関西で火の手が上がったCATVの「区域外再送信」問題(1/2 ページ)
区域外再送信とは?
有線テレビジョン放送法によると、CATVが地上波放送などを同時再送信するためには、「放送局側の同意を得ることが必要」と定められている。
地上波民放の放送免許は原則として“県域単位”で付与される。この地上波民放の放送免許エリア内での再送信については、難視聴解消という意味合いが強いことから、放送局側の同意も得られやすいとされる。実際、放送局とCATV局が協力し合って、NHKと同様の「あまねく普及」を民放が実現してきたことは、紛れもない事実だ。
そうした「区域内再送信」とは別に、CATV局による「区域外再送信」というビジネスがある。区域外再送信が行われる理由は、県によって民放局の数が異なることと、そもそも電波は県境などで止まらないという事情による。
例えば、A県には4系統の民放局があり、隣のB県には3系統の民放局しかないとする。B県にはない系統の放送局の電波も、場所によってはB県内で受けられることがありえる。そこでB県内にあるCATV局が、B県内には本来ない系統の放送局の電波を両県の県境辺りで受けて、B県内で再送信するのが区域外再送信である。
B県に住む人たちは、そのCATV局のサービスを受けることによって、A県に住む人たちと同じく4系統の放送が見られることになるため、CATVにとっては有望なビジネスになりえるわけだ。
ただ、その場合でも、放送局からの同意は不可欠となっている。この同意は、A県からB県に持ち込まれる放送局の同意だけでなく、持ち込まれる側のB県の放送局の同意の両方が必要だ。そして、こうしたケースで得にくいのは、持ち込まれる側のB県内にある放送局の同意の方とされる。
その理由は、CATVによる再送信も視聴率にカウントされることになっているためだ。B県内では本来3局による視聴率競争が行われるはずであったのに、CATV局の「区域外再送信」によって、事実上4局による競争になってしまうからである。
これはアナログ放送時代から、CATVと放送局との間でトラブルの種になってきた問題だ。隣県の放送局の放送がCATVで流される際の視聴率は「その他」の扱いとなるが、全日でこの「その他」が10%近くを占めるケースも多々見られ、地元の放送局にとっては見過ごせない状況になっていたのである。
そうした経緯もあって、民放連(日本民間放送連盟)では、地上波放送のデジタル化を機に、CATVに対して区域外再送信を全面的に認めない方針を打ち出した。
ところが、こうした民放連の方針に反し、早くも区域外再送信を行うCATV局が登場してきた。地上波放送のデジタル化は関東・中部・近畿の一部で始まったばかりで、開始から半年も経っていないにも関わらず、である。焦点になっているのは、関西だ。
近畿地区では民放5局のうち、テレビ大阪の放送エリアが大阪府内に限られている。テレビ大阪以外の4局の中には、テレビ大阪の放送が兵庫県で区域外再送信されるのに同意しない局がある。それを受けて、西宮、尼崎、伊丹各市の7万世帯が加入する阪神シティケーブルは現在、アナログ波のテレビ大阪の番組は配信しているが、デジタル波については見合わせている。
ところが国内最大手のジュピターテレコム(J-COM)のグループ会社であるジェイコム関西(J-COM関西)が、4月上旬から神戸、芦屋、宝塚、川西、猪名川の四市一町において、テレビ大阪のデジタル配信に踏み切った。地上波デジタル放送についての区域外再送信の第一号である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
3
GMO不正アクセスの犯人サイト、ドメイン停止を確認
-
4
GMO、不正アクセス実行犯の手がかりに懸賞金 1億5000万円規模
-
5
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
6
【復旧】auで大規模障害 全国で通話・データ通信しづらい状態 緊急通報にも影響
-
7
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
-
8
IPO目論見書に「AIは人類の存亡リスク」「コードの9割はClaude製」 Anthropicが示した規格外の見立て
-
9
So-net、会員情報約259万件が漏えい 一部メールサービスではパスワードも流出
-
10
GMO、攻撃者の公開情報に「アクセスは絶対に控えて」 悪質な拡散者には法的措置を準備
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR