News:アンカーデスク | 2003年6月17日 01:29 PM 更新 |
すっかり梅雨の時期となり、日本全国どこに行ってもうっとうしい毎日。日本から逃げ出したくなるところだが、僕の仕事場は梅雨入りと同時に快適な部屋へと変貌を遂げた。かねてから懸案になっていた2台のデスクトップPCが、夜中の徹夜仕事でもイラつかない程度に快適な機械へと変わったからだ。
あなたのPCの不快指数は?
10年前であれば、快適なパソコンと言えば、それは高速なパソコンのことだった。もちろん、これは今でも変わらないかもしれないが、今ではローエンドの製品であっても「快適じゃない」ほどにひどくパフォーマンスの低いものはなくなってきている。その代わりに問題になってきているのが、動作時の音や熱などの問題だ。
今ではあまり見られなくなったが、一時はハイパフォーマンスなノートPCに驚くほど騒がしい冷却ファンが搭載されたり、熱管理がきちんと行われず、パームレストやキーボードが熱気に包まれる製品も存在していた。
あるいはそれとは逆に、熱の問題はうまく処理しているが、その分、冷却ファンが勢いよく回りすぎ、静かな自宅で使っていると耳につくものもある。ノートPC用冷却ファンはサイズが小さいため高回転で回さざるを得ず、発するノイズも耳につきやすい高周波数の成分が多いためだ。
もっとも、この1年ほどを見ていると、PCベンダーは熱の問題をうまく処理してきたと言える。Intelは消費電力の大きなデスクトップPC用プロセッサの問題を認識しており、効率の良い冷却技術をパートナーと開発し、PCベンダーにそのノウハウを提供してきたし、PCベンダー側もこの問題に対してさまざまなな努力を払ってきたからだ。
だが、この先はどうだろうか? 例えばハイパースレッディング対応Pentium 4は、ハイパースレッディング利用時に、従来のPentium 4よりも消費電力が大きくなる。デスクトップ向けのプロセッサは、今年後半に投入予定の次世代Pentium 4で若干消費電力を下げるものの、100ワットの大台に向けて突き進む。
今年の春、来日したIntel副社長兼デスクトッププラットフォームグループ事業本部長のウィリアム・スー氏は、増大する消費電力について「ユーザーはパワーを必要としている。デスクトップPCは、ノートPCよりも圧倒的に筐体の容量が大きいから、少々消費電力が増えても対処できる。当初、Pentium 4は省スペース筐体に入らないと言われた。しかし、今ではもっと高速なプロセッサが、省スペース型筐体にも入っている」と意に介さなかった。
だが消費電力の増大と共に、そこから生まれる熱を排出するために必要なエアフローはどんどん増大している。スー氏も「冷却のための騒音については問題だと考えている。プロセッサだけではない。グラフィックチップの消費電力も急激にアップしている。だが省スペース筐体への対応を進めたのと同じように、われわれは少しずつ解決策を見つけていく」と対策の必要性についてはコメントしている。
騒音についてはいくつかのベンダーがデスクトップPCに担わそうとしているホームサーバとしての役割を全うする時に、さらに大きな問題となるだろう。またPCがAV指向をさらに強めていく上でも同じことだ。誰も大きな騒音を出すAV機器など使いたくはない。家庭の中で常にオンの状態で使われる製品が、不快指数を引き上げる存在であってはならない。
わが家では水冷と空冷、両面からアプローチ
わが家の話に少し戻そう。わが家の不快指数を下げたのは、NECの「VALUESTAR TX」と、自作で工夫を施した静音型のデスクトップPCである。
わが家では仕事用とテスト用に2台のデスクトップPCを常設しているが、その両方をほぼ同時に更新したのは、静音化の可能性について実際に検証してみたかったためだ(VALUESTAR TXのテスト記事はこちら)。
VALUESTAR TXは、日立製作所が今年春のIDFで展示していたデスクトップPC向け水冷システムを製品に組み込んだもの。
プロセッサから発せられる熱を電源ユニット用の12センチファンの後ろに運び、最小限のエアフローで効率的に廃熱を行う。グラフィックスカードに静かなものを使えば、その騒音レベルは非常に低く通常時は22デシベル程度、継続的に負荷を与えた状態でも30デシベル程度の騒音しか発さない。
ウォーターポンプの動作音も非常に静かで耳に付きにくいものだ。3GHzのハイパースレッディング対応プロセッサが搭載されたマシンとしては相当に静か。特に高負荷時にも、あまり音が大きくならない点が素晴らしい(日立の水冷技術開発者のインタビュー記事前編、後編)。
自作PC向けにもいくつかの水冷システムが提供されているが、コスト高な上に静音性にはほとんど寄与しないものが多い。
[本田雅一, ITmedia]
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