ahamoの「40GB化」は値上げの布石か? 通信品質改善と料金設定で揺れるドコモの戦略:石野純也のMobile Eye(2/2 ページ)
ドコモはahamoのデータ容量を期間限定で40GBへ増量した。背景には、トラフィック増加に伴う将来的な値上げへの打診や解約防止の狙いが透けて見える。他社は静観の構えを見せるが、品質改善と価格設定の間で揺れるドコモの戦略が浮き彫りとなっている。
道半ばのネットワーク品質改善、他社の追随はあるか?
背景には、「改善はしているが道半ばであると思っている」(同)というネットワーク品質もありそうだ。いくらトラフィックが20%ずつ増えているとはいえ、それに対応したキャパシティーを十分確保できていないようだと、値上げを正当化する理由に欠けてしまう。設備投資が追い付いていない中、投資コストが上がっているのをユーザーに転嫁するのは納得感が薄くなる。
ドコモ自身、手を打っていないわけではなく、改善に向け、基地局は大幅に増強している。前田氏によると、「今年度(2026年度)は1万を超える5Gの基地局を打っていきたい」としている。これは、「高い品質でお使いいただくための容量の確保をまず行うため」だ。
ただし、現状では「部材の不足もあり、全国区では計画に少しビハインドしている」(同)というように、やや遅れも出ている。また、基地局を増設したあと、「チューニングも施さなければならない」。ドコモのネットワーク品質への不満は長期化しており、これらの改善ですぐにSNSなどでの不満の声が収まるかは未知数だ。
こうした事情もあり、他社もどこまでahamoの40GB化に追従するかは決めかねているようだ。ソフトバンクの社長執行役員兼CEOの宮川潤一氏は、「中容量帯の部分はバトルが激しい」としながら、「これ以上激しさが増しても、あまり変わらないかなと思う」と話す。
Y!mobileには、月額550円でデータ容量を最大5GB増量できる「増量オプション」があるため、「それを入れれば結果として競争力がある形で残っているため、現時点での追従は考えていない」(同)とした。KDDIも、UQ mobileのコミコミプランバリューに割引を入れたばかりで、すぐに動くような状況にはなっていない。代表取締役社長CEOの松田浩路氏も「全体の価値で十分対抗していける。プライスだけ、データ容量だけで競争するのではない」と、追随する予定がないことを明かした。
とはいえ、宮川氏が語るように中容量帯の競争は激化しているのも事実だ。ahamoの40GB化が好評を博し、他社からの流出が増えるようであれば、対抗策を打ち出す必要が出てくる。このような競争環境の厳しさも、ahamoの値上げを難しくしている一因といえそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なぜ? ahamoで“値段そのまま10GB増量”の理由 データ需要見極めを図るドコモと静観するソフトバンク
NTTドコモは「ahamo」で月額2970円を維持したままデータ容量を40GBへ増量する施策を開始した。親会社NTTの島田明社長はユーザーのデータ需要見極めの布石と説明する。一方、ソフトバンクの宮川潤一社長は激しい中容量帯での消耗戦を避け、追従しない不戦方針を示した。両社の対照的な戦略を追う。
ドコモが「スマホデビュープラン U15」「親子割」提供、月最大1870円割引 ahamoも対象
NTTドコモは、8月7日から5歳以上15歳以下向けの料金プラン「ドコモ スマホデビュープラン U15」を提供。本プラン契約とその家族を対象とした割引「ドコモ 親子割」も実施する。
UQ mobile「コミコミプランバリュー」にクレカ割を導入したワケ 背景にahamoとY!mobileの“板挟み”も
KDDIはUQ mobileの新プラン向けに、13カ月間月額660円を割り引く新施策を開始した。この施策はau PAYゴールドカード保有で永続化し、事実上のクレジットカード割引が導入された形だ。背景には値上げ路線を維持しつつも、競合のahamoやY!mobileに対抗せざるを得ないジレンマがある。
ドコモが念願の増収増益に好転 「ドコモMAX」好調も後押し、今後は“ロイヤルユーザー”を重視
NTTドコモが2026年度第1四半期決算を発表し、長らく続いた減益傾向から脱却して増収増益へと転じた。高ARPUなロイヤルユーザーの拡大が収益改善に貢献している。通信品質改善の基地局整備を急ぐとともに、Starlinkを用いた衛星通信などの災害対策も進める。
まだ「つながりにくい」声ある“ドコモ通信品質問題”の現在地 前田社長が明かす「道半ば」の詳細解説
NTTドコモは2026年度第1四半期決算説明会で通信品質改善の進捗状況を公表した。前田義晃社長は通信品質の底上げについて「まだ道半ばだ」との認識を示した。都心混雑エリアへの優先的な設備投資を進め、信頼回復を目指す。


