モバイルブロードバンドを可能にしてくれるホットスポットが東京を中心に増殖中だ。家庭や職場でのブロードバンドが当たり前になってくると、いくらモバイルだからといっても、これまでのPHSの64Kbps*1では物足りなくなってくる。ホットスポットは、そんなわがままなユーザーの要求を満たす格好のサービスとして、NTT東日本/西日本など大手通信事業者をはじめ、ADSL大手のYahoo! BBまでもが参入*2している。都会のユーザーにとってみれば、「anytime、anywhere(いつでもどこでも)ブロードバンド」の実にシアワセな環境が整いつつあるのだ。
ホットスポットの特徴は、携帯電話などと違い、極めて安価にモバイルブロードバンド接続が可能になること。現にNTT東日本が提供する「Mフレッツメイト」というホットスポットサービスは、フレッツ系接続の契約者であれば、月額200円のオプション料金での利用を実現している。
このようにインターネット接続を安価に提供できる背景には、サービス提供に必要な設備コストの安さがある。ホットスポットに利用するアクセスポイントは、家庭や職場で利用されている無線LANのものと基本的に同じ。数万〜十数万円の無線機器を設置すればいい。また、インターネットに接続するためのバックボーンも、安価になったADSLやFTTHサービスを利用するので、運用コストも極めて安い。この点がホットスポットで安価なモバイル接続が提供できる秘密の一端でもある。
そのホットスポット事業に携帯電話の雄であるNTTドコモが参入を目指してモニターサービスを開始した。NTTドコモといえば、昨年の秋から第3世代携帯電話である「FOMA」*3を世界に先駆けて開始した会社だ。FOMAはその投資規模からして社運をかけた大事業ともいえる。
FOMAの最大のウリは、高速なデータ通信にある。そのFOMAを提供する会社がホットスポット事業に参入するとなると、自らの首を絞める行為とも見て取れるのだが、「モバイル接続の提供はドコモの使命であり、ユーザーにとってメリットのある無線LANという手段が登場したのであれば、積極的に取り入れる」(NTTドコモMM企画部技術戦略担当課長・山口文久氏)と、技術の方式にはこだわらない様子。