News 2002年6月20日 11:30 PM 更新

「AIBOリーグ」はハイレベル! RoboCup-2002

RoboCupの2日目。レスキューリーグや4足ロボットリーグなどが始まった。特にAIBOが戦う4足歩行リーグは、ハイレベルかつ実況中継付きで、会場は大いに盛り上がった

 「RoboCup-2002」は大会2日目から、一般公開が始まった。平日だから、それほど来場者はいないが(「授業の一環」の子どもたちのほうが目立つ)、それでも、おばあさまなどがいらっしゃって「すごい時代になりましたねぇ」などとおっしゃるのはちょっと嬉しくなる。

 今日は、レスキューリーグが開幕した。そのうちの1つ、レスキューロボットリーグは、被災現場を摸した競技場の中から、決められた時間内に生存者をどれだけ発見できるかを競うものである(救い出すのではなく、あくまで発見するのが目的)。もちろん、生存者は人形だ。

 でも、この人形は呼吸をしたり、しゃべったり、さらには“少しだけ”動いたりするようになっている。ロボットはこうしたわずかな手がかりをもとに探し出すわけだ。また、被災現場は3つのフィールドに分かれていてそれぞれ難易度が違う。そして、見つけ出した時間や難易度などによってポイントが計算されるというわけだ。


これがもっとも難易度の高いフィールド「瓦礫の山」


東京工業大学の「MAA」。東工大には蒼龍などのへび型ロボットもあるのだけど、それは出てこないようだ。ライセンス契約により動画は削除しました

 4足ロボットリーグ(AIBOリーグ)について、わたしはこないだ「ほとんどの時間はボールを探しているのに使われる」と書いたけど、訂正。上手いチームはそんなことはない。無線LANによるお互いの連携で、一度見つけたボールはもう見失わないのだ。

 去年準優勝のカーネーギメロン大学「CMPack'02」と「German Team」の試合はかなり高いレベルで白熱した。コースを狙ったシュートをキーパーが倒れ込みながらセービングしたり、フォワードがゴールと違う方を向いてボールを受けても、ちゃんとゴールの方を向き直してボールを押し込んだりと、本物のサッカーのようだった。当然、サポーターも非常に盛り上がった。


ライセンス契約により動画は削除しました


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 ムービーにも入っているけど、4足ロボットリーグには実況アナウンサーがつく。これは、わたしを含めて一般の人にはありがたい(もう少し技術的な解説があればなおいい)。小型や中型のリーグでも採用してほしい。

 その中型リーグは予選2日め。今日は、話題のオランダPhilipsチームに注目していた。初の企業チームであるし、RoboCup-2001の優勝チームを、ヨーロッパ大会で破ったという強豪である。ロボットのデザインがいかにもという感じでかっこいいのだ。


これがPhilipsチーム。このようにしっかりとしたシャーシをつくってしまうところが、いかにもである。


シャーシをはずしたところ

 しかも、ものすごく鋭いシュートを打つ。


ライセンス契約により動画は削除しました

 ところが、大会初日の昨日は、最初の2戦は勝ったものの3戦目を落としてしまった。わたしはこの試合を見そこねたのだが、いったい、どうしたのだ?

 今日は2戦。まず、慶應義塾大学のチーム「EIGEN」(アイゲンと発音する)と対戦。「EIGEN」も強豪だ。昨日は3勝0敗である。油断のならない相手である*1

 おかしい。中型リーグは1チーム4台のロボットで戦うのだけど、Philipsチームは、キーパーを除く3台がみんなひとつのボールに集まってしまうような状況だ。味方の間でボールの取り合いをしている。そうなるともはやEIGENの敵ではない。0対5であっさり負けてしまった。

 試合の後、ちょっと聞いてみた。お互いのコミュニケーションをするはずの無線が「confusing」しちゃって、チームプレイがまったくとれなくなっちゃったんだそうだ。今朝の調整のときにはこんなことはなかったのにとくやしがる。会場の(無線の)ノイズのせいかと聞いたのだけど、それはわからないとのこと。

 2試合めは2時間後、イスファハン工科大学(イラン)の「Persia」と対戦。それまで0勝3敗と調子の上がってないチームだ。

 ところがだめなのだ。confusingが解決されていない。2時間の間にかなりいろいろ検討されたようなのだけど、直っていない。ときどき鋭いシュートを打つものの、ゴールの枠を捕らえることができない。結局、双方決めてを欠くまま0対0の引き分け。

 これでPhilipsは2勝2敗1分となった。中型ロボットチームは参加16チームを2つのグループに分けての総当たりで勝ち点を競い、それぞれ上位4チームが決勝トーナメント進出となる。明日もこの調子だと、1次リーグで消えるなんてこともありえる。苦しい戦いになった。

 「今日はひどい日だった。明日はいい日になるように願っている」だそうだ。わたしも願っている。


*1EIGENのロボットにはそれぞれにネコとかピクシーとか愛称がついていて、スタッフは試合中もその名前で呼んでいる。実は、こっちもひそかにファン。

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