「駅で逆上し、列車遅延に」──“撮り鉄”の危険行為に広がる懸念 JR東日本が注意喚起(1/2 ページ)
人気の列車や珍しい車両を一目見て記録しようとする「撮り鉄」による迷惑行為が目立つ。近年は一眼レフを持たず、スマホで高画質撮影しSNSや動画サイトに即時アップロードできる。スマホ撮影からトラブルにつながる行為が目立つようになった。
人気の列車や日頃はなかなか見られない珍しい車両を一目見て記録に残そうとする、いわゆる「撮り鉄」による迷惑行為が目立つようになっている。特に、近年では一眼レフのような大型の機材を持ち運ばずに、スマートフォンのカメラで高画質に撮影し、それをSNSや動画サイトにすぐにアップロードできる時代になったからなのか、「スマホ撮影」からトラブルにつながる行為を見る機会が増えた。
スマートフォン1つで一眼レフ並みの高画質な撮影ができ、それを即座にSNSや動画サイトへアップロードできる時代になった。その手軽さからか、「スマホ撮影」が原因となるトラブルを招く行為が近年増加している(出典:スマホ教室の記事)
駅のホーム・構内での撮影行為の現状
SNSやネット上には、駅構内における撮影行為について多数の意見が寄せられている。例えば「ホームドアが設置されると撮影しにくくなる気持ちは分かりますが、だからといって柵から身を乗り出してまで撮影する必要はないのではないでしょうか」といった声や、「地下鉄の貴重な車両を撮影したいという強い情熱は理解できます。しかし、柵から身を乗り出して列車と接触しそうになるほど接近したり、駅員の注意を無視して撮影を続けたりするのは、非常に危険であり疑問を感じます」といった指摘がある。
また、「昨日、電車が遅れている状況で、スマートフォンを持ったお子様が隣のホームを歩き回り、点字ブロック(黄色い線)の外側に出て次々と電車を撮影していました。その後、自分のいるホームにも現れ同様の行動をしていましたが、混雑時には非常に迷惑ですし、何より危険でした」といった具体的な体験談もネット上に上がっている。
「昨日、電車遅延中にスマートフォンを持った子どもが隣のホームを歩き回り、点字ブロック(黄色い線)の外側に出て次々と電車を撮影していた。その後、自分のホームでも同様の行動をしていたが、混雑時は非常に迷惑で何より危険だった」という体験談がネットに上がっている
さらに「安全面や迷惑行為の観点から、駅のホーム内ではスマートフォンを含むすべてのカメラ類の使用を禁止にするべきではないでしょうか」と、規制の必要性を訴える意見もある。「歩きスマホも危険ですが、撮り鉄の方々も同様に周囲への注意が必要です」という指摘もあり、撮影行為に伴う注意義務の重要性を強調している。「撮り鉄のマナー違反」というとスマートフォンでの撮影者が批判されがちだが、線路への立ち入りなどは、むしろ一眼レフカメラを持つ層にも見受けられると指摘されており、「機材の違いとマナーの善しあしを結び付けるべきではありません。撮影スポットで場所を占領するのは困りますが、真面目に撮影する分には機材は関係ないはずです」といった意見も目立つ。
スマートフォンでの撮影は手軽に撮れる反面、撮影に意識が集中しすぎて周囲への注意が散漫になりがちで、その結果、鉄道撮影においても事故やトラブルにつながるケースが多々あるとされる。実際に「ホームドアがあっても身を乗り出す人はいますが、設置されていないホームはさらに危険です。柵がない分、ホームから身を傾けて撮影する人がいました。他の方が危険だと注意したところ、その撮影者が逆上し、結果として非常停止ボタンが押され、列車が遅延するという最悪の事態になりました」との事例も報告されている。トラブルによって非常停止ボタンが扱われた際には、駅構内にはブザー音が鳴り響き、「ただ今、列車非常停止ボタンが扱われております。そのため運転を見合わせている電車がございます」というアナウンスが流れ、多くの利用客に迷惑がかかる結果となった。
スマートフォンでの撮影は手軽だが、集中しすぎると周囲への注意が散漫になり、鉄道撮影でのトラブルにつながる。ホームから身を乗り出して撮影した人が注意され逆上。結果、非常停止ボタンが押され列車が遅延する事態も発生した(画像は非常停止ボタンが押された際の列車のイメージ)
沿線・踏切周辺における危険行為
駅から離れた場所での撮影行為も危険が指摘されている。例えば「駅から離れた場所を車で通りがかった際、線路近くの不安定なブロック塀の上に乗り、柵を越えて撮影している方を見かけました。線路側に転落したら非常に危険です。柵の内側から撮影しても、写真はそれほど変わらないように思います」との意見がある。小学校低学年くらいの男の子2人が踏切の外側でスマートフォンを使って電車を撮影している光景はほほ笑ましいが、「遮断機が上がった直後に車の前を走って横断するのは大変危険ですので、控えていただきたい」と注意を促す意見も上がっている。
また、車で踏切を通過した際に線路内に侵入して撮影する人もおり、「常識的に考えて非常に危険な行為であり、まだそのような行動をする人がいることに驚きました」と述べられている。遮断機が降りているにもかかわらず平気な顔で撮影しようとする人もおり、ネット上には「そうした想像力が欠如した行動が目立つという意見はネット上に多く上がっている」という声も見受けられる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
スマホの電池切れ、改札通過に支障? 「駅に充電器を置いて」に「求めすぎ」の声 最終手段は“あの原点回帰策”
駅中でスマートフォンのバッテリーが切れたら、改札を通過できないのではないのか……? こんな疑問や困り感に関する声をネット上でよく見かける。中には「駅中でモバイルバッテリーレンタルサービスを必要とする」意見も散見される。一方、「鉄道会社側に求めすぎじゃないのか?」と批判の声もある。解決策はあるのか。
「モバイルSuica/PASMO」の誤解を解説 バッテリー切れだと使えない? クレカなしだと定期を買えない?
新年度を迎え、鉄道やバスの定期券売り場は大変混雑しています。人によっては「モバイルSuica」や「モバイルPASMO」を使えば並ばずに定期券買えるのに……と思うのですが、いろいろ“怖くて”一歩を踏み出せない人もいるようです。よくありがちな“誤解”について解説します。【訂正】
モバイルSuicaでやってはいけないこと トラブルを防ぐ7つの心得
スマートフォン1台で電車に乗れて、コンビニや自販機での支払いもできる。だが、その利便性の裏には「思わぬ落とし穴」も潜んでいる。モバイルSuicaを使ううえで注意すべき「やってはいけないこと」を7つの観点から紹介する
Suicaでやってはいけないこと4選 タブーを犯すと罰金徴収や没収に
電車やバスへの乗車時に必要なSuica。日本人で特に関東圏内に在住する人なら目にする機会が多いはず。カード型のSuicaを使用する際に知っておきたい基本情報とやってはいけないことを紹介する。
スマホのバッテリー切れでもSuicaで改札通過できる? iPhoneで検証してみた
「モバイルSuica」で改札を通れない理由の1つに「スマートフォンなどのバッテリー切れ」が挙がるが、実際はどうなのだろうか。端末のバッテリーが全く空になるとモバイルSuicaで改札を通過できないが、端末によってはわずかに余った電力で、起動せずとも改札を通過できる場合がある。条件や使い方を確かめた。