AVCで“6倍録り”、加ViXSが「XCode III」を発表
加ViXS Systemsの日本法人ViXS Systems Japanは11月13日、新型ビデオプロセッサ「XCode 3000シリーズ」(以下、XCode III)を発表した。XCodeといえば、日立製作所の薄型テレビ「Wooo」に搭載されたHDトランスレート用チップだが、XCode IIIはARCのマルチコアプロセッサを統合したSOC(System On Chip)へ進化。MPEG4 AVC対応とあわせて適用範囲を拡大している。
ViXS Systems Japanの東正次カントリーマネージャーによると、XCode IIIには大きくわけて3つの特徴があるという。まずMEPG4 AVC(H.264)トランスコーダーによる画質向上と録画時間の延長。しかもハイビジョン映像のマルチトランスコードが可能だ(後述)。またCA/DRMサポートなどのセキュリティ機能を実装。さらにイーサネットやUSBといった各種のペリフェラルインタフェースも統合している。同社が提供するLinuxベースのSDKとあわせて市場投入までの時間を短縮できるという。
トランスコーダーは、ハイビジョン解像度のMPEG-2 TSをAVCにトランスコードしながら、平行してAVCからMEPG-2へのトランスコードが行える“マルチ”仕様だ。ハイビジョンレコーダーの場合、AVC録画と同時に“タイムシフト再生”が行える(2番組を同時にAVC記録できるわけではない)。「メリットは、既存のMPEG2アーキテクチャーのシステムソフトウェアを変更せずにタイムシフト機能を実装できること。別途AVCのデコードチップを搭載しなくても、XCode IIIがMPEG2にして出力する」(同社)。セットメーカーは開発リソースを抑制しつつAVC記録をレコーダーに実装できるという。
デモンストレーションでは、試作機(エンジニアリングボード)を使って19MbpsのMPEG2を10M/8M/6M/4MbpsのMPEG4 AVCに変換(いずれもフルHD解像度)。トランスコードした映像をBD-REメディアに記録し、ソニー「PlayStation 3」で再生してみせた。「10Mbpsなら元映像と比べてもほとんど遜色ない画質を提供できる。また4MbpsでBSデジタル放送を録画した場合、同じHDD容量で6倍の録画が可能になる」。
ネットワーク配信やモバイル端末向けのフォーマット変換も高速だ。たとえばレコーダーをDLNAサーバにしたとき、従来はMPEG4 AVCの番組があってもテレビなどのクライアント側がサポートしていないと伝送できなかったが、XCode IIIではリアルタイムにMPEG2変換して送出する。デモンストレーションでは、XCode IIIにDLNAサーバスタックを実装したサンプルをサーバとして使い、バッファローの「LinkTheater」で再生してみせた。
エンコードできるフォーマットは、MPEG2、MPEG4 SP/ASP/AVC、WM9、VC-1と多彩。さらにモバイル端末やネットワーク配信で利用するため、1つの映像ストリームを複数の解像度やビットレートで変換する“ミラーエンコード/トランスコード”機能を備えた。たとえば1つの番組を録画すると、テレビ視聴用の6Mbps MPEG2とモバイル機器用の128Kbps MPEG4 AVCが同時に作成する。
「現状のコピーワンスでは、2つのコピーがHDDに存在することはできないため、ミラーエンコードを利用するにはシステム側の(片方を見えなくするなどの)対応が必要だ。しかしダビング10の運用が始まれば、ミラーエンコードを生かした面白いアプリケーションが出てくるかもしれない」(同社)。
デコードについては、MPEG2とAVC、さらにVC-1をサポートしている。従来のXCode 2100シリーズはトランスコードだけを担当する、いわば「“前段”のチップ」(同社)だったが、出力までをサポートしたことで、セットメーカーはレコーダーのCPU負荷を軽減できる。
CA/DRMサポートを含むセキュリティ機能に関しては、レコーダーよりむしろデジタル放送対応のPCやチューナー機器にメリットが大きい部分だ。PCの場合、ARIBの運用規定によって暗号化していないデジタル放送データをPCIバスなどを通すことができず、デジタル放送への対応が遅れたのは周知の通り。このためXCode IIIでは、B-CASなど各種カードをサポートしたほか、複数の暗号化/複合化に対応したハードウェアエンジンを内蔵。放送波のスクランブルを解除し、トランスコードなどの処理を内部で行ったあと、再び暗号化してから出力する「極めてセキュアな仕様」になっている。
発表会に同席したバッファローの市場開発事業部長・和田学氏は、「地デジ対応のPCは全出荷台数の3~6%に過ぎない。しかし、XCodeで“後付け地デジボード”などの製品が出せるようになる」と話す。「これまではハイエンドのコンシューマー製品にしか(地デジ対応機は)なかったが、今後はミドルレンジからローエンドのPCでも地デジを楽しめるソリューションを提供したい」。
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