News | 2003年4月11日 01:44 PM 更新 |
「今のIT業界は不合理な市場縮小を経験した直後。継続的に成長するプロセスはこれから始まる。悲観論者と楽観論者に分けるとすれば、インテルは楽観的にデジタル社会の現状を見つめている。家電分野やPC分野に見て取れるようにデジタル技術の隆盛があり、またコンピューティングと通信の融合が進んでいる」。
現実を見ても、たとえばワールドワイドにおける投資とテクノロジーの実装状況を見れば悲観的になる情報はないという。例えばアナログカメラからデジタルカメラへの移行、コンテンツのデジタル化、ネットワーク配信、ブロードバンドインフラの整備など。しかもまだ、これらIT関連の投資はGDPの1%にしか過ぎない。今後も成長の余地があるというわけだ。
またITや通信業界がどん底の不況と言われる中でも、インターネットのデータトラフィックは増え続けてきた。今後も指数関数的にトラフィックが増加していくことは間違いない。「トラフィックの増加率を見ると、どこにも不況の影は見えない。今後もトラフィックは増加し続ける」(Gelsinger氏)。
さらに社会のデジタル化が進む中で、携帯電話などモバイルデバイスでエンターテイメントを楽しむユーザーが増加傾向にあると指摘する。情報、ゲーム、音楽、写真、ギャンブル、映画などの分野で、今後急速にビジネスチャンスが広がっていくという。
「日本は90年代はじめからの不況が長期化している。しかし、これまでに述べたような状況を考えれば、日本はその最先端の技術でデジタル社会の革新を担い、世界の中でリーダーシップを発揮する能力がある」(Gelsinger氏)。
インテルの使命は半導体分野での革新を続けること
一方、今後の継続的なIT産業の成長を加速させるため、インテルは半導体企業として最先端の取り組みを継続すると約束した。ここ数回のIDFでアピールしているように、インテルはコンピューティングと通信の融合を試みている。
従来、半導体技術はコンピューティングを加速させてきたが、その技術を光通信やワイヤレス通信へと応用することで、コンピューティングと通信、両面をムーアの法則に従って進化させていくわけだ。「インテルの使命はシリコン技術の革新でコンピューティングと通信の融合を促進させること」(Gelsinger氏)。
Gelsinger氏によると、今年年末に投入する90ナノメートルプロセスに続き、2005年投入予定の65ナノメートルプロセス、2007年投入予定の45ナノメートルプロセス、そして2009年の32ナノメートルプロセスを並行して開発しており、すべてプロトタイプのトランジスタの製造に成功している。「4世代先の製造プロセスまで、すでに道筋は明確になっている」。
そうした中で、インテルは今回のIDFに、いくつかの話題を持ち込んだ。ノートPCの分野では今年終わりに出荷を予定している次世代Pentium M(Dothan)、2004年のノートPCコンセプトを具現化したNewport、デスクトップPCの分野では次世代Pentium 4のPrescott、デュアルディスプレイを標準プラットフォームとして組み込んだビジネス向けコンセプトモデルのMarble Falls、2004年に投入する次次世代Pentium 4のTejasを搭載し、PCI Express対応チップセットを搭載したコンセプトモデルなど、2月のIDFで披露された成果物を一気に披露した。
中でも興味深かったのは携帯電話向けプロセッサやフラッシュメモリを担当するBillerbeck氏のプレゼンテーション。
インテルはすでに、同社の携帯電話向けアーキテクチャPCAファミリーの最新製品として、コードネームManitba(XScaleコア、DSP、SRAM、フラッシュ、GSM/GPRS、そのほかペリフェラルを統合した1チップワイヤレスチップ)、PXA800Fを発表しているが、Billerbeck氏は8層ものスタックが可能な超薄型のSCSP技術を紹介した。標準品としても5層スタックまでの製品を今年から投入するという。
今年提供される5ダイSCSPのインテル製フラッシュメモリは高さ1.2ミリだが、来年には1ミリまで薄型化した製品を提供する。容量の面でもチップあたり512Mビットに達し、来年は1Gビットの製品を提供予定。
なおChandrasekher氏とWilliam Siu氏の基調講演の模様は、各氏との共同記者会見のレポートとともに紹介する。
[本田雅一, ITmedia]
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
前のページ | 2/2 | 最初のページ