コラム
ヤフーとiTunesの連携で浮かび上がる構図(2/2 ページ)
ユーザー側から今回の動きを見た場合、メリットは2つある。ひとつは普段から立ち上げ利用しているWebブラウザからiTunes Storeで販売されている楽曲リストを検索、確認できること。iTunesを起動すること自体にさほどの手間はかからないが、ネットでニュースや株価をチェックするといった日常の流れに「楽曲の検索(と購入)」という要素を組み込めるならば、ライトユーザーの取り込みに大きな威力を発揮するはずだ。
もうひとつは、Yahoo!ミュージックを経由して購入できる楽曲のファイル形式が、ウォークマンでしか聴けないATRAC3に限定されなくなったことだ。iTunes StoreではiPod用のAAC(DRM処理されたAAC)はもちろんのこと、「iTunes Plus」として開始されたDRM処理なしのAACも購入できる。「iPodで聴ける」「再生機器を選ばない」楽曲のダウンロードをYahoo!から体験できることになり、これもユーザー層の拡大に大きく貢献するだろう。
ユーザーが享受できるこれらのメリットを勘案すると、今回の連携はヤフーとアップルという2社間のサービス連携が開始されたというにとどまらず、日本における音楽配信の潮流に大きな変化をもたらす可能性を秘めていることが分かる。
やや極端な発想になるが、月間約409億PVという強力な集客力を持つYahoo!と500万曲以上(全世界累計)の楽曲ライブラリを有するiTunes Store、それにiTunes Storeと親和性の高いiPod(こちらも全世界集計ながら累計1億台以上を出荷している)が連携することで、「ネットで曲を買うことに興味のある人→ Yahoo! JAPAN → iTunes Store」という流れが強大なものへなる可能性があるのだ。
iPodの国内出荷台数とiTunes Store(日本語版)の楽曲数は非公開なので実数は推測するしかないが、それでもiPod/iTunes Storeの存在感が既に同種他社製品/サービスを上回っていることに異存を唱える人は少ないだろう。
無論、ここで指摘したことついては筆者の想像に過ぎない。ただ、音楽配信というサービスにおいて、今回の連携が1本の太い導線となりうる可能性は否定できないはず。ライバルであるソニーも3月に発表した新型ウォークマンにワンクリックで音楽/動画配信サイトへユーザーを導くランチャーソフト「WALKMAN Launcher」を付属させており、既に「導線」の重要さには気が付いている。
Yahoo!という援軍を得たiTunes Storeがこのまま音楽配信サイトのデファクトとして存在感を高めるのか、Moraをはじめとした他サービスが反撃するのか。定着したとはいえまだ市場規模がパッケージ(CD)や携帯電話向けサービス(着うた/着うたフル)に及ばないPC向け音楽配信の市場が大きく変化しようとしている。
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