山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.21
オンキヨー「TX-SA706X」で「ノーカントリー」のリアルな音を聴く(2/2 ページ)
リッチでゴージャスな音
TX-SA706Xのサウンドキャラクターは、じつにアメリカン。非常にバタくさく、脂っこいサウンドだ。出力トランスを積んだ往年のマッキントッシュのアンプを思い起こさせるようなリッチでゴージャスな音である。
1980年代までのオンキヨーの音というと、関西メーカーらしい薄味のはんなりとした繊細なサウンドがその特徴だったが、1990年代にAVセンターに本格参入して以降、オンキョーのブランド・トーンは、色濃い音像のリアリティを感じさせるリッチなサウンドに変ぼうを遂げた。やはりそれはルーカスフィルムのTHXと親密な関係を構築し、映画の音を魅力的に聴かせるにはどうすればよいのかを学んだことが大きかったのではないかと思う。
また、2000年に発売したインテグラリサーチのアンプ開発で、米国のハイエンドメーカー、BAT(バランスドオーディオテクノロジー)と協業したことが、このブランド・トーン確立の決定打になったのではないかと推測する。本機はドライバビリティを決定づける瞬時電流供給能力を高めるために3段インバーテッドダーリントン回路を採用しているが、このへんの音づくりのヒントは、BATから学んだことが大きいはずである。
先述した通り、「ノーカントリー」は音楽を極限まで排しているが、音楽を使った印象的なシーンがある。それは、満身創痍(そうい)のモスがメキシコにたどり着き、メキシコ人たちが演奏するマリアッチで目覚める場面である。本機TX-SA706Xで聴くと、この音が素晴らしくよいのだ。マリアッチの演奏に独特の土くささが感じられ、画面からむせるようなメキシカン・ムードが漂ってくる。
また、TX-SA706Xの提示する音場のタイプは、拡散型というより明らかに凝縮型。音像の1つ1つに力感が付与されたその血の通った音に、いいAVアンプで映画を観る面白さを改めて実感した。とくにすごいと思ったのは、殺し屋シガーが、ホテルの一室に隠れるモスを追い詰めるシーン。ここでシガーは、部屋の錠のシリンダーをボンベのエアガンで撃ち抜くのだが、その音の瞬発力の素晴らしさといったらない。思わず椅子から転げ落ちそうになった。
ところで、7.1チャンネル構成の本機は、サラウンドバックチャンネル用と表記されたアンプを利用してフロントL/Rチャンネルのバイワイヤリング/バイアンプ駆動が可能。実際にバイワイヤリング接続ができるスピーカーを用いてその効果を試してみたが、予想通り著しい音質改善が実感できた。ウーファーの逆起電力の悪影響から逃れられるからか、本機の愛すべきトーン・キャラクターである力感と分厚さに、ヌケのよさが加わる印象だ。5.1チャンネル構成でサラウンドシステムを組む方はぜひバイアンプ接続を試していただきたいと思った。
また、BDプレーヤーのデノン「DVD-3800BD」のHDMI出力を直接パイオニアのプラズマモニターにつないだ画質と、リピーター機能を用いて本機経由でモニターにHDMI接続した画質を見比べてみた。決定的な画質差というほどではないが、前者に比べて後者は暗部階調が詰まる印象があった。やはりHDMI出力が2系統あってパラレルにディスプレイとAVアンプにつなげられるBDプレーヤーがあればいいのに、と改めて実感した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
3
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
4
GMO、不正アクセス実行犯の手がかりに懸賞金 1億5000万円規模
-
5
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
6
GMO不正アクセスの犯人サイト、ドメイン停止を確認
-
7
「推しがそばにいる日常」を ソニー、5万円台の裸眼3Dディスプレイ アニメ公式コンテンツに対応
-
8
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
-
9
So-net、会員情報約259万件が漏えい 一部メールサービスではパスワードも流出
-
10
GMO、攻撃者の公開情報に「アクセスは絶対に控えて」 悪質な拡散者には法的措置を準備
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR