News 2002年10月24日 06:23 AM 更新

LaGrande、ワイヤレス機能混載チップ――Intel CTOがほのめかした“秘密”

Intel副社長兼CTOのPatrick Gelsinger氏は、プレスを集めた質疑応答の中で、まだ謎の多いセキュリティ技術“LaGrande”や、シリコンゲルマニウムを用いたワイヤレス機能混載の統合型チップについて、いくつかの興味深いコメントを行った

 東京・赤坂で始まった「Intel Developer Forum Fall 2002 Japan」でプレスを集めた質疑応答が行なわれ、その席上、Intel副社長兼CTOのPatrick Gelsinger氏はセキュリティ技術のLaGrandeを中心とした話題について、いくつかの興味深いコメントを残した。


質問に応じるPat Gelsinger氏

 まずシリコンゲルマニウムを用いたワイヤレス機能混載の統合型チップに関して、同氏はIntel製チップを搭載する最終製品が2004年ぐらいに登場するだろうとの見通しをコメントした。チップ自身の発表時期に関しては詳しくは述べなかったが、それよりも前(おそらく2003年)にもチップレベルの製品発表はあると考えられる。

 Intelはすでにワイヤレス機能混載ロジックチップの試作に成功している。どのような製品、どのようなコンポーネントにワイヤレス機能が統合されるかは明らかにされていないが、無線LANチップへのトランシーバの統合や、携帯電話向けのワンチップソリューションなどが予想される。また、Gelsinger氏はかつて、高価なシリコンゲルマニウムの代わりにCMOS技術でワイヤレス機能を実装する研究開発を続けていることを明言していた。

 Intelが米国サンノゼ市で開催したIDF Fall 2002では、インテルが開発した90ナノメートル製造プロセスのシリコンゲルマニウムチップについて研究開発部門から説明が行われ、トランシーバを作れる高電圧アナログ回路と90ナノメートルプロセスの高速ロジック回路を、互いの機能に何ら制限を加えることなく混載できるプロセスを開発したと話していた。高性能プロセッサコアを統合したワイヤレス機能内蔵のシステムチップが登場する下地は、すでに十分整っている。

 またセキュリティ技術のLaGrandeについても、Gelsinger氏は興味深い説明をしている。LaGrandeではすべてのデータを暗号化でき、そのアーキテクチャはPCとは思えないものになるのでは?との見方もある。しかしGelsinger氏は「La Grandeはセキュリティを実現するための機能でしかない。現在のアプリケーションのまま、つまりLaGrandeの機能を使わないソフトウェアを動かす場合は、La Grandeで追加される機能を利用できないと話す。

 LaGrande技術はOEM先を抱え込むための戦略との見方に対しては「LaGrandeのプラットフォームではTCPAなどのセキュリティを実現する標準コンポーネントを使う。そしてその上に、インテル独自のプロプライエタリなセキュリティ機能を構築する。アプリケーションに関しては、セキュリティ機能を利用するためのAPIを提供するマイクロソフトのセキュアOS“Palladium”を通じ、LaGrandeの機能にアクセスすることになる。これは機能ではなく、新しいプロセッサモードと考えてもらっていい。リング0のさらに上位で動く、リング-1と考えればわかりやすい。プロセッサへの実装コストも低く、大きなダイ実装面積は必要ない。ただし、セキュリティに関してより慎重にアーキテクチャの検証を行っている」と応じた。

 興味深いのは、プロセッサに実装されるLaGrandeの機能を、新しいプロセッサの動作モードのようなものだと発言している点だ。従来のソフトウェアからはアクセスできない、セキュリティ機能専用の特権モードが存在することになる。翻って言えば、ソフトウェアがLaGrandeの機能を利用しなければ、ハードウェアが実装されていても何ら意味を持たない。

 また、次のような事も話していた。「データの暗号化はすべてプロセッサレベルで行われるため、ハードディスクにデータが届くときには、データの暗号化が終わっている。従って特殊なLaGrande対応ハードディスクは必要ない。メモリに関しても同じで、他のプロセスからは完全に隠されたメモリページに記入されるので、他のプログラムからデータを盗まれる心配もない。ただし、BIOSはLaGrandeに対応する必要がある。なぜなら、セキュアにブートアップできるBIOSでなければならないからだ(Gelsinger氏)」

 とするならば、BIOSコードの安全性についてもセキュリティを確保しなければ、完全にセキュアなシステムを構築することは不可能だ。Gelsinger氏は「将来的にはBIOSが統合される可能性はあるだろう。しかし現在のところ、BIOSを収めるフラッシュメモリをプロセッサに組み込むというのはオーバーヘッドが大きい。おそらくBIOSがプロセッサに組み込まれることはない」とした。

 まだまだ謎多いLaGrandeだが、プロセッサに組み込まれた新しい機能が具体的にどのようなものかが今後の焦点となりそうだ。なおGelsinger氏は、LaGrandeが搭載されるシステムはデスクトップPCになると述べている。いずれモバイルPCにも搭載されるようになるだろうが、当面はデスクトップ向けに止まるようだ。

関連記事
▼ コンピュータと通信の融合――Intel CTO、Gelsinger氏基調講演
▼ 半導体技術を通して新世代への進化をドライブするIntel
▼ 「ムーアの法則」の拡張――その2つの方向
▼ Intel Developer Forum Fall 2002 Japanレポート
▼ Intel Deveroper Forum Fall 2002レポート(USA)

[本田雅一, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



Special

- PR -

Special

- PR -