あるニュース担当者の嘆き――「私が4月1日を嫌う理由」
子供のころ、エイプリルフールの日は待ち遠しくてたまらない楽しい日だった。いつもがみがみ言われている子供にとって、先生や親など、自分にやりたいことをやらせてくれない偉い大人たちに一泡吹かせるチャンスだった。今、私は父親として、私が小さかったころもエイプリルフールの日の定番だったようないたずらを子供たちに仕掛けられる。ディケンズの古典『クリスマスキャロル』で3人のクリスマスの精と会う前のエベニーザ・スクルージのように聞こえるかもしれないが、今の私はエイプリルフールの日にこんな悪態をつく。「何てろくでもない日だ」
私のようなニュース担当者にとって、エイプリルフールの日はまさに悪夢。一部の会社がインターネットを主な手段として、実在しない製品や提供するつもりもない新サービスを発表するウソのプレスリリースを公開するのがすっかり恒例になってしまったからだ。この日の終わりには、本当のニュースと作り話を見分けるのに疲れてへとへとになっているのが常だ。この日の朝はいつもちょっと恐る恐る起きる。
わなを見破るのが簡単な場合も多い。製品があまりにとっぴだったり奇抜だったりして、日の目を見るはずがないと判断できるためだ。ThinkGeekのいかにも怪しげなiPod間転送デバイス「iCopulate」は、今年登場したネタの中でもその格好の例だ。PodGearは、iPodをシェーバーにする追加モジュール「PodShave」と「PodShaveLady」というジョークを披露した。いまいましいことに、同僚のクリストファー・ブリーンもこのジョークに一役買っていた。
しかし、企業がまことしやかな話を流したために受け手がそれを正規の発表と思い込んでしまい、後になってかつがれたことに気付くというケースもある。今年、そうした好例を提供したのがドイツのソフト会社Equinuxだ。同社は「iJuice」と「Movie mini」をそれぞれMac mini用のポータブルバッテリーパックとワイドスクリーンLCDディスプレイとして発表したが、これは実際のところ秀逸なアイデアだ。Equinuxの広報窓口に電話して事実かどうか確かめたところ、担当者はこの件について問い合わせが殺到したことから、Equinuxはハードウェア事業に参入してはどうかと上司に提案したと話してくれた。
App4Macは、Mac上であらゆるWindowsアプリケーションを利用できるようにする無料ソフトといううたい文句で「2Good」を発表した。ファイルサイズの小ささがその正体が怪しい第一の証拠だったが、偽のインストーラのおかげでこのソフトがジョークであることはすぐに分かった。インストーラは、「Windowsを狙ったウイルスやトロイの木馬、そのほかのガラクタもあなたのMacにインストールします」というメッセージを表示したためだ。なお、2Goodは「2Good(Too good)to be true」(まゆつば)というフレーズをもじった名前だ。
4月1日の午前、Ambrosia Softwareが発表した「ScreenCleaner Pro」について真剣に調べてしまったことを白状しよう。同製品は「ガンマ(明暗の度合い)を変更してモニタの劣化を補う」とされていた。ネタだと分かったきっかけは、彼らのWebサイトに、Macworldがこのアプリケーションを「星4.5」と評価したという情報が掲載されていたことだ(われわれは星ではなくマウスの数で評価結果を表示している)。同僚のダン・フレークスがこのいたずらに加担していたのは困ったものだ。
Your Mac Lifeのホスト兼プロデューサーのショーン・キング氏は、少なくとも1つのMacニュースメディアに同氏が休業するといううそのニュースをすっかり信じ込ませたようだ。目利きのはずのメディア関係者ですら一杯食わされることがあるのが分かる。
一方、エイプリルフールの日に本物の商品を発表する企業もある。例えばGoogleがそうだ。4月1日にGoogleのWebメールサービス「Gmail」はリリース1周年を迎えた。昨年、Gmailの発表についての記事を配信したとき、一部の疑い深い読者はエイプリルフールのいたずらだと確信した。一体全体、まともな企業が1Gバイトのメール容量をただで提供などするだろうか、と思ったわけだ。
Googleは今年の4月1日、Gmailのメール容量拡大を発表した。それは決してジョークではない。容量拡大とともに、フォント選択や個条書き、強調表示への対応のほか、サポートするブラウザの拡大など、多数の機能強化が施された。しかし、発表のタイミングには改善の余地がある。
実際、Googleは新しい「スマートドリンク」と銘打つ「Google Gulp」も嬉々として発表した。「遺伝子の恐ろしい突然変異」のリスクを覚悟で飲めば、脳内の化学成分が変わるという触れ込みだ。もちろん、Googleのいつもの流儀に従って、この偽商品のGoogle Gulpはβ版とされている。
こうしたおふざけにへきえきすることもあるが、実に愉快で巧妙ないたずらを思い付くライターと編集者に脱帽するしかないこともしばしばだ。その趣旨で言えば、私にとって今年のエイプリルフールネタで間違いなく最高だったのは、The Mobile Music Blogの「World Exclusive! First Look at iTunes Phone」(独占レポート! iTunes Phoneファーストルック)だ。
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