NVIDIA、「Tegra」でIntelのAtomに対抗
米NVIDIAはモバイルインターネットデバイス(MID)向けの新プロセッサでIntelに対抗するかまえだ。
NVIDIAはグラフィックスプロセッサで知られる企業だが、新たに誕生しつつあるMID市場にも乗り出そうとしている。
NVIDIAは6月2日、台湾で開幕したCOMPUTEX TAIPEI 2008カンファレンスで新しいプロセッサファミリー「Tegra」を発表した。NVIDIAはTegraについて、MID向けの「コンピュータ・オン・チップ」プラットフォームと説明している。
「Tegra 650」シリーズの新プロセッサはサイズが144平方ミリと非常に小さく、消費電力が1ワット以下に収まるため、バッテリー駆動時間も長くなるはずだ。Tegraのシステムオンチップのアーキテクチャには、800MHzで動作するARM11 CPUのほか、超低消費電力のNVIDIA GeForce GPU(グラフィックス処理ユニット)、イメージプロセッサ、高精細(HD)ビデオプロセッサなどが実装されており、HDDやマウスなどの周辺機器もサポートする。
NVIDIAのモバイル事業担当ジェネラルマネジャー、マイケル・レイフィールド氏はアナリスト向けの会見で、「Tegraプラットフォームによって、ベンダー各社は200~250ドル程度の新しいMID製品ラインを開発できるようになるだろう」と語った。そうした製品の第1弾は2008年中に市場に投入される見通しという。
NVIDIAが参入を目指しているのは、IntelがMID向けの新しいプロセッサシリーズ「Atom」で形成しようとしている市場だ。Intelは既にAtomプロセッサをリリースしており、同プラットフォームを搭載する最初の製品は2008年下半期に登場するとみられている。
NVIDIAがTegraを発表したのと同じ日、Intelのポール・オッテリーニCEOは英Financial Timesの取材に応じ、低価格PC向けに近くリリース予定の「Diamondville」プロセッサも含め、Atomシリーズのプロセッサの市場は2~3年後には400億ドル規模に成長しているだろうと語っている。
IntelとNVIDIAがMID市場で対決
今のところ、AtomとTegraの最大の違いは、Intelがプラットフォームに自社のx86プロセッサを使用しているのに対し、NVIDIAは主に携帯電話に組み込まれているARMのRISCプロセッサを採用している点だ。
Technology Business Researchのアナリスト、ジョン・スプーナー氏によると、IntelとNVIDIAはともにMID市場の攻略を狙っているが、Intelはハイエンド携帯電話市場とノートPC市場にも照準しているためx86プロセッサが必要となるのに対し、NVIDIAのターゲットはハイエンドに限られないため、性能が劣るRISCプロセッサでもやっていけるのだという。
「NVIDIAはこの市場向けの戦略をうまく組み立てた。安全策を取る方針だ」と同氏。
IntelとNVIDIAはMIDについて熱心にアピールする傍ら、こうしたデバイスの形状の具体化や売り込むべき市場セグメントの見極めも進めている。レイフィールド氏はプレゼンテーションにおいて、NVIDIAが開発予定のMIDについて、「低価格のノートPCとスマートフォン、そしてAppleのiPhoneのようなエンターテインメントデバイスを混ぜ合わせたようなものになるだろう」と説明した。
NVIDIAとOEMパートナー各社が開発を予定しているデバイスは4~12インチのディスプレイを搭載し、小型のキーパッドかタッチスクリーンのいずれかを装備し、WebへのアクセスにはWi-Fi、WiMAX、3Gなどの高速インターネット接続のいずれかをサポートするというものだ。
「こうしたデバイスはいずれも長時間のバッテリー駆動時間を実現し、ほぼ同じアプリケーションセットを搭載する。Webを閲覧したり、インスタントメッセージング(IM)を利用したり、各種の動画を視聴したり、音楽を聴いたりできる製品になるだろう。ユーザーからは、メールや表計算、PowerPointなど軽量のプロダクティビティ機能も求められている。PDFも閲覧できるようになるはずだ」とレイフィールド氏。
MIDは当初コンシューマー市場に投入される見通しだが、NVIDIAは現在一般的なスマートフォンで利用されている機能の強化版を提供することで、Tegraプラットフォームを企業ユーザーにもアピールしたい考えだ。TegraプロセッサはMicrosoft Windows CEとWindows Mobile OSの両方をサポートする(IntelのAtomハードウェアはMicrosoftだけでなくLinuxもサポートする)。
なおNVIDIAは今年2月には、スマートフォンなどの携帯端末向けの新しいアプリケーションプロセッサ「APX 2500」を発表している。
「ビデオ機能は主にコンシューマー向けのものだが、もちろん、こうしたプロセッサはビジネスユースの携帯電話の改善にも役立てられる」とスプーナー氏は語り、「ただし、Tegraを搭載する携帯電話がエンタープライズ市場に参入するためには価格が最大のネックとなるだろう」と続けている。
NVIDIAは向こう2年間はTegraシリーズに照準を合わせる方針だ。同社は2009年にはTegraプラットフォームの後継版を発表し、さらに2010年にも改良版を投入する計画という。なお、NVIDIAは最終的にはTegraシリーズを0.1ワット以下で動作させたい考えだ。そうなれば、MIDのバッテリー駆動時間をさらに延ばせることになる。
レイフィールド氏によると、現行のTegraプラットフォームではサウンドは連続130時間、HDビデオは連続30時間の再生が可能だ。またTegraプロセッサはAppleの現行のiPhoneと比べて高画質な3Dグラフィックスを提供でき、ユーザーインタフェースも優れているという。
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