CS放送にも“視聴率”の時代?――始まった測定実験(1/2 ページ)
いまだ微々たるCS放送の広告市場
CS放送の専門チャンネルの視聴世帯数は800万件程度と言われており、日本の世帯数全体に占めるシェアは2割程度にとどまっている。米国のようにペイテレビの視聴比率が、地上波のようなフリーテレビを上回っているところと比べると、まだまだ日本では専門チャンネルを普及させていく余地が大きいといえるだろう。
これら専門チャンネルの大半はペイテレビだ。とはいえ、実際には視聴料収入と広告収入の二本立てでビジネスモデルを構築していく必要がある。そういう点からCSチャンネルの広告マーケットの規模を見ると、現状はあまりに小さいといわざる得ない。
テレビ広告費は景気動向の影響を受けやすいと言われるが、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌というマスメディア4媒体で見れば、テレビ広告費は安定的に推移しており、2兆円規模の市場をほぼ維持している。
一方、CS放送の広告市場はというと、CAB-J(衛星テレビ広告協議会)会員局42局の広告売上を合計してもわずか151億円(03年度)に過ぎない。
視聴世帯数が全体の2割程度ということから考えると、地上波とCS放送の広告市場の規模の乖離(かいり)はあまりにも大きい。CS放送側からすれば、視聴者のターゲットが絞り易いという特性を持つにもかかわらず、その実力に相応した収入が得られていないのである。
尺度を持たないことが、広告媒体としての欠点か?
その最大の理由とも言えるのが、いわゆる視聴率という尺度を持っていないことである。現在、日本の視聴率調査会社は、専門チャンネルの視聴率を個別に集計してはいないからだ。
確かに個別に測定したところで、しょせん地上波とは比べ物にならない数字にしかならないが、それでも何らかの明確な数字を示さなければ、広告主を説得することができないことも事実である。微々たる数字ではあっても、正確な情報があれば、広告主はその数字と“的確なターゲッティング広告が可能”だという特性から、費用対効果を勘案し、CS放送に(いくらで)出稿するかどうかを決められるようになるに違いない。視聴率が1%にも満たないチャンネルが多いとはいえ、チャンネルごとの比較を行えることには意味があるし、時間帯によって予想外に高い数字を示すものが出てくるものだってある。
CATV経由で視聴されているケースについては、CATVのデジタル化に付随して使用される新たなSTBを通じて、かなり正確な視聴動向を把握することが可能になる。特にJ:COMのように札幌から福岡まで広くエリアをカバーしている事業者が正確な数字を把握できるようになれば、CS放送事業者はもちろんのこと、広告主にとって、それは非常に有効な数字といえるだろう。
CATVのベーシックパッケージに入っているチャンネルの場合、そのCATVの加入世帯数をそのまま視聴可能世帯数として捉えられているが、それでは話にならない。実際に視聴者がどのチャンネルを多く見ているのかを明確にしないことには、広告収入の拡大は望めないだろう。広告主の立場からすれば、視聴可能世帯数を示されるだけでは、広告を出稿しようにも、価格さえ設定しようがないからだ。
放送のデジタル化による成果として生まれた多チャンネル放送である。デジタルならではの数字が示せるようになって初めて、適正な広告収入が得られるのは当然のことだろう。少しでも収入を拡大させることができれば、コンテンツ投資にも力を注げるようになる。より専門性の高い優良なコンテンツが提供できるようになるわけである。
JPCのチャレンジ
こうした課題に対処するため、番組供給統括会社であるジュピター・プログラミング(以下、JPC)はこのほど、調査会社として知られるGfK Groupの子会社で、スイスに本社を置くTelecontrolが開発した腕時計型の視聴率測定装置「メディアウオッチ(MediaWatch)」を使った実証実験を行うこととなった。
この実験では、京浜地区のCATV加入世帯から300人をモニターとして募集し、メディアウオッチを約3週間にわたって装着してもらい、視聴率調査を行う。もしメディアウオッチによる視聴率調査に問題がないとJPCが判断すれば、同測定システムの正式採用を検討する予定だという。
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