「現代の錬金術」 セメントを金属に変化、東工大など成功
セメントが金属に変身──電気を通さない絶縁体であるはずのセメントを、黒鉛の2倍以上という高い電気伝導を示す金属状態に変える“現代版錬金術”に成功したと、東京工業大学、大阪府立大学、理化学研究所、高輝度光科学研究センターが発表した。
テレビなどに使われる液晶ディスプレイには、透明かつ電気を通す「透明金属」が使われているが、材料として使われているインジウムは液晶生産量の拡大から将来の不足が心配されている。研究グループは「ナノ構造を利用し、身の回りにあるごくありふれた元素を使って透明金属を実現できる有望な道筋を与えた」としている。
成功したのは、東工大フロンティア創造共同研究センターの細野秀雄教授、大阪府大の久保田佳基准教授、理研の高田昌樹主任研究員らの共同グループ。成果は米国化学会発行の科学雑誌「Nano Letters」に掲載される。
セメントの構成成分として使われている、石灰とアルミナで構成する化合物(C12A7)は、直径0.5ナノメートルという極小の「かご」が結びついて結晶を作っている。その中に酸素イオンが入っており、摂氏700度以上になると結晶中をよく動き回ることに着目。金属チタンと一緒にガラス管に封入し、1100度で加熱することで、酸素イオンをほぼ100%電子で置き換えることが可能になり、絶縁体を半導体、金属にまで変えることに成功した。
C12A7の半導体化には2003年に成功していた。金属化の成功で、今後は「セメント超電導体」の実現が目標だとしている。
研究に当たった細野教授には、透明金属を解説した共著「透明金属が拓く驚異の世界」(ソフトバンククリエイティブ)がある。
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