News 2003年8月26日 04:29 PM 更新

“6畳間100インチ”本格ホームシアターが実売14万円台――エプソン、新プロジェクター「dreamio」

セイコーエプソンが、本格ホームプロジェクター仕様を掲げた液晶プロジェクターの新ブランド「dreamio」を発表。第一弾として、実売14万円台のエントリーモデル「EMP-TW10」を発売する。

 セイコーエプソンは8月26日、ホームシアター向け液晶プロジェクターの新ブランド「dreamio」を発表。第一弾として、16万8000円という低価格のエントリーモデル「EMP-TW10」を9月5日から発売する。市場想定価格は14万円台になる見込み。


ホームシアター向け液晶プロジェクター「dreamio」の第一弾となるエントリーモデル「EMP-TW10」

 同社は、2002年1月にホームシアター向けプロジェクター2製品を発表(別記事を参照)し、ホームシアター市場に本格参入。この時の製品は、HDTV対応のハイエンドモデル「ELP-TW100」が実売50万円弱、エントリーモデル「ELP-TS10」でも実売30万円弱と、まだ普及価格とはいえなかった。

 続いて同年8月に、ホーム用途にも使える多目的液晶プロジェクター「ELP-30」を発表(別記事を参照)。実売では「プロジェクターで国内最低価格」(同社)となる15万円弱という価格で、国内プロジェクター市場のすそ野を拡大した商品となった。

 ただしELP-30は、マルチパーパス仕様とはいえ、PC画面をメインとしたデータプロジェクターがベースとなっており、液晶パネル(800×600ピクセル、アスペクト比4対3)の性能やコントラスト比など、映画を楽しむにはやや不満が残るものだった。

 本格ホームプロジェクター仕様を掲げた新シリーズ「dreamio」の新製品EMP-TW10は、新開発の0.55インチポリシリコンTFTワイド液晶パネルを3枚用いた3原色合成方式を採用。液晶パネルの画素数は854×480ピクセルとなり、DVDなど映画鑑賞に適した画素数とアスペクト比(16:9)で映像を見ることができる。


DVDなど映画鑑賞に適した画素数とアスペクト比

 同社は今年3月に、次世代プロジェクタ向け高温ポリシリコンTFT液晶パネル「D4」(開発名称)を発表。従来の液晶パネルよりも小さいサイズで高開口率と高解像度を可能にするこの次世代デバイスの市場投入時期は夏ごろといわれていたが、今回の新製品にはD4ではなく1世代前の液晶パネル「D3」タイプが搭載されている。

 ワイド液晶パネル搭載(480p以下)ではクラス最高輝度となる1000ANSIルーメンという明るさや、700対1というコントラスト比は上位機のELP-TW100を上回るスペック。また、色領域再現性を拡張する独自のカラーマネジメント技術「ColorReality」を搭載し、色温度や肌色調整など映像の微調整をユーザーが設定可能で、設定内容は本体メモリーに最大8通りを登録できる。


本体は丸みを帯びたデザインを採用

 短焦点マニュアルフォーカスタイプの1.54倍ズームレンズを搭載し、100インチの大画面を最短2.6メートルの距離で投写可能。画面の台形歪み(タテ方向)を±15度の範囲で補正できる「タテ台形歪み補正機能」も搭載した。「6畳の部屋なら100インチまで余裕を持って設置できる。ズームレンズを併用すれば、100インチワイドを2.6〜3.8メートルの範囲で設置が可能」(同社)


短焦点マニュアルフォーカスタイプの1.54倍ズームレンズを搭載


6畳の部屋なら100インチまで余裕を持って設置できる

 RGB各色の純度を高めて映像の黒色を引き締めるフィルター「シネマフィルタ」を採用。これは、ELP-30で採用したものと同じだが、ELP-30が外付けのレンズ装着タイプだったのに対して、新製品では本体内に内蔵した。このシネマフィルタのon/offやランプ出力の調整で、さまざまなな視聴環境に合わせて色調を最適化したプリセットモードを搭載。投写する環境に合わせて4種類のカラーモード(ダイナミック/リビング/シアター/シアター・ブラック)から最適な色調と輝度を選択できる。

 そのほか、電源投入から映像投写まで約10秒、電源OFFからのクールダウンも約20秒と準備動作時間を短縮させたほか、動作音も29デシベル(シネマ・ブラックモード時)と、映画鑑賞を妨げない静粛性を確保している。


インタフェース部。対応ビデオ信号は525i/525p/1125i/750p、Sビデオ、コンポジット。PC信号はVGA/SVGA/XGA(アナログRGB)に対応。リモコンを収納するホルダーが本体に用意されている

拡大するホームプロジェクター市場に期待

 DVDの急速な普及や高精細なデジタル放送のスタートなどで、全世界的にホームシアター市場が拡大している。家庭での大画面映像機器では直視タイプの液晶/プラズマTVが伸びているが、大画面といってもせいぜい60インチどまり。60〜100インチといった本格ホームシアターでは、投写タイプのプロジェクターのセグメントとなる。

 セイコーエプソン映像機器事業部長の内田健治氏は「直視型のTVは、毎日見る“日常”のものとして、一方のプロジェクターは“非日常”の特別なときに使うものとして住み分けられ、市場を食い合うということにはならない。新ブランド“dreamio”第一弾となる新製品は、映画館の感動を身近なプライベート空間で体感するための数々の機能を盛り込んだ。当社はこれまでデータプロジェクターに力を入れてきたが、今後は急速な拡大が期待できるホームプロジェクター市場を創造していきたい」と、プロジェクターの市場動向や新ブランドへの意気込みを語る。


プロジェクターの市場動向。ホームプロジェクター市場が急速に拡大していく

 「“映像のdreamio”として、“画像のColorio”と匹敵するぐらいのブランド名にしたい。従来のプロジェクターは、一部の愛好家のもので一般ユーザーは手を出しづらいというイメージがあった。dreamioで提示した“簡単さ”と“求めやすい価格”で、大画面の楽しさ・手軽さを訴求してプロジェクターの認知を広め、ホームプロジェクター市場の裾野拡大を狙う」(エプソン販売の真道昌良社長)

 主な仕様は以下の通り。

型番ELP-TW100
液晶パネル0.55型ポリシリコンTFTワイド液晶
画素数(横×縦×枚数)854×480×3
輝度1000ANSIルーメン
コントラスト比700対1
色再現性1677万色
対応ビデオ信号525i/525p/1125i/750p、Sビデオ、コンポジット
対応PC信号VGA/SVGA/XGA/(アナログRGB)
サイズ402(幅)×294(奥行き)×114(高さ)ミリ
重さ約3.6キロ
投写レンズマニュアルフォーカス1.54倍ズームレンズ(13.9-21.4mm、F1.7-2.1)
投影サイズ30〜300インチ
騒音レベル29デシベル(シアター・ブラックモード時)
価格16万8000円(実売14万円台)
発売時期9月5日

関連記事
▼ 10万円切る家庭向け製品の布石?--エプソン、低価格データプロジェクタ
▼ エプソン、黒板にもキレイに投影できるプロジェクタ発表
▼ エプソン、実売15万円弱の多目的プロジェクタ発表
▼ エプソン,重さ1.9キロで2000ANSIルーメンの液晶プロジェクタ
▼ エプソン,液晶プロジェクタ新製品2機種を発表--ホームシアター市場に本格参入

関連リンク
▼ セイコーエプソン
▼ エプソン販売
▼ dreamioページ

[西坂真人, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.