News 2001年3月2日 04:41 PM 更新

Intelがモバイル向け省電力技術を用いた超高密度サーバを提案

高い設置密度を必要とするラックマウント型サーバ。Intelは,モバイルプロセッサとチップセットで培った省電力技術をこの分野に投入する。

 インターネット/イントラネットの膨大なトラフィックに対応するため,フロントエンドに使われるWebサーバ,あるいは中間層に置かれるアプリケーションサーバでは,“スケールアウト”すなわち複数サーバで負荷分散を行うことで,トラフィックに対応する手法が使われる。米Intelのエンタープライズプラットフォーム担当副社長のMichael Fister氏は,米国カリフォルニア州サンノゼで開催中の「Intel Developers Forum Spring 2001」(IDF)で,モバイル分野などに応用されている同社の省電力技術を用いることで,スケールアウト方向への高い拡張性を提案した。

 Intelは今回のIDFで,バックエンドや高負荷のアプリケーションサーバをスケールアップ(単体サーバの処理容量を向上させること)させるため,Itaniumのローンチを行っているが,現時点でのステータスを見るとIntelアーキテクチャはフロントエンドサーバの分野で高いシェアを持ち,バックエンドに近くなるほどシェアを落としていく。

 つまり,フロントエンドのサーバ分野は,Intelがもっとも得意とする分野だ。トラフィックの多いサイトでは,数100台規模のサーバでフロントエンドを構成する例も珍しくない。こうした例ではサーバ設置密度をいかに向上させるかが重要となる。IA-32プラットフォームは,コストパフォーマンスに優れ,小型でコンポーネントも入手しやすいなどのメリットがあり,その結果としてフロントエンドでの高い競争力を生み出しているといえるだろう。

 そしてフロントエンドサーバ市場をさらに細かく区分してみると,1Uサイズのラックマウント機から2U,4U,7Uなど比較的大きいものまであり,それぞれ機能,拡張性,性能などとのトレードオフの関係にある。つまり,高機能かつ高性能だが密度が低いという選択肢と,機能と性能には制限があるが高密度の配置が可能なものがある。

Uの小型きょう体に8枚のCPUボード

 Fister氏はこうした超高密度サーバの分野に対し,モバイルPentium IIIやモバイル向けチップセットで培われた省電力技術を提供する考えを示した。今年中頃に1GHz,低電圧の700MHz,超低電圧の500MHzという,モバイルPentium IIIとそっくりのラインアップを持つサーバ用プロセッサを提供する。さらに今年後半には,それぞれ0.13μメートルプロセスのモバイルPentium III相当のサーバ用プロセッサも投入する予定。

 同様に,チップセットもモバイル向けのものを活用する。ローエンドは1チップ構成の「440MX」(搭載可能なメモリは最大256Mバイト)を置き,「i815EM」(最大512Mバイト),「440BX」(最大1Gバイト),「440GX」(最大2Gバイト)を消費電力と必要な機能に応じて選べるようにする。また将来的には,ローエンドの440MXこそ変わらないものの,それ以上のサーバには1Gバイト以上のメモリを実装可能な省電力のチップセットを提供する予定だ。

 デモンストレーションでは,2Uの小型きょう体に8枚までのCPUボードを搭載可能なサーバブレードを使い,1台の小型サーバ内で8つの独立したサーバハードウェアが動作しているところを見せた。


Intelがデモした2Uのサーバ

 きょう体内部の独立したサーバは,PCIをベースにSMバスなどの機能を拡張したバスでインターコネクトされており,サーバ間の高速な通信やシステム管理機能などを備える。Intelはこうした技術をサーバベンダーに提案,技術供与することで,超高密度サーバの分野の強化を図る。

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[本田雅一, ITmedia]

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