News:アンカーデスク | 2003年6月17日 01:34 PM 更新 |
VALUESTAR TXには、121ware.comで提供されるカスタマイズモデル(VALUESTAR G タイプTX)もあり、ミニマムな構成を選ぶことも可能。信頼性なども考慮すれば、自作派にとっても気になる製品だろう。
デスクトップPCの分野では、特に2台目、3台目となる既存ユーザーが、メーカー製PCから離れていく傾向が最近特に強くなっているが、本機はそんなユーザーにも勧められるモデルだ。ただし、くれぐれもグラフィックカードの選択は慎重に。GeFORCE4 Ti4800搭載モデルを選ぶと、グラフィックカードだけの騒音で相当うるさいパソコンになってしまうからだ。
これに加えて自作で作った静音マシンは、主に最新プロセッサのテストを行うためのPCである。3.06GHzのHT対応Pentium 4に、Canterwood、デュアルDDR400メモリ、2チャネルのS-ATAを使ったRAID 0のシステムで、これを空冷で静かにする手法を探したのである。
それほど苦労なく、水冷PC並みの静かなPCを作ることはできたが、自作でこの手の対策を施すと非常にコストがかかる。また、気温が高い環境で高負荷をかけ続けると冷却ファンの回転数を上げなければならなくなり、静音PCとは言い難い状態になる。
あるいはきちんとしたPCベンダーが静音化を目指して作り込みを行えば、さらに静かなものが出来るのかもしれないが、空冷ではどうしても流さねばならない空気量が多くなるため静音化にも限界がありそうだ(もちろんそれは水冷でも同じで、いわば程度問題なのだが)。
関係者からは日立がライセンスしているデスクトップPC向け水冷システムを組み込んだPCケースの市販について、検討の段階にあるとの話も漏れてきている。これまで静かなPCには性能に若干の妥協を強いられてきたが、静かでかつ高性能なパソコンをもっと手軽に導入できるようになる日はそう遠くないかもしれない)。
導入後の具合はどうかって?
あまりに静かになったため、最初は何か気持ち悪い感じがしたほどだ。おかげで音楽をBGMに適した音量で楽しむことができている。こんなにわが家の仕事場が静かで快適なのは、停電のあった日にノートPCだけで仕事をして以来かもしれない。うちのかみさんいわく「これだけ静かなら、ビデオぐらいのサイズになればリビングに置いてもいいかも」
あくまでも邪魔者として、決してわが家の生活空間には入れてもらえなかったデスクトップPCだが、音さえなんとかなれば入り込む余地もありそうだ。
“アグリー”ではないパソコンとは?
もっとも、不快指数は何もうるさい製品だけではない。最近、PCハードウェアに関連するカンファレンスでは、頻繁に「今のアグリー(Ugly)なPCは変えていく必要がある」といった表現が出てくる。アグリーとは、まさに、不快な、邪魔な、イヤな、といったことを表現する言葉だ。
今回のコラムでは、“騒音”について少々偏った話になってしまったが、冒頭でも述べた熱の問題、あるいはソフトウェア環境、ユーザーインタフェースとなるデバイス、デザインの善し悪しなど、さまざまな視点で「アグリー」ではないパソコンを考える必要がある。
例えばVALUESTAR TXを使ってみると、以前のNEC製PCに比べデスクトップ上のアイコンの数が激減していることに気付いた。デスクトップ上に張り付いていた各種サービスにアクセスするためのユーティリティも常駐していない。
プリインストールしてあるアプリケーションにしても、利用頻度が低そうなものはインストールパッケージだけがハードディスク内に収められ、Windowsへのインストールはメニュー形式のユーティリティから行う形式になっている。
メニューで使いたい機能をたどっていくと、添付ソフトのインストーラを起動できる仕組みだ。NECは同じ種類の複数ソフトを用意し、使用時にインストールアプリケーションを選択できる仕組みも提供している。
既に好みのアプリケーション環境が確定しているユーザーにとって、決して起動することがない添付ソフトウェアはアグリーなものに違いない。買い換えユーザーの増加に対応して、こうした工夫を行うことも「アグリーではない」PCとするための、ひとつのアプローチと言えよう。
同じように、機能的で優れたデザインとすることも重要だ。PCが生活の一部、あるいは仕事の一部になっているユーザーは、どんなデザインでも機能面で優れていれば使ってくれるだろう。
しかし、市場を広げていくためには(“奇抜な”ではなく、スタイリッシュで機能的な)デザインを考えていかなければならない。今のPCは自己主張が強く、その割にカッコいいわけでもない。そんなデザインが多すぎるという意見もある。
PCはすでに、それを必要とするユーザーには十分に行き渡ってきた。これからは、PCを必要だと思ってくれる人を増やすこと、あるいはPCが生活エリアに存在しても良いと思ってくれる人を増やすことが、PCプラットフォームを前進させるために必要だ。そのためにも、PCはアグリーな存在であってはならない。
[本田雅一, ITmedia]
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