News 2002年11月7日 06:50 PM 更新

マイクロソフト、PCメーカー各社のTablet PCを正式発表

マイクロソフトのWindows XP Tablet PC Edition日本語版を搭載したTablet PCの発売が始まった。発表会では、松下電器産業がTablet PCの発売を予定していることが明らかにされたほか、日本ヒューレット・パッカードのTablet PCが初披露された

 次世代パソコンの新スタイル――Tablet PCがいよいよ登場した。

 マイクロソフトは11月7日、PCメーカー各社がWindows XP Tablet PC Edition日本語版を搭載したTablet PCの発売を順次開始したと発表した。これまでに国内でのTablet PC発売を表明している8社に加えて、松下電器産業がパートナー企業に加わり、Tablet PCの発売を予定していることが明らかにされた。


マイクロソフトの阿多親市社長

 マイクロソフトが現在もっとも注力しているTablet PC。都内で発表会に臨んだ同社阿多親市社長のコメントにも力が入る。

 「日米同時発表だが、時差の関係から日本が世界で最初のTablet PC発表の場となる。長い期間をかけて準備をしてきたTablet PCが、いよいよ明日には店頭に並ぶ。1992年のWindows for Pen Computingから当社のペンコンピュータ開発がスタートしたが、バッテリ寿命や本体の重さなどいろいろな問題点があった。だが、テクノロジーの進歩やインフラの整備など環境が整い、今、ペンコンピュータの機は熟した」(阿多氏)。

 これまでペン入力デバイスは登場しては消えていく運命にあったが、阿多氏はハイパフォーマンスなモバイル向けCPUの登場や長寿命バッテリや電源管理技術の向上、ブロードバンドやワイヤレスLANなどインフラの整備など、技術的な成熟によって、Tablet PCのようなペンコンピューティングが普及する条件が揃ったと強調する。

 「10年の開発の上で再確認したのは、やはりペンは人に優しいデバイスだということ。そして、ペン入力によって機能や互換性を犠牲にしたり、特定用途に特化してはいけないことも学んだ。Tablet PCがWindows XPの最上位バージョンなのはそのため。手書きのメモや議事録をシェアしたり、FAXの上に手書きでコメントをしてメールで送ることも可能。コンピューティングスタイルが大きく変化する」(阿多氏)。

松下も参加。Tablet PC市場は日本が牽引?

 Tablet PCは、ペンを使ってPCを操作したり、文字や絵を入力したりすることができるペンオペレーションが特徴。画面が180度回転するノートPCタイプの「コンバーチブル型」と、キーボードを搭載しない「ピュアタブレット型」の2種類が用意される。

 6月の発表会でソーテック、東芝、NEC、日本ヒューレット・パッカード、富士通の5社がTablet PCの発売表明を行い、さらに8月の発表時にはペースブレードジャパン、ビューソニックジャパン、日本エイサーの3社が加わって合計8社がTablet PCの国内発売を表明していた。今回の発表会で阿多氏は「松下電器産業が新たな開発パートナーとして加わった。近いうちに何らかのカタチでTablet PC製品が登場するだろう」と語り、国内でTablet PCを発売するメーカーが9社になったことを明らかにした。

 国内主要PCメーカーがほぼ出揃ったわけだが、ソニーだけはTablet PCに対して静観している状況だ。「6月の発表会の段階ではビデオメッセージの中で(Tablet PCの)コンセプトには賛同してもらったが、自社でTablet PCを開発したり発売するというコメントは現時点ではもらっていない。そのほかのメーカーも同様。現時点での表明は9社のみ」(阿多氏)。

 国内で発売を表明している各社のTablet PCは以下の通り。

メーカー製品名タブレットタイプ価格発売日
ソーテックAFiNA Tablet AT380Bコンバーチブル型25万9800円11月7日
東芝DynaBook SS 3500コンバーチブル型オープン11月8日
NEC軽量・薄型ピュアタブレット型の商品化を今年度第4四半期(2003年1−3月)に計画
日本エイサーTravelMate C100コンバーチブル型オープン11月8日
日本ヒューレット・パッカードCompaq Tablet PC TC1000ピュアタブレット/コンバーチブル型21万9000円12月中旬
ビューソニックジャパンV1100ピュアタブレット型オープン年内
富士通FMV-STYLISTIC TB80ピュアタブレット型オープン11月7日
ベースブレードジャパンPaceBook Tabletピュアタブレット型未定12月
松下電器産業11月7日にTablet PCの国内発売を表明。詳細は未定

 また、Windows XP Tablet PC Edition対応のデジタルインクを使ったアプリケーションの開発メーカーは8月の発表会の時点で16社だったが、今回新たに17社が加わって合計33社に増えた。「日本での33社という数は米国よりも多い。タブレットPCへの期待の表れと思っている」(阿多氏)。

 新たに開発を表明した17社のソフトメーカーは以下の通り。

 アパメックス/アルプス社/イーアイティー/イースト/インターコム/エアフロント/NTT-X/オートデスク/川田テクノシステム/ジョルダン/スリー・エー・システムズ/DoWave/ナムコ/プラスソフト/プラネット/マイクロリンク/ワコムアイティ。

日本HPのTablet PCは“トランスフォーム型”

 会場では9社のうちソーテック/東芝/NEC/日本ヒューレット・パッカード(日本HP)/富士通の5社から、本日から発売、もしくは発売を予定しているTablet PCの紹介が行われた。


各社のTablet PC。並び順は、左からソーテック、東芝、NEC、(阿多社長)、日本HP、富士通

 ソーテック/東芝/NEC/富士通の4社が紹介したTablet PCは、10月に開催されたWPC EXPO 2002で出展したもの。当時、Tablet PCの発売表明をしていた8社のうち、日本HPだけがWPC EXPO 2002にTablet PCを出展していなかったが、今回の会場では本日同社が発表したTablet PC「Compaq Tablet PC TC1000」が初披露された。


日本ヒューレット・パッカードのTablet PC「Compaq Tablet PC TC1000」

 新製品の紹介にあたった同社副社長の馬場真氏は「Compaq Tablet PC TC1000が“新生”日本HP初のPC製品で、新しい門出を祝う自信作に仕上がっている。この商品では新しいフォームファクタを提案した」と語る。


「新しいフォームファクタを提案した」と語る同社副社長の馬場真氏(左)

 あらゆるシーンに適応する「トランスフォーム型Tablet PC」がコンセプトの新製品は、タブレット/ノートPC/デスクトップPCという3つのフォームファクタに変形するのが特徴。CPUにTransmetaのCrusoe TM5800/1GHzを採用し、10.4型TFT液晶ディスプレイ、30GバイトHDD、ワイヤレスLANなどを搭載する。サイズは216(幅)×274(奥行き)×20(高さ)ミリで、重さは1.4キロ(タブレットスタイル時)。12月中旬から発売し、価格は21万9000円(スペックなど詳細は別記事を参照)。


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[西坂真人, ITmedia]

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