そっくり
新しいのに懐かしい?――ヤマハの新フラグシップスピーカー「NS-5000」
ヤマハは9月24日、スピーカーシステムの新製品「NS-5000」を発表した。大きめのボディーやユニットの配置などは、1974年から20年以上も販売されていた同社製モニタースピーカー「NS-1000M」にそっくりだ。25日から東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催される「2015 東京インターナショナル・オーディオショウ」でお披露目と試聴デモを行う。
「NS-1000M」といえば、スウェーデンやフィンランドの国営放送局で長くモニタースピーカーとして使用されていた名機。30センチの大口径ウーファーにヤマハ独自のベリリウム振動板を採用した8.8センチスコーカー、3センチドーム型ツィーターを密閉型のキャビネットに収めていた。
新しい「NS-5000」も30センチウーファーに8センチのミッドレンジ、3センチツィーターという、ほぼ同じ構成になっている。また付属のグリルもユニットを個別に保護するスタイル、さらにツィーターの横に配置された「YAMAHA」ロゴやピアノブラックの表面塗装も含め、「NS-1000M」を強く意識した仕様といえそうだ。
ただし、「NS-5000」はモニター用途で作られたものではなく、「NS(ナチュラルサウンド)スピーカー」をうたう純粋なオーディオ用スピーカー。企画開始から約6年をかけ、「ベリリウムに匹敵する音速を持つ」という新素材の振動板を開発。さらにコンピューターシミュレーションを駆使したデータ解析によって“ハコ鳴り”を徹底的に押さえ込んだキャビネットなど、「レトロな外観に最新の中身を詰め込んだHi-Fiスピーカーのフラグシップ」(同社)となった。
3Wayなのにフルレンジの音
新しい振動板の素材は、東洋紡が開発した化学繊維「ZYLON」(ザイロン)。音速の速さに加え、適度な内部損失を持ち、しかも繊維なので加工も楽といった特徴がある。ヤマハでは、このザイロン振動板を3つのユニットすぺてに採用し、低域から高域まで「同じ音色、同じ音速」にそろえた。
「自然な一体感という点でフルレンジシステムは1つの理想。しかし周波数帯域を広げようと思えばユニットを増やす必要がある。同じ振動板で3つのユニットを駆動するNS-5000は、3Wayでフルレンジの音を実現するのがコンセプト」(ヤマハ)。
ツィーターとミッドレンジは、振動板の表面にモネル合金を真空蒸着することで、素材のこすれる音を抑えた。モネル合金はニッケルと銅を中心に鉄、マンガン、ケイ素などを混ぜた合金。これをイオン化し、ビームでザイロンの表面に蒸着、薄膜を形成した。「耐蝕性が高く、比重も高いが金属特有のクセがない。例えば金管楽器の音なども出しやすく、華やかさを表現できる」という。なお、再生周波数帯域は23~4万Hzとハイレゾ音源再生にも十分なスペックを持っている。
キャビネットには共振ノイズを抑える技術が多く盛り込まれた。キャビネット自体は、固く“鳴き”の少ない国産白樺材の積層合板で作り、7本の補強桟と2本の隅木を追加。キャビネットの6面から時間差を伴って放出される“箱鳴り”を抑制する。またキャビネットをシンプルな直方体にしたのも、「定在波を特性の周波数に集約し、それを狙って打ち消すため」(同社)。新開発のJ型共鳴管は、中に微量の吸音材を入れ、定在波のピークだけを“狙い撃ち”する仕組みだ。
ツィーターとミッドレンジの背面には、振動板の背後で発生する“管共鳴”を抑制するバックチャンバーを装着。またバスレフ型の宿命とされるポートノイズ(ポート両端で発生する風切音)を防ぐスイステッドフレアポートを採用した。一方でキャビネット内の吸音材は最小限になっている。
ネットワーク回路も凝ったものになった。基板の両面に銅箔パターンを配置して配線を最短化するとともに、銅箔の厚みを通常の4倍にして電流の流れをスムーズにしている。その上に装着するパーツ類も独ムンドルフのオーディオ用コンデンサーやアッテネーターなど最高級品のみで構成されているという。
スピーカー1本あたりのサイズは、395(幅)×690(高さ)×422(奥行き、突起含む)ミリ。重量は35キログラム。インピーダンスは6オームとなっている。
ヤマハでは、「NS-5000」を2016年7月に発売する予定(予約は6月1日にスタート)。価格は1本75万円(税別)だが、2本1組での販売となる(計150万円)。また脚部にアルミ無垢材を採用した専用スピーカースタンド「SPS-5000」も同時に発売する予定。価格は1台7万5000円(税別)。
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