「Vista」新フォントは「国語政策的にも正しい」
次期Windows「Vista」から、日本語フォントが一新される。最新のJIS規格「JIS X 0213:2004」(JIS2004)を採用。常用漢字表にない「表外漢字」の正字体が打ち出せるようになる。その一方で、従来のWindowsで採用していた表外漢字の略字体が、そのままでは打ち出せなくなる。「葛」「辻」「飴」などといった字がその例だ。
「葛」なら、「ヒ」の部分が、L字の中に「人」が入った字体に変更。奈良県葛城市など略字体を正式名称に採用した自治体は、Windowsで正式名称が打ち出せなくなるなど、混乱も懸念されている。
マイクロソフトのウィンドウズ開発本部 リードプログラムマネージャの阿南康宏氏は「従来のWindowsで使えた文字がなくなるという認識は誤解。なくなるのではなく、正しい文字に変わる」と強調する。国語審議会で「正字」と認定された表外漢字が、これまでのWindowsで打ち出せなかったことこそが問題だという認識だ。
表外漢字は標準の字体が定まっておらず、2000年12月の国語審議会(現在の文化庁文化審議会国語分科会)が答申した「表外漢字字体表」でようやく基準が示された。JISは2004年2月の改正(JIS2004)でこれに対応し、「葛」「辻」「飴」など、規格票の例示字体では略字や俗字だった文字の一部を、表外漢字字体表が示した「印刷標準字体」に改めた。
初出時、「JIS委員の見解」として掲載した部分は、JIS委員のものではありませんでした。お詫びして訂正いたします
国語審議会は「今後、情報機器に搭載される表外漢字字体は、表外漢字表の趣旨が生かされることが望ましい」としており、経済産業省は、情報機器の世代交代の時期などの機会に表外漢字表に対応するよう改めることを奨励(関連資料、PDF形式)。これを受けてWindowsも世代交代に合わせた新JIS採用を決めたという訳だ。「Vistaで採用するフォントは、日本の国語政策的にも正しい」(阿南氏)
つまり、新JISの書体は、以前のWindowsに搭載していた略字よりも「正しい」。とはいえ、以前のWindowsで使えた文字が、Vistaでは表示・印刷できなくなるのではという懸念は残る。同社はこれに対して、字体切り替え機能で対応する予定だ。
VistaはOSレベルでOpenTypeをサポート。従来は、デザインソフトなど一部アプリケーションでしか使えなかった字体切り替え機能が、広範なアプリで手軽に利用できるようになるという。
また、新JISに対応したMSゴシックとMS明朝のフォントをWindows XPとWindows Server 2003向けに提供する予定だ。新JISのフォントをXPでも表示できるようにし、互換性を保つ。Windows 2000など、サポート期間が終了したOSには提供予定はないが、ユーザーの要望が大きければ対応を検討するという。
8ポイントでもはっきり読める「メイリオ」
Vistaに搭載予定のフォント「メイリオ」は、文字表示をなめらかにする技術「ClearType」対応を前提に開発した初の日本語フォント。「明瞭」をもじってメイリオとした。
ClearTypeは、文字の斜め線の部分をグレーを使って補完する従来のアンチエイリアシングと異なり、RGB各色を個別に制御して中間調で補完するため、単純なグレーよりもなめらかに見える。ClearType対応を前提にしたフォントは、欧文ではXPから搭載済み。日本語フォントの開発が待たれていた。
メイリオでは、東アジア言語向けにチューンアップしたClearTypeを活用している。特に液晶画面での可読性を高めた「読むためのフォント」だ。横組みをさらに読みやすくするために和欧間の比較サイズ、黒み、並び具合、字間などを調整。「日本語で視認できる最小サイズ」の8ポイントでも、十分読みやすいフォントになったという。
デザインを担当した河野英一氏は、ロンドンの地下鉄や電話番号帳の書体をデザインしたことで有名。欧文と和文を組み合わせた書体を研究しており、その成果をメイリオに投入したという。
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