なぜ? まるで“ガラケー”の「ケースマ」を日本に投入するワケ 異色の韓国メーカーALTに聞く戦い方(2/3 ページ)
韓国のALT社が日本市場へ参入し、テンキー付きスマートフォン「MIVEケースマ」を第1号機として投入した。同社は大手出身者が集う少数精鋭のメーカーであり、ドコモの3G停波に伴うシニア層の需要取り込みを狙う。独自カスタムの入力システムやサポート体制を整備し、今後は5G対応モデルの展開も視野に日本定着を目指す。
ドコモの3G停波に商機 差別化するならキッズよりもシニア
―― 日本で最初に発売したのがケースマだったのは、やはりドコモの3G停波のタイミングを狙ったのでしょうか。
金氏 もちろん、3G停波はあります。うちが持っているリソースがそれほど多くないので、複数同時は難しかった。3G停波があり、日本で最初に出すときにどういったものを出せば差別化できるかを考えた結果、シニア向けになりました。
―― 確かにキッズ向けは、普通のスマホでもなんとかなりますからね。
金氏 そうなんです。日本市場のキッズ向けAndroidは、そこまで大きくない。子どもでもiPhoneや普通のAndroidを使っていて、ネイティブの機能として見守りも搭載されています。ただ、キッズフォンはAOSP(AndroidベースのカスタマイズしたOSでGoogle Playは使えない)のものなので、チャンスはあります。韓国ではキャラクターを含めたトータルパッケージで提供していますが、そういったところに割けるリソースがまだなかったのも大きいですね。
―― ポケモンやポムポムプリンなど、日本発のキャラクターを起用したモデルが多いのが印象的でした。ただ、版権の交渉もあると時間はかかりそうです。
金氏 日本と韓国で、かつ男女共通でお子さんに好かれていて、長く愛されるものとなると、やはり日本のキャラクターに行きつきます。日本にはキッズ向けのスマホはあまりありません。これはキャリアも同じ課題を抱えているかもしれませんが、いざ初めてのスマホを持つとなると、ある程度の年齢になっているので、入口がiPhoneになってしまう。Androidへのニーズがあるのは承知しているので、キッズもやっていきたいとは考えています。
―― どちらかといえば、スマホより低年齢に向けたキッズ用ケータイを置き換えていくイメージでしょうか。初めてスマホを持つ年齢も、徐々に下がってきています。
金氏 韓国と似ている点と、異なる点があります。日本の場合、特に公立の小学校だと学校に端末を持ち込めない(ことが多い)。家と学校が近いので、学校には持っていけず、帰ってきて使うだけになってしまいます。一方で、韓国は高学年になると学校へ行き、そのまま帰らずに塾へ行って、帰ってくると夜になっているので、スマホがどうしても必要になります。学校の持ち込みもOKになっている。日本だとスマホ以前にキッズ向けケータイですら持ち込むのが微妙ですよね……。
ケータイとしては大きいサイズの理由 使い方とGoogleの仕様が関係
―― ケースマに話を戻すと、STYLE FOLDERとして韓国で発売された際には、どのようなユーザーに受け入れられたのでしょうか。
金氏 シンプルで、メインはガラケーユーザーです。韓国だとLINEではなくカカオトークですが、これがないと自分の家族や友人ともコミュニケーションが取れない。初代を発売したのはコロナ禍でしたが、韓国では接種証明がないとレストランにも入れませんでした。もちろん、接種証明は紙でも発行できましたが、それだと不便なのでスマホで持ちたいという社会的なニーズもありました。
その反面、純粋にガラケーの代替機として使っている方もいました。日本でも、そういったニーズはあるかもしれません。そのため、機能の1つとして、タッチパネルを無効化することができ、これを使うとキーボードだけでの操作になります。LINEもいりませんという方は、これを有効にすればほぼガラケーと同じになります。
―― おおっ。そんな機能があったんですね。これだとLINEは操作できないのでしょうか。
金氏 電話、メッセージとあとはプリインアプリだけになります。
―― 一方で、ケータイとして考えると少し大きいような気もしました。これはなぜでしょうか。
金氏 大きく、理由は2つあります。LINEやカカオトークのようなメッセンジャーを入口に、YouTubeなどを使い始める方が多いからです。実際、韓国では最初に0.5GBや1GBなどのプランを契約しますが、いざ使い始めるとYouTubeを見出し、料金プランを3GBや5GBに変える現象が起きています。そのあたりまで考えると、ディスプレイは大きい方がいいとなり、最新モデルは4.3型になっています。
もう1つの理由は、純粋にGoogleのAndroidの仕様で、最小サイズが4.3型だからです。以前は4.0型でした。持ちやすいまま画面を大きくはできないので、このような形になっています。一方で、スマホとして使っていただきたいという思いもあります。韓国でも最初は大きいと捉えられましたが、使ってみるとこちらの方がいいと評価をいただけています。
―― 画面の文字も大きくなりますしね。日本導入にあたり、どのような苦労がありましたか。
金氏 一番は文字入力ですね。後は、SIMフリーではありますが、品質は日本の要求水準を満たすようにしました。そこは問題がないよう、時間をかけています。具体的には、KDDIさんがSIMフリー向けに準備しているIOT(互換性テスト)があり、それを通しています。開発メンバーを含めた頑張った部分です。MNOのIOTを通すぐらい大変なことですが、そこはきっちりやっています。
―― iWnnも、ケースマ向けにカスタマイズされているんですよね。
金氏 最大の特徴である文字入力のしやすさがこのままだと達成できないということで、オムロンさんにお声がけしました。オムロンさんも、マイナーなカスタムはメーカーごとにしていますが、今回、一番大きかったのがキーボードを搭載していることです。実際にやってみて、検討していたころよりも対応が必要な箇所が多くありました。
韓国語だと、ハングル文字と英語だけですが、日本は平仮名、片仮名、アルファベットがあり、句点もあります。ソフトウェアとハードウェアの出し分けも必要になってきますが、なるべく自然になるように頑張りました。
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