2006年ワールドカップに登場なるか――テストが進むチップ内蔵ボール
ICチップを内蔵したサッカーボールの実用化に取り組むエンジニアは、この技術が来年ドイツで行われるFIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップサッカー大会に採用されると楽観視している。
「われわれはニュルンベルクのメインサッカースタジアムでかなり前からこの技術をテストしている。最近ではペルーで開催されたFIFAアンダー17(17歳以下)選手権でもテストを行った」と独Fraunhofer Institute for Integrated Circuitsのパフォーマンス最適化システム担当ディレクター、ガンター・ローマー氏は語る。「この技術はうまく機能している。来年のドイツの試合で使われることになるだろうと非常に楽観的に見ている」
FIFAでは、審判が難しいゴール判定を行うのに役立つという観点などからこの技術に関心を示しているが、まだ最終決定は下していない。
この無線ベースの追跡システムは、ボールがフィールドから出たかどうかの判定や、個々の選手についての統計作成などにも利用できる可能性があると、ローマー氏はミュンヘンで開催のSystems ITカンファレンスでの取材に対して語った。
チップ内蔵サッカーボールはスポーツウェアメーカーの独Adidas-Salomon、ソフトメーカーの独Cairos Technologies、Fraunhofer Instituteによって開発されている。
この技術は、データを送信するトランスミッタを搭載したASIC(特定用途向け集積回路)チップをベースにしているとローマー氏は語る。Adidasが開発したシステムにより、チップはボールの高速な移動やキック時の激しい衝撃に耐えられるように、ボールの中央部に吊られた状態になっている。ローマー氏はAdidasのシステムについてはコメントを控えた。
また、選手のすね当てに埋め込むためのより小さく薄い同様のチップも開発されているという。
ニュルンベルクのスタジアムでは、アリーナの各所に設置された12のアンテナが、チップから送信されたデータを収集するようになっている。アンテナは高速光ファイバーネットワークに接続されており、データはこれを介してLinuxサーバクラスタに転送される。
ローマー氏によると、チップによる無線通信では、Wi-Fiシステムで使われるのと同じ免許不要の2.4GHz周波数帯が利用される。「われわれのテストでは、Wi-Fiシステムがわれわれの技術に干渉した例はないが、われわれの技術がWi-Fiシステムへの干渉を引き起こしたケースが散見されている」とローマー氏。「われわれはあらゆる干渉を回避する方法を模索している。試合ではWi-Fiが使われることが分かっているためだ」
FIFAでは、年末に日本で行われる選手権でこの技術をテストしたうえで、来年のドイツワールドカップの会場に選ばれた計12のスタジアムにこの技術を導入するかどうかを最終決定する計画だ。
「この技術は極めて正確だが、完璧ではない。完璧な技術というものは存在しない」とローマー氏。「われわれの技術の目的は、道具として役に立つことだ。結局のところ、ボールがゴールラインを割ったかどうかを判定するのが審判であることに変わりはない」
Systems ITカンファレンスは10月28日まで開催される。
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