DRM互換性推進団体、「ソニー参加、Apple不参加」の意味
ITベンダーと音楽会社の大手6社は10月4日、音楽や映画などのデジタルコンテンツを保護するデジタル著作権管理(DRM)システムに9カ月以内に相互互換性をもたらすことを目指して業界コンソーシアムを結成したと発表した。
このコンソーシアム「Coral Consortium」に参加しているのは、Hewlett-Packard(HP)、ソニー、Philips Electronics、松下電器産業、Samsung Electronics、InterTrust Technologies、およびNews Corp.傘下のTwentieth Century Fox Filmの6社。同団体は、デジタルオーディオ・ビデオコンテンツをサービス会社やデバイスの種類にかかわらず自由に再生できるようにするためのフレームワーク(同団体は「新しい技術レイヤー」と呼んでいる)の構築を目指す。
だがCoralのメンバーには、この市場の大手であるMicrosoft、RealNetworks、Apple Computerの3社が名を連ねていない。Appleは同市場で最も有力なデジタル音楽プレーヤー「iPod」とオンライン音楽サービス「iTunes Music Store」を提供している。
ロンドンのJupiter Researchのシニアアナリスト、マーク・マリガン氏によれば、相互互換性の実現を目指す団体の結成は最初のステップとして重要な意味を持つが、実際には、DRMシステム間の相互互換性がそうすぐに実現することはなさそうだ。
「iPodやiTunesに市場のそのほかのデバイスやコンテンツとの互換性を持たせたとして、Appleにとって何の得になるだろう? 共生関係はAppleにとって、非常に重要な製品であるiPodデバイスを販売する上では確かに不可欠だ。iPodの販売にとっては、iTunesを介して楽曲を販売、編成することに、より一層の価値がある」と同氏。
AppleのFairPlayシステムは、MicrosoftのWindows Media AudioやRealNetworksのHelix技術など、ほかのサービスが利用しているDRM技術をサポートしていない。そうした中、RealNetworksは今年7月、Appleの要請に逆らい、法的措置に発展しかねない危険を冒しつつも、iPodも含め70種類の携帯音楽プレーヤーでユーザーが自由に楽曲を再生できるようにするためのHarmony技術のβ版をリリースしている(7月26日の記事参照)。
「供給サイドでは、相互互換性が広く切望されている。だが、Microsoftからの抵抗がある。MicrosoftやAppleが今の地盤を譲りたがらないのは理解できる。AppleはiPodによって現在この市場で非常に強い立場にある。だがAppleがiPodをよりオープンな製品にするタイミングを逸すれば、同社のOSがWindowsやWindows搭載PCに対してそうであったのと同じように、iPodもトレンディなニッチプレイヤーに成り下がることになりかねない。世の中には、変わらざるを得ないこともあるということだ」とマリガン氏は語っている。
同氏は、今後デジタルコンテンツの消費がより主流になるにつれて、ITベンダーや音楽会社に対するユーザーの反発が生じると考えている。「そうした反発は、早ければ来年の初めにも生じるだろう。その頃には、クリスマスプレゼントとしてもらったiPodsなどのデジタルプレーヤーを使い始めたユーザーが、いろいろな制限の存在に初めて気付くことになるからだ。例えば、既に所有している楽曲やビデオの多くが新しいデバイスでは再生できないといった問題だ」と同氏。
またマリガン氏によれば、今回ソニーがCoralに参加したという事実は業界で変化が起こり始めていることの兆候だという。「ソニーは従来、非常に閉鎖的な企業であり、今回のことは同社とっては大きな決断だ。だが、この市場の従来の地盤の多くをiPodに奪われてしまった今、メインストリームに復活するためにはある程度の互換性が必要であるということをソニーも認識しているのだろう」と同氏。
また同氏によれば、相互互換性が実際どのように実現されるかという点については、おそらく標準技術よりもクロスライセンス契約に依存するという形で始まり、その後、デバイス向けにファームウェアのアップデートが提供されることになる見通し。
そうしたプロセスが始まるまでは、Coralなどの各種の団体は業界標準技術も推進することになる。
Philipsの知的財産・標準技術部門のキャロライン・カマービーク氏によれば、Microsoft、Apple、RealNetworksはまだCoralに参加していないが、彼らにもドアは開かれているという。「当社は、できる限り多くの企業がCoralに参加することを望んでいる。なぜなら、多くのパートナーを持つことが重要だからだ。市場を前進させるためのカギは相互互換性であり、それはエンドユーザーにとっても非常に重要なことだ」と同氏は語っている。
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