Intelに対抗できるか? 中国産CPU「Godson-2」(2/2 ページ)
MIPS Technologies幹部からコメントは得られなかった。同社は声明文の中で、Godson-2はMIPS命令セットと互換性があるというICTの主張を確認するためのテストは行っていないと述べている。
「MIPS命令セットの一部は実行されるかもしれないが、重要なのは命令セットよりもMIPSプロセッサだ。当社の知的財産保護(特許および企業秘密)は、命令セットだけでなくアーキテクチャをカバーしている」とこの声明文にはある。
さらに、Godson-2とMIPSアーキテクチャに互換性があっても、必ずしもGodson-2が特許付き技術を基にしていることになるとは限らない。「MIPSアーキテクチャは文書化されており、公開されている」とハーフヒル氏。
Godson-2は非常に洗練されたプロセッサ設計かもしれないが、技術だけではPCプロセッサ市場でIntelに対抗するには不十分だ。Texas InstrumentsやIBMなど、半導体業界の重鎮数社が、この市場に食い込もうとして失敗してきた。
IntelとAMDにこの市場で対抗し続けているのが台湾のVIA Technologiesだ。同社は最高2GHzで動作する安価な省電力プロセッサを提供しているものの、PCプロセッサの主要サプライヤーとしての地位を確立するのに苦労している。
一方BLXには、Godson-2をIntelやAMDのPCプロセッサの対抗馬として推進する計画はない。「実際のところPC市場は既に飽和している。AMDとIntelに占められているため、われわれはこの分野をターゲットにしていない」とBLXのゼン氏。
この分野においては、同社にはほとんど選択肢がない。IntelとAMDのPCプロセッサはx86命令セットに基づいており、これはGodson-2のMIPSライクな命令セットと互換性がない。
Godson-2がほとんどのPCにおいてIntelとAMDのプロセッサに取って代われないのはもっぱらそのためだが、セットトップボックスなどほかの用途の可能性は残されている。さらに、x86との互換性がないからといって、PC市場から完全に閉め出されることはない。
「Windowsを走らせるのなら、必要なのはx86だけだ」とハーフヒルは語り、MIPSベースプロセッサは各種のLinuxを走らせることができると述べた。Godson-2は、MIPSベースプロセッサ向けに書かれた一部ソフトを実行できるユーティリティにより、Linuxを動作させられると同氏。
だがこのプロセッサが成功するには、対応ソフトの不足と性能が比較的低いという課題を克服しなくてはならない。
最も大きな性能のボトルネックはフロントサイドバス(FSB)だとフー氏。Godson-2で使われているFSBは現在100MHz。これに対しIntelプロセッサでは最高1066MHzのFSBを使っている。
そうした制限にもかかわらず、Godson-2は中国半導体業界の重要な進歩と、将来の展望を示している。同プロセッサがもっと高度な製造プロセスで製造されれば、非常に競争力のあるものになるとハーフヒル氏は語る。
「米国のハイエンドプロセッサほどカスタム設計を使っていないという点以外では、設計に間違いはない」(同氏)
今後のGodsonプロセッサはさらなる性能向上を図る予定であり、フー氏は、MIPS命令セットとの完全な互換性を実現したい考えだ。それにはMIPS Technologiesからライセンスを取得する必要がある。
フー氏によると、MIPSとICTの幹部は3年近く前からライセンス契約について交渉しており、双方とも合意に至りたいと思っている。「MIPSアーキテクチャのライセンスを購入すれば、われわれはMIPS命令をGodsonに実装できる。そうなればこのプロセッサはソフトとの互換性を持つようになり、アプリケーションの移植ももっと簡単になる」
ライセンスを取得すれば、ICTはMIPS Technologiesの技術サポートを受けられ、Godson-2をMIPS互換プロセッサと言えるようになる。それはこのプロセッサを見込み顧客に売り込む上で後押しになると同氏。
さしあたり双方の間で障壁となっているのは、ICTがMIPS互換を主張していることのようだ。「“MIPSライク”という言葉は、無許可の製品にわれわれの商標を不適切に適用している。これは誤解を招き、市場に混乱を引き起こしかねない」とMIPS Technologiesは声明文で述べている。
これに対し、フー氏は先週、ICTはもう「Godson-2はMIPSライクアーキテクチャを使っている」とは主張しないと発表した。代わりに、同社はGodsonアーキテクチャが、MIPS Technologiesが特許を取得していない命令セットの一部と、ICTが開発した命令(マルチメディア命令など)を基盤にしていることを明確にしている。
双方がライセンス契約を成立させられるかどうかは分からないが、Godson設計者らは今、Godson-2の第2のバージョンを準備している。それは来年130ナノメートルプロセスで製造され、クロックスピードは最高1GHzになるという。またFSBも高速化され、キャッシュも増え、DDRをサポートする。
このプロセッサへの取り組みが完了したら、フー氏はマルチコアのGodson-2後継版の開発資金を集めたい考えだ。そのプロセッサは「Godson-3」と呼ばれ、少なくとも4個のコアを搭載すると同氏は説明している。
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