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イオンモバイルの解約率が低下したワケ 「家族シェア44%」「シニア約7割」と独自の進化を遂げた10年(1/2 ページ)

イオンモバイルがサービス開始10周年を迎え、現状報告と今後の施策を盛り込んだ記者説明会を開催した。シェアプランの普及や店舗での対面サポートにより、50代以上のシニア層を中心に低い解約率を維持している。今後は公式アプリの刷新やイオン経済圏との連携を深め、生活インフラとしての地位確立と100万回線を目指す。

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 イオンリテールは3月16日、MVNO「イオンモバイル」のサービス開始10周年を記念した記者説明会を開いた。顧客データに基づく現状報告の他、3月26日リリース予定の公式アプリやイオン生活圏(イオングループのサービス群)との連携施策について説明した。後半にはイオンモバイルを利用中のユーザーを交えた座談会も実施した。

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イオンモバイルがサービス開始10周年を記念した記者発表を実施した

12年の歩み 「MVNOは高リテラシー向け」から「誰でも安心」へ

 イオンモバイルは2011年に「イオンSIM」として出発し、2014年に「イオンスマホ」として一般に広まった。2016年に自らMVNOとして参入してからは、プランの細分化や独自の最適プラン導入など、既存の通信業界の慣習にとらわれない施策を打ち続けてきた。2026年でサービス開始10周年、イオンスマホの登場から数えると12年目となる節目だ。

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イオンモバイルの歩み

 イオンモバイル商品統括マネージャーの井原龍二氏は「顧客本位という考え方を一貫して大切にしてきた」と述べ、その結果として現在の事業規模と低い解約率を実現したとの認識を示した。

 MVNOというカテゴリーについては「かつてはリテラシーが高い人向けのサービスだったが、今では誰でも安心して契約できるサービスに変わってきた」と話す。全国のイオン店舗での対面サポートを継続してきたことが、こうした変化を後押ししてきたとのことだ。

解約率1.19% 「契約数よりも既存顧客の納得感を優先」

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イオンリテール イオンモバイル商品統括マネージャーの井原龍二氏

 イオンモバイルの特徴の1つが、低い解約率だ。2021〜2022年度こそ競争激化で解約率が上昇したが、2023年度以降は順調に低下しており、2025年10月〜2026年2月の月次平均は1.19%にとどまる。

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解約率の低さがイオンモバイルの特徴の1つ。直近の解約率は1.19%にとどまる

 「契約を増やすこと以上に、今お使いのお客さまに納得して使っていただけるサービスを最優先している。この低い解約率こそが、お客さまの満足度と信頼の証なのかなと思っている」と話す。一時的なキャンペーンによる新規獲得に頼らず、各店舗で一人一人に最適なプランを提案し続けるというスタイルが、この数字に表れている。「直営のスタッフが自分たちのサービスを直接お客さまに提供するということが、大きな差別化になっている」とも述べた。

シェアプランが全体の44.1%に 「家族通信費革命」を推進

 利用状況で目立つ変化が、シェアプランの普及だ。1つの容量を家族で分け合う「シェアプラン」の利用率は2026年2月時点で44.1%に達している。

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シェアプランの契約数が全体の44.1%まで増加。契約容量も平均8.7GBまで増加している

 井原氏はこれを「家族通信費革命」と位置付け、推進してきたとする。具体例を挙げると、家族5人で20GBをシェアした場合の月額は3608円。個別に契約した場合の合計5940円と比べ、月々2332円安くなる計算だ。「家族が増えるほど1人あたりのコストが下がる」という仕組みが利用拡大を後押ししている。

 この変化は平均契約データ容量にも現れている。2017年3月時点では平均3.3GBだったのが、2026年2月には8.7GBまで増加した。20GB以上の契約も全体の24.7%を占める。かつては2GBや4GBの低容量から入るユーザーが多かったが、今は家族まとめて大容量という使い方が定着しつつある。余った容量の翌月繰り越しや、マイページからの毎月の容量変更にも対応しており、柔軟に使えるのも選ばれている理由のようだ。

