を備えつつ、従来のナビゲーションよりも軽快な動作を体感できる。スマホの内容をそのまま使うので、事前に目的地をブックマークしたり、楽曲再生プレイリストを作っておいたりもできる。マップなどの普段使い慣れたアプリがそのまま車載ディスプレイに展開され、音声操作で直感的に扱える。カーナビのUIをスマホ化したらここまで便利なのかと実感した。
ただし、スマホ側の通信量が増えることや車両側の対応状況といった課題も残る。今後は中国勢やテスラが先行するAIアシスタントとの統合や、クルマ自体のインフォテインメント進化によって、今の「スマホ依存型」から「車内完結型」へとシフトしていく可能性もある。そのような意味ではCarPlayやAndroid Autoはコネクテッドカーに移行する過渡期の存在なのかもしれない。
それでも現時点では、CarPlayは「カーライフを一段階進化させる最適解」と断言できる。
著者プロフィール
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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