Amazonがレンタル開始――商品ではなく、検索エンジンを
高度に複雑なインターネット検索サービスを運営するための技術をほぼすべてレンタルするサービスをネット小売業者の米Amazon.comが開始した。
Amazonは1日1ドルの低料金で、50億ページのWebページのインデックスに加え、Webの膨大な情報を探索して結果をユーザーに提供する新しい仕掛けを構築するための、インターネットベースツールへのアクセスを提供する。
Amazonのこの最新の動きは、インターネット検索についてのかなり斬新なアイデアが核になっていると同社は考えている。だが、この動きのベースにあるのは、企業が製品を開発して他社に販売またはレンタルし、他社がそれに手を加えて自社ブランドで提供できるようにするという、昔ながらのビジネスモデルだ。
今回のケースでの製品は、Amazonが1999年に買収したAlexaの開発した検索エンジンだ。
「AlexaとAmazonは門外不出だったインデックスをWebサービスとして公開し、誰でも自分の独自コンテンツと統合できるようにしている」と検索アナリストのジョン・バテル氏は同氏のブログに書いている。
こうした“ホワイトボックス”方式のビジネスモデルは製造業や通信サービス業で長年利用されてきた。
このビジネスモデルのプラス面は、企業が製品開発にそれほど時間をかけずに済むことだ。マイナス面としては、このモデルを用いて開発された製品はどれも同じ技術をベースにしているため、大同小異になってしまうことなどがある。
今回の動きはAmazonにとって、新たな収入源になるとともに、同社がWebで展開するサービスにユーザーを呼び込むチャンネルの拡大につながるというメリットがある。
別の観点から見ると、Amazonが打ち出した検索エンジンの開放戦略は、1990年代末への回帰でもある。当時、検索エンジン業界では広告ビジネスの開発があまり進んでおらず、Alexaがそうだったようにサービスのレンタルに収益を依存する傾向があった。
「さっぱり面白みが感じられない」とSearchenginewatch.comの編集者ダニー・サリバン氏は語る。「こうした試みは今に始まったものではない。これは検索広告が普及する前の、検索エンジン会社がストレージとプロセッサの使用時間の対価を稼ごうとしていた時代の遺物だ。検索広告がこのレンタルサービスモデルを過去のものにした」
最近ではオープンな検索APIがコミュニティーや企業で創造的に活用されていることを指摘するアナリストもいる。
「Google Maps APIの例は実に興味深い。Amazonは、その自社バージョンに当たるものとしてAlexaの技術を位置づけている」とSearch Tools Consultingの主席コンサルタント、アビ・ラポポート氏は語る。
「Amazonは世界地図の代わりに、いわばWebの地図、つまりWebのデータベースと、それらの間の関係を示す地図を持っている。そして同社は、人々がそうした情報を使って面白いものを生み出せると考えている」
ラポポート氏は、Alexaの技術はインターネット上の比較ショッピングや自然言語検索の機能改良に役立つかもしれないと語る。
「米国の保安当局がテロリストを追跡するために、既に同様なことに取り組んでいるのは確かだ」(同氏)
さらに、Alexaの技術は検索ユーザーに提供される情報の質を向上させる可能性もあると同氏は付け加える。
「Alexaの技術の真価は、情報間の関係をカバーしていることにある」とラポポート氏。「何十億ものWebページを探索することを考えた場合、この技術は極めて面白い方法だ。一般的なデータベースクエリーとは異なる方法であり、それよりもはるかに高度な機能を利用できる」
「Amazonはこの技術の画期的な用途を見いだしていないが、他社のオープンAPIが成功していることから、同社は、創造意欲のある外部の多くの開発者が用途を開拓することを期待しているはずだ。今回の動きはAmazonのオープンAPIへの関心を刺激することになる」(同氏)
Amazonの動きに対するGoogleやYahoo!、America Onlineなど大手検索エンジン企業の今後の反応をめぐって論争も起きている。これらの企業は現在、独自アルゴリズムのごく一部を開発用に公開しているにすぎない。
バテル氏はこう述べている。「開発者や起業家にとって、このサービスを使う方が独自に開発を行うよりも安上がりかどうか、私にはまだ分からない。このサービスは試合の行方に影響するだろうか?」
「だが、やはりそうとしか思えない。そうでなければ、Amazonはこんなことを始めないだろう」(同氏)
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
配布前の「ちいかわ」グッズがメルカリに? くら寿司コラボ第2弾、初日から“内部犯”の臆測呼ぶ 第1弾に続き
-
2
ダークチョコ(カカオ85%)を毎日3週間食べる→ネガティブ感情が減少 70%では変化なし 韓国での研究結果
-
3
開成の鉄研、寝台特急「サンライズ」での迷惑行為を謝罪 大声やラウンジ占拠など……旅行活動停止
-
4
RIZAP社員、私用AIに顧客の個人情報入力 氏名や疾患、保険証番号など……同社が謝罪
-
5
「三省堂書店池袋本店」閉店へ 11年の歴史に幕、惜しむ声続々
-
6
ELYZAの「業務AIアプリをAIで作成」特許、「新規性ない」と批判殺到→謝罪後も収まらず
-
7
新宿駅に「ごみ箱ロボット」出現 改札内を自動巡回 JR東が実証実験
-
8
SEGAそっくりのロゴで「MAGA」――トランプ政権公開のWebゲームが物議 移民送還などを題材に 【追記あり】
-
9
OpenAIのAIエージェント、休眠サイトを掲示板化してタスク回答を共有か 研究団体が報告書公開
-
10
「RSA-260」ついに解けた Xに“130ケタの数字”投稿、世界が注目 マスク氏「文字数増やしてよかった」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR