KDDIとJR東、山手線ミリ波エリアを97%へ拡大 届きにくい電波、窓から引き込む
KDDIとJR東日本は、山手線の車両内における5Gミリ波通信エリア拡大の実証実験に国内で初めて成功したと発表した。遮蔽物の影響を抑える新たな仕組みの導入により、車内の通信エリアは従来の約40%から約97%へと大幅に改善した。両社は今後、この知見をあらゆる屋内環境へ広げ、鉄道業務のDXを推進していく方針だ。
KDDIと東日本旅客鉄道(JR東日本)は4月15日までに、JR東日本の東京総合車両センターにおいて、山手線の車両内で5Gミリ波通信エリアを拡大する実証に国内で初めて成功した。通信速度1Gbpsを達成可能な通信エリアが、導入前の約40%から約97%へと飛躍的に改善し、車両内のほぼ全域に拡大したことを確認している。
今回の実証では、線路沿線のミリ波基地局から放射された屋外の電波を、車両の窓に設置したミリ波対応ガラスアンテナで受信し、車内に引き込む仕組みを採用した。受信した電波はアンプで増幅されたのち、誘電体導波路を用いて伝送され、車内の天井に設置された漏えいアンテナとロッドアンテナから再放射される。
鉄道車両は金属が多くミリ波の電波が届きにくい環境だが、この構成により遮蔽(しゃへい)の影響を最小限に抑えることが可能となった。本実証では各社から提供された専用機器が重要な役割を果たしており、AGCが提供したミリ波対応ガラスアンテナは、透明性に優れ、車内の景観を損なわずに高い利得での送受信を実現する。
また京セラが提供したアンプは、ガラスアンテナで受信したミリ波の電波を、低雑音かつ高出力を両立しながら高利得で増幅する役割を担い、広範囲への電波放射を支えている。両社は今回の実証で得られた知見をもとに、今後は鉄道車両だけでなく、あらゆる屋内環境へとミリ波の活用を広げていく方針だ。
ミリ波を含む電波の有効活用により、鉄道沿線等での通信環境や乗客の利便性をさらに向上させる。それとともに、将来的な鉄道業務のDXの推進に向けて取り組んでいく。
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