50代以上が全体の67.7% 対面サポートとシェアプランがシニア層を取り込む

 ユーザー構成にも変化が出ている。50代以上の構成比は全体の67.7%に達し、うち60代以上は2018年の18%から現在は約38%まで拡大した。

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50代、60代以上の契約者が増加している

 この背景について井原氏は、全国のイオン店舗での対面サポートが安心感に結びついたと説明する。スマートフォンの乗り換えに不安を持つ層にとって、普段の買い物のついでに気軽に相談できる環境が、契約へのハードルを下げた。また、シェアプランの浸透に伴い、子ども世代が親を誘って一緒に契約するケースも増えているという。

イオン生活圏との連携を強化 ゴールドカード割と株主優待の組み合わせで最大約12%相当の割引

 2023年4月からイオン生活圏との連携を段階的に拡大してきた。2025年度の純増ユーザーのうち81.6%が「イオン生活圏」のユーザーというデータは、この方向性が着実に成果を出していることを示している。

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2025年度の純増ユーザーのうち81.6%が「イオン生活圏」のユーザーだった

 3月から始まった「イオンゴールドカード割」は、月額料金の支払い方法をイオンゴールドカードに設定するだけで、基本料金、通話料、オプション料金を含む月額が請求時に5%オフとなる仕組みだ。年間50万円以上の利用で発行される年会費無料のゴールドカードが対象となる。この5%割引は株主優待特典(5%オフ)と併用でき、WAON POINTの付与分(約2.5%相当)も合わせると実質約12%相当の割引になる。井原氏は「最大級の誠意を示している」と表現した。

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イオンゴールドカード割は株主優待と併用可能。WAON POINTと合わせると実質12%相当の割引になる

 この他、イオン銀行の住宅ローン利用者向け特典「セレクトクラブ」での5%オフ、月額100円の「イオンスマホ保険」(水没・盗難対応)など、グループ各社との連携メニューもそろえている。

 価格設定に対する姿勢については「安くないとイオンモバイルじゃないのかなと思っている。高いものに対して、ロイヤリティーを感じていただくことはない」と述べ、低価格路線の維持がブランドの根幹にあることを改めて示した。

3月26日に公式アプリをリリース AIによるプラン提案機能も実装へ

 3月26日には公式アプリのリリースを予定している。「マイページへのログインが手間に感じる」という顧客の声が開発の契機になったという。アプリは「未契約者向けの契約アプリ」と「契約者向けのマイページアプリ」の2種類で構成される。

 マイページアプリでは、シェアプランを利用していれば家族全員の利用状況を1画面で把握できる。データ残量の確認や高速通信のオン/オフをウィジェットで操作する機能も搭載する。「単なる管理ツールではなく、家族の通信を最適化するコンシェルジュのような存在を目指している」というのが井原氏の言葉だ。

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3月26日に公式アプリをリリース予定している

 上期リリース予定の追加機能として、パスキーによるログインとAIチャットによるサポート機能が用意される。AIチャットは、ユーザーの実際の利用状況に基づいて最適なプランへの変更を提案し、手続きまでサポートする仕組みだ。これは現在店舗で実施している「スマホメンテナンス」、すなわち利用状況を確認してプランを提案するスタッフのサポートをアプリ上で再現するものとのことだ。

 契約アプリ側では、4月に施行される携帯電話不正利用防止法の改正に対応し、ICカード読み取りによる本人確認機能を実装する。マイナンバーカード、運転免許証、在留カードなどが対象で、Liquidのサービスを使ってICチップから情報を自動入力する仕組みのため、手入力によるミスも減らせる。「慣れていない方には少し難しく感じるケースも出てくると思っている」と井原氏は述べており、アプリ上の案内設計を丁寧に作り込んでいるとした。

 さらに2026年上期には、オンラインで申し込みを完了してから店舗で端末・SIMを受け取る「オンライン申し込み・店舗受け取りサービス」のリリースも予定している。待ち時間の短縮と対面サポートの安心感を両立させるというコンセプトで、「デジタルの恩恵を誰一人取り残さずお届けする、デジタル社会の窓口でありたい」としている。

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