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KDDI株主総会では「架空循環取引」に厳しい声、テレビ局の「電波転用」を求める過激な要望も 質疑応答まとめ(2/2 ページ)

KDDIの第42期定時株主総会では、子会社等で発生した架空循環取引への謝罪やガバナンス強化の訴えが目立った。通信事業ではAI時代を見据えたネットワーク構想やStarlinkを活用した過疎地対策などが示された。さらにローソンとのシナジーや金融事業の戦略、M&Aの精緻な事後評価など多岐にわたる質問に回答した。

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通信品質は「速度」だけでなく「応答性」も重要 電波再編への要望も

―― 通信事業について、今後のAI時代を迎えるにあたり大容量化や高速通信、低遅延がより重要になると考える。これまでに基地局のMMU(Massive MIMO Unit)や2.3GHz帯の導入を進めてきたと思うが、今後データセンターや基地局などの通信ネットワークをどのように強化していくのか。他社は「AI-RAN」や「IOWN構想」などを打ち出しているが、KDDIとしての次世代ネットワーク構想を伺いたい。

CTO コア技術統括本部長 吉村和幸氏 AIの発展に伴い、より高速・低遅延で信頼性の高いネットワークが要求される。これに対し、当社は「デジタルツイン」を支える「デジタルベルト構想」を提唱している。従来のデータセンターとネットワークをAPN(オールフォトニクスネットワーク)でつなぎ、超低遅延なネットワークを構築する。

 基地局においては、既存のSub6帯2波の有効活用に加え、新たにミリ波の展開を進める。ミリ波は遮蔽(しゃへい)物に弱い特性があるが、京セラと共同開発した中継機を活用することでエリア展開を可能にした。2026年度から駅前やスタジアムなどトラフィックの多い場所へ導入していく。

吉村和幸
ネットワーク戦略について説明する吉村和幸CTO

松田氏 モバイルの歴史は「通話の維持」から「データ通信の速度」へと価値が変遷してきた。AI時代には速度だけでなく「応答性(レスポンス)」が重要になる。こうした点も踏まえて、ネットワーク全体の作りを見直していく。ビジョンを掲げるだけでなく、着実に実行していく。

松田浩路
通信品質では応答性も重要だと説く松田氏

―― 総務省に対し、電波オークションを提案して地上波放送の電波を一部通信用に分けてもらうよう陳情できないか。テレビの地方局や特定の電波が1つ減っても問題はないと考える。

渉外・コミュニケーション統括本部 渉外・広報本部長 内山芳洋氏 放送と通信ではシステムで使用する電波の周波数帯が異なるため、単純にそのまま通信用に転用できるわけではない。しかし現在、総務省において5Gの先にある「6G」に向け、電波の有効利用や周波数政策の検討が進められている。そこでは放送と通信の両面から議論がなされている。

 電波はETCやその他の無線システムなど、さまざまな用途で総合的に管理されている。通信事業者としては、今後増大するトラフィックに対応するため、どのような周波数帯を活用すべきか議論を重ねている。今後、電波オークション等が導入された際にも、経済合理性を踏まえ適切に対処していく。

KDDI株主総会
周波数割り当てについて説明する内山芳洋氏

―― 過疎地域などのリアルな場所において、最低限の通信機能をどのように維持していくのか。固定回線を持つ人が減少する中で通信設備を維持する方法として、モバイル無線、携帯電話、あるいは衛星通信のStarlinkなどがあると思うが、10年後、20年後を見据えた当社の考えを伺いたい。

吉村氏 過疎地域における通信確保は極めて重要な課題である。従来は行政の支援を受けながら基地局を設置してきたが、経済合理性の観点から維持が厳しい地域が増えている。対策として、固定回線を引くことが困難なエリアのバックホール回線にStarlinkを採用している。一例として、光回線の敷設が困難な乗鞍岳の山頂などのエリア化にStarlinkを活用している。

 もう1つの対策として、米Space Xと提携し、衛星とスマートフォンの直接通信の導入を進めている。今後、通信容量の拡大を図ることで、地上の基地局がない過疎地域や災害時でも通信を確保していく。

auの「フォロワー」少ない問題への提案 金融詐欺の被害はどう防ぐ?

―― ローソンとのシナジー効果について伺いたい。KDDIはXのフォロワー数が約68万(au公式)で他社に比べ劣っている。デジタル広告が主流となる中、この遅れは問題だ。一方で、提携したローソンのXフォロワー数は約980万と非常に多く、強力な発信力を持っている。KDDIの技術でローソンの店舗を改善するだけでなく、ローソンの広報リソースを活用してau・KDDIの企業価値向上を図るべきではないか。

取締役執行役員 佐々木正見氏 ローソンは非常に大きな顧客接点を持っている。SNSのフォロワーだけでなく、全国1万4000の店舗が顧客の身近にあることは強みである。近年、コンビニはリテールメディアとして自ら情報を発信する社会インフラとしての価値も高まっている。これまではローソンのビジネス拡大に重点を置き、技術提供やPontaパスによる送客を行ってきたが、指摘の通り、ローソンのアセットを活用して通信事業を拡大することは大きな課題だ。

