News 2003年1月11日 09:02 PM 更新

CESレポート
4Gバイトのマイクロドライブと“半分サイズ”の1.8インチHDDが登場

4Gバイトの「マイクロドライブ」や、2.5インチHDDと同じインタフェースの1.8インチHDDなど数多くのユニークな製品を、日立のストレージ専門新会社が展示している

 日立製作所と米IBMが共同出資により、ストレージ専門の新会社「Hitachi Global Storage Technologies」が設立されたのが1月1日。それから1週間とたたずに開幕した「2003 International CES」では、4Gバイトのマイクロドライブなど多くのストレージ製品を日立が展示することになった。


4Gバイトのマイクロドライブ(写真はモックアップ)。2003年第3四半期には発売する予定

 Hitachi Global Storage Technologiesは、2005年末までに日立の100%子会社となる予定であり、IBMは当初から新会社の経営にタッチしない。つまり、今のところは共同出資という形だが、実際は日立製作所がIBMのHDD事業部門を買収したことになる。

 そうした背景のため、CESの会場案内には「IBM」と表記されているのに、展示スペースに行くと日立の社員が出迎えてくれる、ちょっと珍しい状況となった(この展示スペースは顧客やプレスを対象とした内覧形式のため、一般来場者は入れない)。

今後3年間で7〜8Gバイトまで製品化?

 展示されていたのは、デジタルカメラやPVR、車載用など基本的にPC以外の用途に使われるアプライアンス向けストレージ製品群だ。4Gバイトのマイクロドライブは残念ながらモックアップだったが、同社によると2003年第3四半期には発売する予定だという。


マイクロドライブの新パッケージ。もちろん「HITACHI」のロゴ入り

 「マイクロドライブのディスクやヘッドに使われる技術は、基本的に2.5インチHDDと同じもの。2.5インチHDDでは、1プラッタあたり40Gバイトの製品が第1四半期に登場する予定だが、マイクロドライブの4Gバイト版もこれを反映したものになる」(同社)

 4Gバイト版マイクロドライブの回転数は3600回転、転送レートは60Mビット/秒を超える見込みだ。従来はMAXで60Mビット/秒だったため、高速化も期待できる。価格などの詳細は未定だが、技術的には3.5インチや2.5インチHDDで実証済みの技術を使うため、コスト的に上がる要素は少ないようだ。「少なくとも、開発・製造コストでは、現在の1Gバイト版を上回ることはない。できれば、それよりも安く提供したい」。

 こうなると、気になるのは既存のマイクロドライブ製品への対応だ。この点について日立は「基本的にはイエス」と話している。「もちろん、デジタルカメラ個々の仕様にもよるため、今の時点で100%使えるとは言えない。ただ、今のところ問題になりそうな部分もない」(同社)。

ノートPCのHDDを半分に?

 新しい製品という意味では、マイクロドライブよりも注目されるのが、同時に展示されていた1.8インチの新型HDDだ。こちらは、20Gバイト/40Gバイトの2ラインアップで今年第1四半期中に出荷される予定だという。

 この1.8インチHDD、2.5インチHDDを長い辺の中央で半分に切ったような形状をしている。つまり、インタフェースが既存の2.5インチHDDと全く同じなのだ。厚さも2プラッタの40Gバイト版で9.5ミリと変わらず、現在のノートPCに入れれば、半分のスペースで問題なく動作するはずだという。


インタフェースが既存の2.5インチHDDと全く同じ1.8型HDD

 1.8インチのHDDといえば、すでに東芝が製品化し、薄型のサブノートPCなどに採用済みだ。東芝製は5ミリ厚、こちらは7〜9.5ミリ厚のため、スペース的には東芝が有利だが、「既存の2.5インチHDDと完全互換のため、システム設計の変更が必要ない。またコンポーネントの共通化により、コスト的にも有利だ」といったメリットがある。

 PC用途にも採用されそうだが、前述のように今回の日立のターゲットはアプライアンス市場だ。「HDDを記録媒体とするカムコーダーなどが考えられる。40Gバイトの容量があれば、DVDレベルのMPEG-2動画を10時間以上記録可能だ」。

 先日、動画にフォーカスした「メモリースティックPRO」をレポートしたばかりだが、少なくとも容量の点では日立に分がある。将来のカムコーダー市場を占ううえでも、注目すべき新製品の1つといえるだろう。


このほか、車載用として開発された耐熱性の高いHDDも展示されていた。通常のPC用HDDは5〜55度の範囲で動作するが、こちらは-20度から85度までに対応する。容量は20Gバイト。HDD搭載カーナビなどがターゲットだ



PVR向けとして三洋電機などが中心となって開発を進めているHDD規格「iVDR」製品も展示。今回は1.8インチ、2.5インチの2タイプのインタフェースにシリアルATAを採用した。いずれも動作確認済みという

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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