News 2002年11月20日 01:45 PM 更新

松下電器が考えるBlu-ray Discレコーダ像は?

松下電器はBlu-ray Discレコーダの製品像やポジショニング、互換性などについて、どのように考えているのだろうか

 順調なら来年には、発売が開始されるBlu-ray Discレコーダ。松下電器産業は、いったいどういったBlu-ray Discレコーダ像を描いているのだろうか。

 「はっきりしているのは、Blu-ray Discレコーダは、われわれがこれから力を入れていくDVDレコーダという商品群の中で最上位機種、つまり、フラッグシップ商品ということです。当然、DVD-RAMに対しては完全互換を取っていきます。DVD-RAMは将来のBlu-rayまでちゃんとつながっていきます」(メディア制御システム開発センター所長 田中伸一氏)。

 つまり、同社の発売するBlu-ray Discレコーダは、現在急速に普及してきているDVD-RAM/Rレコーダとの“完全互換”を保証するというわけだ。「今、DVD-RAM/Rレコーダを買われた方も後悔することはありません。Blu-rayのレコーダが出てきたら、それはリビングに置いて、それまでリビングにあったDVD-RAMレコーダは部屋にもっていったらいいんですよ」(同氏)。

 同氏によれば、DVD-RAMの完全互換とは、読み出しができるというレベルのものではない。「DVD-RAMは、読み出しだけでなく書き込みを行うことができます。DVD-RAMが書き込めるわけですから、当然、DVD-Rも書き込めるということになるでしょう」(田中氏)。

 ただし、CDのサポートについては未定。「CDのサポートについては、サポートするものもあれば、しないものもあるのではないかと思います。理屈の上では可能ですが、3波長は難しい。方向としては、DVDと次のBlu-rayの互換というのが最終的な落ち着き先ではないかと思っています。ただ、市場でのお客様の動向はわかりません。ニーズが高ければ対応しないといけないかもしれません」(同氏)。

 同社は2層記録の開発を積極的に進めているメーカーとしても有名だ。秋に開催された「CEATEC JAPAN 2002」でも、2層記録に対応した試作機のデモを行っていた。となれば、同社の発売する製品は最初から2層記録に対応する可能性もありそうだ。この点について田中氏に尋ねたところ、同氏の回答は、採用するかどうかは未定としながらも「われわれは(2層記録に)非常に大きな比重を置いています」というものだった。

 一方、HDDの搭載については、「最初の製品はどうなるかわかりません。しかし、将来的には当然HDDの搭載も考えていくことになるでしょう。そういう意味では、今のDVDレコーダの進化の姿と同じです」というのが同氏の答え。

 ユーザーにとって気になるのは価格だが、田中氏は、同社が発売するBlu-ray Discレコーダの価格を「最初は高くなってしまいますが、べらぼうに高くすると常識を疑われます。そのあたりは、常識的な価格だと思います」と説明する。

 同氏によれば、Blu-rayとDVDレコーダの家庭での住み分けは、次のような形になるという。「Blu-rayというのは最上位機種ですから、当然値段も高くなります。一方で、DVD-RAMレコーダは本当に普及価格帯になってきました。このため、将来的にBlu-rayが家庭に入ってきたとしても、一家に何台も入ることはないでしょう。おそらく一家に1台だと思います。そして、各部屋には、DVDレコーダがありますよという姿にしばらくはなってくるのでは。10年、20年先はわかりませんが、すくなくとも近未来はそういう姿が妥当だ思います」。

 なお、同社のBlu-ray Discレコーダに採用されるレーザーについて田中氏は、(SHGのレーザーの)量産はまだ行っていないと前置きした上で、次のように答えてくれた。「ガリウムナイトライド(GaN系)のレーザーも進歩してきているので、その量産動向を見ながら最終的な判断をしたい。SHGレーザーでも、2層記録に必要なレーザーの出力は得られるということは、実験室段階では確認できました。基本的な特性は得られたと思っています」。



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[北川達也, ITmedia]

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