リアルと電子のハイブリッドで読書量を増やす──新オンライン書店「honto」の狙い
NTTドコモと大日本印刷(DNP)グループが共同展開するオンライン書店「honto」が、リアル書籍と電子書籍をワンストップで買える「ハイブリッド型総合書店」としてリニューアルオープンした。DNP傘下のジュンク堂などリアル書店のデータを活用したきめ細かなリコメンドや、紙と電子の本格的な連携を予定。「電子の力を大きなチャンスとして、お客の読書量を増やす」という。
同サイトはドコモとDNP、DNPの書店持ち株会社CHIグループが合弁で設立した「トゥ・ディファクト」が運営。DNP傘下の図書館流通センターが運営してきた「bk1」を、トゥ・ディファクトが運営する電子書籍販売サイトと統合してスタートする。
同サイトの売りは、紙の書籍と電子書籍の両方が1つのサイトで購入できるだけではなく、ジュンク堂、丸善、文教堂というリアル書店と連携する点だ。各書店とネットで共通のポイント制度を6月にスタート。共通ポイントの付与に加え、ユーザーの購入履歴を活用したCRMを導入する。一斉配信のメールマガジンではなく、ユーザーごとにレコメンド書籍を変えることができる本格的なものだという。
嗜好性が強いという雑誌購入履歴に加え、店舗の過去7年間にわたるレシートによる併売情報が5億件あるといい、ユーザーが同時に何を買っているのかを参考にレコメンド情報を提供していくという。トゥ・ディファクトの小城武彦社長は「ネット専業書店はネット上の購入履歴だけに基づいているが、9割のお客がリアルな書店でも買っている。これを合わせて初めて本当の履歴に基づいたサービスができる」と話す。
行きつけの書店からの各種案内や、リアル書店で購入した本をネット上のユーザーの“本棚”に自動的に入力してくれる蔵書管理サービスなども提供。店頭POPやレビューなどで書店員のノウハウも活用。検索性の高いネット書店と、さまざまな出合いのあるセレンディピティの高いリアル書店のそれぞれの良さを組み合わせ、「リアル書店を有するグループならではのサービスを展開していきたい」(小城社長)と意気込む。
今後、サイトからリアル店舗の在庫を検索し、1ボタンで店舗で取り置いてもらえる機能を年内にも導入したい考え。また紙の本を購入した読者に電子書籍を提供し、自宅では紙で、移動中は電子書籍で──というサービスや、在庫切れの本が届くまでは電子書籍で読んでもらうといったサービスも、出版社と交渉しながら導入していきたいという。
ハイブリッド化で「読書量を増やしていく」
Kindleを擁する米Amazon.comが年内にも国内で電子書籍サービスを始めるとみられるが、「アメリカと日本では書籍をめぐる環境が大きく違う。人口比で言えば日本は米国より4倍書店がある国。米国では書店は車で出かける場所だが、日本は気軽に立ち寄れる存在だ」。電子書籍を購入しても店舗での購入頻度は変わらないという市場調査結果を引きながら、「リアル店舗と併存型のビジネスモデル」を掲げる。
出版市場は右肩下がりで縮小してきたが、「書店はCRMをやってこなかった。年間7万点以上の新刊が出版されるが、たまたま本屋に立ち寄らないと買い逃してしまうこともある。店舗で作家のサイン会を開くといった案内もネット上ではほとんどやってない」(小城社長)。hontoはネットとリアルの購入履歴を活用し、各読者に応じたレコメンドメール配信などで購入促進につなげたい考えだ。
「移動中の時間を書籍が他のメディアにとられている状況で、スマートフォンの力を借りながらそこに書籍が戻り出している。hontoは出版市場のリプレースを目指すのではなく、電子の力を大きなチャンスとしてお客の読書量を増やし、読者と出版社が喜ぶという状態に持っていくチャレンジだ」(小城社長)
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