Linux家電制覇の道のりはまだ「これから」
家電向けLinuxの普及を目指す「CE Linuxフォーラム」(CELF)の結成から約1年、ようやく加盟各社の役割分担が決まり、活動が軌道に乗ってきた。
「第7回組込みシステム開発技術展」(ESEC、東京ビッグサイト)で開かれたセミナーで、三菱電機先端技術総合研究所からCELFに参加する吉本恭輔氏は「やっと数カ月前から、メーカーが活発に意見できるようになった。フォーラムの活動はこれからだ」と話した。
結成当初のメンバーは、松下電器産業やソニー、日立製作所など8社。その後、ARMなどの大手が続々と加盟し、現在は54社が参加している。加盟社数が予想以上に増えたことから、本格的に動き出すまで「企業関係のマネージメントに時間がかかった」という。
LinuxをAV家電に組み込む際、課題になるのは起動時間やリアルタイム性だ。CELFは6月28日、活動の成果として、カーネル2.4.20をベースに家電向け機能強化パッチをまとめた「CELF 1.0 Specification」を公開。起動時間の短縮や応答速度の向上、低消費電力化、AV機能の強化、システムサイズの縮小、セキュリティ強化などの改善が施された。
2.4.20は2002年11月にリリースされたカーネルだが、最新の2.4.26、2.6系の機能もバックポートしている。カーネル2.6をベースにした「CELF 2.0 Specification」の開発も始めた。
セミナーでは、起動時間の短縮を図る主な技術として、「Calibrate Delay Avoidance」「IDE No Probe」「Kernel XIP(eXecute In Place)」が紹介された。
Calibrate Delay Avoidanceは、組み込み用途に値を決め打ちしておいて、その環境での動作を前提とした処理などをソースコード中にハードコーディングする技術。変数「loops_per_jiffy」の算出時間を省き、200-250ミリ秒ほど短縮できるという。
IDE No Probeは、組み込み機器でほぼ使わないIDEデバイスの検出過程をスキップする。プラットフォームによっては1秒程度の短縮が可能だ。
さらにカーネルをRAMに読み込まずに実行できるXIP技術をサポート。起動時間を短縮できるほか、カーネルイメージを展開するRAM領域が不要になる。
ESECの展示会場では、富士通プライムソフトテクノロジがCELFの技術を組み込んだLinuxの起動時間をデモしていた。高速起動機能を無効にすると起動に約3.8秒かかるのに対し、有効にすれば約0.7秒。展示システムは、CELFとは違ってカーネル2.6ベースの独自版を載せていたが、主に機能強化パッチのおかげで短縮できたという。
しかし「ワンパッケージとしてはWindows CEの方がまだ優位」(吉本氏)なのが現状。パッケージとしての完成度を高めるため、CELF内にミドルウェア担当作業部会の新設を検討する。Linuxを家電で使いやすくする道のりは「まだまだ先が長そうだ」(吉本氏)。
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