 最近では、ローソン店舗で「povo」のデータトッピング(ギガチャージ)の販売やスマホアクセサリーの取り扱いを開始した。ギガチャージの販売は前年比9倍に成長しており、コンビニの持つパワーを実感している。今後も通信顧客とローソンを結び付けるシナジー創出を検討していく。ローソン側とも緊密に対話し、ノウハウを学びたい。

KDDI株主総会
ローソンとの協業について説明する、佐々木正見氏

―― 金融事業、特に「auじぶん銀行」の位置付けについて伺いたい。さまざまなサービスが提供されており自身も利用しているが、この分野における今後の戦略や株主還元の想定について見解を求める。

佐々木氏 金融事業は通信に次ぐ重要な柱の1つである。通信の成長戦略として、クレジットカード、じぶん銀行、au PAYなどの決済・金融サービスを複合的に相互利用させ、au、UQ mobile、povoの顧客基盤を強固にすることを目指している。

 じぶん銀行の成長戦略としては、預金獲得に加え、強みである住宅ローン以外の魅力的な金融商品を拡充し、預金・貸出双方の拡大を図る。さらに次世代金融として、従来のWeb2領域に加え、コインチェックとの連携をはじめとするWeb3(暗号資産など)への取り組みを進め、融合を図る。これにより先行優位性を確保する。

 また、傘下の「auフィナンシャルホールディングス」について、東証プライム市場への上場準備を開始した。これにより機動的な資本政策と成長投資の最大化を推進する。上場後もKDDIは筆頭株主として連携を継続し、企業価値向上を目指す。2008年から先駆けて取り組んできた通信と金融の組み合わせであり、経済圏競争を勝ち抜くため再度ネジを巻き直して成長を目指す。

―― 特殊詐欺やフィッシング詐欺、警察を名乗る詐欺、副業詐欺などが多発し、年間1400億円もの被害が出るなど大きな社会問題となっている。その中でauじぶん銀行の口座が詐欺業者に悪用されているとの話も聞く。口座凍結や被害者救済・補償など、どのような対策を講じているのか。

佐々木氏 通信および金融を営む企業として、詐欺被害の問題は重要な経営課題であると認識している。通信面においては、詐欺に遭わないための防衛策として、Pontaパス会員向けに、迷惑電話・迷惑メッセージのブロック機能を無償提供している。非会員に対しても、固定電話を含め総務省の要請に基づき6カ月間無料で同機能を提供している。

 また、手口の高度化に対応するため、お客さまセンターにおける本人確認を従来の生年月日や暗証番号だけでなく、生体認証や回線認証を組み合わせた2段階認証などの最新技術を導入して防御している。

 auじぶん銀行でも同様の認証仕組みを導入しているが、実際に口座が不正利用された事例があるのは事実だ。警察等と連携して事案に対処するとともに、不正利用が発覚した口座の迅速な凍結および被害に遭われたお客さまへの補償について個別かつ厳格に対応している。今後もセキュリティ配慮とサービス強化を多面的に進める。

M&Aは「孫会社」まで精緻に評価 フィジカルAIは新たな産業基盤に

―― 過去のM&Aの成果について伺いたい。先日の決算発表で、松田社長からグループ会社の再編・売却を検討しているとの話があったと記憶しているが、これに同意する。

高橋前社長や田中前々社長の時代に、通信以外の数多くの会社をM&Aしてきた。ソラコムは成果が公表されているが、他の会社、例えばJ:COMや、今回問題となったビッグローブ、また個人的に納得がいかないmenuなどは、買収額に見合った成果やシナジーを生んでいるのか。

取締役執行役員常務 勝木朋彦氏 新中期経営戦略において、経営資源の効率的な配分を行うため「キャピタルアロケーションポリシー」を策定した。子会社における不適切事案を踏まえ、投資に対する当社の信頼と能力を再構築する。

 個別の投資先については、事後評価を定期的に実施しているが、今回の新中期計画では、子会社だけでなくその下の「孫会社」まで含めて精緻に評価を行う。評価するだけでなく、その結果に基づいて出資比率の見直しや売却などのポートフォリオ再構築を実践していく。個別企業の方針への言及は差し控えるが、受託者責任を果たすべく株主利益の最大化に努める。

KDDI株主総会
M&Aの評価について説明する、勝木朋彦氏

―― ロボティクスとAIについて質問する。ローソンでの品出しロボットなどの取り組みは素晴らしい。労働人口減少による人手不足が進む中、これらを単発の「点」の事例で終わらせず、「面」へ広げていくための今後の予定を伺いたい。

勝木氏 「フィジカルAI」と呼ばれるロボティクス領域において、配送、警備、清掃、インフラ点検などのフロントライン業務でロボットの活用が広がっている。当社のドローン事業も好調であり、インフラ点検のユースケースが増えている。労働力不足に対応するフィジカルAIは新たな産業基盤となる可能性があり、注力していく。新本社のある高輪ゲートウェイエリアでもロボット配送の実験を行っている。

 また、地方の交通空白地帯という社会問題に対し、自動運転の取り組みを強化している。2030年に全国1万台の自動運転を事業化するという国土交通省の計画に参画し、先行実施地域として選定された全国13地域のうち9地域に当社が参画することが決定している。これらの社会実装に向け、ローソンやELYZA(イライザ)などのグループアセットを最大限に活用していく。

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