公共図書館初・電子書籍貸し出しサービス 千代田図書館
東京・千代田区の区立千代田図書館は11月26日、電子書籍をインターネット経由で貸し出すサービスを始める。24時間いつでも貸し出し・返却でき、「図書館に立ち寄れない多忙な人などに気軽に本を借りてもらえれば」としている。電子書籍の貸し出しは公共図書館としては日本初という。
「千代田Web図書館」をオープンし、サイト経由で電子書籍を貸し出す。当初は小学館やPHP研究所、日本経済新聞出版社など16社の約3000タイトルをそろえた。
「アニメーション産業に関する最新調査結果について」(新産業経済研究所)など、電子版での蔵書が向く調査研究資料を積極的に購入する。冊子と重複して購入する予定はないという。
利用する場合、図書館に1度来館して利用登録する必要がある(登録済みの場合は不要)。同サイトかメールでアカウント作成を申し込み、発行されたアカウントとパスワードで同サイトにログイン。リストから読みたい電子書籍を選び、「貸出」ボタンをクリックすると読むことができる。
電子書籍の管理にはiNEOの「Lib.pro」を採用。XMLやPDFなどの形式で収録し、閲覧には専用リーダーのインストールが必要(Windows 2000/XP/Vista対応)。
送信時にデータを暗号化する上、ユーザーのHDDにデータを複製せず、閲覧時はメモリ上にのみ展開するようにするDRM(デジタル著作権管理)を導入している。専用リーダーのしおり機能などは、同一ID・同一PCで再閲覧した場合には引き継いで使えるようになっているという。画面コピーや印刷などもできない。
貸し出しは1人につき5冊・14日間まで。返却はいつでもでき、貸し出し期間が過ぎると自動的に閲覧できなくなる。
電子書籍ながら、図書館が冊数分を購入して貸し出す形のため、同時貸し出しできる冊数にはタイトルごとに制限がある。借りたい本がすべて貸し出し中の場合は予約が可能だ。
2008年3月末までは試用期間とし、利用を千代田区内の在住者に限る。
「本の街」から初の試み
出版不況と本離れが指摘される中、ベストセラーの貸し出しをめぐって作家・出版社側と図書館とのあつれきが一部で生じるなど、図書館と出版社の関係は微妙になっている部分もある。
出版各社も独自に電子書籍販売に取り組む中、千代田図書館の新サービスに参加する小学館は、1冊100円の月刊誌「本の窓」を3冊提供するために「1カ月議論を重ねた」という。「実は雑誌のデジタル化はハードルが高い。著作者や広告、商標など多くの決断が必要。右から左にデジタル化すればいいというものではない」(同社)
同図書館の田中榮博館長は「われわれだけでは不可能で、出版社に協力してもらって実現した。こうした協力体制が今後の図書館の方向性では」と話す。管理システムの統計機能を使い、出版社側に貸し出し状況などをマーケティングデータとして使ってもらうといった「ビジネス支援」も積極的に行う。
千代田区には出版社が多く集まり、本の街・神保町もある。5月に同図書館がリニューアルした際には新しい情報検索システムを導入。蔵書だけでなく、神保町の古書店の在庫情報も検索できるようにした。図書館を通じ地域活性化につなげる試みだ。
参加を決めた小学館も長年の地元企業。同社は「本の街でこうした試みが始まり、一緒にスタート台に立てたのは幸い」と話している。
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