検索
インタビュー

シャープが「AQUOS R11」で挑む“価格高騰時代”のスマホ戦略 「シェアを追うよりも既存ユーザーを大切に」(2/3 ページ)

シャープは「AQUOS R11」で従来の準ハイエンドから本格ハイエンドへ位置付けをシフトさせた。背景にはロイヤリティーの高い既存ユーザー層を重視しミドルレンジ以上の比重を高める同社の新戦略がある。SoCやカメラ性能の向上に加え独自の癒やし機能も備え、価格上昇以上の価値を訴求していく。

Share
Tweet
LINE
Hatena
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

プロセッサにSnapdragon 8s Gen 4(6コア)を採用した理由

―― より上位のカテゴリーにシフトするにあたり、Snapdragon 8s Gen 4を採用しましたが、Eliteはやはり厳しかったのでしょうか。

中江氏 Eliteだと、価格がさらにもう一段上がってしまいます。また、AQUOS R11は「簡単だけど、感嘆です。」がキャッチコピーの端末です。使い方を分かっている人がガンガン使える性能を突き詰めていくとSnapdragon 8 Eliteシリーズになりますが、知らないうちにAIがアシストしてくれるという考え方なので、バランスを見た方がいいと考えました。Snapdragon 8s Gen 4は、そのバランスがすごくいいんです。

清水氏 3つの観点があります。1つ目が消費電力、2つ目が熱の制御、3つ目はその組み合わせによる長時間安定動作で、それら3つで選定した際にとても優れたSoCです。一部で話題になっているCPUのコア数も同じ理由でこちらを選んでいます。

AQUOS R11
清水寛幸氏

―― あれは、コアをふさいだというわけではないんですね。

清水氏 実はSnapdragon 8s Gen 4にはオクタ(8)コア版とヘキサ(6)コア版の2つがあり、電力、熱、安定動作だとヘキサコア版のバランスがいいということで、そちらを選びました。

中江氏 あえてヘキサコアを選んでいます。ベンチマークもして、この性能であれば、お客さまが求める操作に対して問題ないという判断をしました。

―― 仮にオクタコア版を採用していたらどうなっていたのでしょうか。

清水氏 ユースケースにもよります。一番重い動画編集などはいいのですが、それをスマホでやる人がどれだけいるのかです。パフォーマンスはオクタコアの方が出ますが、その分熱が出て、消費電力も多くなる関係にあります。AQUOS R11を買う方の使い方だと、省電力や熱制御を優先すべきと考えました。

―― それでも前モデルより数値的な部分でも大きく上がっていますよね。

清水氏 SoCの関連でいうと、CPUが14%、GPUが40%よくなっています。そのあたりは、AQUOS R10で採用した「Snapdragon 7+ Gen 3」よりも大きく改善されています。

AQUOS R11
AQUOS R11の主なスペック。Snapdragon 8s Gen 4の採用でCPUやGPUの性能は向上している

カメラの画質も向上、UIを簡略化して操作性も改善

―― チップセット内のISPも改善されていると思いますが、画質改善には効果があったのでしょうか。

中江氏 その部分はかなりよくなっています。SoCによってISPにもランクがありますが、今回選択したものは、上位レベルのISPが搭載されていて、処理能力も高いですね。AIを使ったホワイトバランス調整などにISPの機能を使っています。これによって、ライカ画質を作る上で、より自然な写実的な写真を撮れるようになりました。

 いいセンサーを付けているのはそうですが、それをAIで補正するのではなく、AIを使って画質調整を最適化、適正化していくイメージです。作られた絵を出すのではなく、見たままの状態にいかに近づけるかにAIを使っていると言い換えることもできます。

 ライカさんは、見たときの形を大事にしています。カメラ画質の評価の仕方も特徴的で、レファレンスになるライカさんのカメラで撮った写真と同じシーンで写真を撮り、比較して評価しています。AIで空を青くするというようなのはダメなんです。その日が曇りなら曇り空、人の肌もスマホなので多少は処理を入れていますが、処理をかけすぎてもダメ。その人が持っているディテールを大事にしています。

 カメラに関していうと、今回からユーザーインタフェースも簡略化して、使い勝手をよくしています。今までは1画面でできることにこだわっていましたが、そのせいで逆に使いにくくなってしまった反省があります。

清水氏 今までは(映像を表示する部分の横に)ボタンがずらっと並んですぐに設定を切り替えられましたが、設定メニューから切り替えられるようにしています。

―― アイコンだけで並んでいても、押してみるまでどんな機能が分からないというのはありますよね。思っていたのと違うこともあります。

中江氏 はい。今の方が整理されていて、文字も出るのでこちらの方が使ってもらえると思います。

清水氏 (AIを使って画角を最適化する)スマートフィットズームも被写体を認識するとボタンが青くなるようになる、押すだけでちょうどいい画角になります。

AQUOS R11
左がAQUOS R11、右がAQUOS R10の撮影画面。AQUOS R11では設定から撮影メニューを分かりやすく表示するよう改善した

―― これは、カメラも切り替えるのでしょうか。

清水氏 切り替えていますし、デジタルズームも使います。一番いい画角を、自動で選択するようにしています。

―― 画角の正解は、どういったものを使って学習したのでしょうか。

清水氏 いろいろな作例や、フィールドテストしている中での最適化をしています。今までは「インテリジェントフレーミング」という機能を載せていました。これは、撮った後、この画角はどうか、という提案をする機能です。そこで学習したデータもたくさんあるので、構図として何がいいのかというデータは持っていました。

―― リアルタイムでやっているんですよね。これも、チップの性能が上がったからできたことなのでしょうか。

清水氏 エッジのAIで処理しているので、確かに処理能力が必要とされるところです。今までのチップを使った場合の性能までは検証できていませんが、これだけスムーズに被写体認識がタイムラグなくできているのは、Snapdragon 8s Gen 4だからこそだと思います。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る