「源氏物語」を“原文”で読めるかも──「変体仮名」を学べるアプリ、早大とUCLAが開発
早稲田大学文学学術院は10月29日、日本古来の書体である「変体仮名」を学習できる無料アプリ「変体仮名あぷり」(iOS/Android)を米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)と共同で開発し、近くリリースすると発表した。300文字以上の文字の読み方をゲーム感覚で身につけられるという。
変体仮名は、漢字をくずした書体として、「源氏物語」「伊勢物語」など平安時代~近世まで広く使われていた書体だが、現在は看板など限られた用途で使われており、読める人は少ない。
アプリは、日本文学・日本史を学ぶ学生はもちろん、より広く一般の人にも関心を持ってもらおうと、UCLAで日本文学を研究するマイケル・エメリック准教授と、早稲田大学の十重田裕一教授、陣野英則教授らが中心となって企画・開発した。
アプリを立ち上げると、3文字の変体仮名が中央に並び、各文字を指でドラッグしてひっくり返すと「字母」(元になる漢字)と読み方が表示される。覚えたものは右から左へ、もう1度覚え直したいものは左から右へスワイプして、画面上に次々と表れる変体仮名を学んでいく。
現代かなでは1文字のみで示す音も、変体仮名では複数の字母を有しており、さらにくずし方にもいくつかのパターンがある。アプリでは計327文字を収録し、主要な変体仮名は網羅。「きちんと覚えれば、平安~鎌倉時代の文学作品は読めるようになる」(エメリック准教授)という。
早大所蔵の写本からお手本を“厳選”
アプリ内のサンプルは、早大が所蔵する写本の中から主要な変体仮名としてお手本になりえるものを1文字ずつ選び、高画質にデジタル化。約40種の華やかな背景画面もすべて実際の古書をスキャンして使用している。
約70文字の字母は早大職員でもある書家・渡部大語さんが書き下ろし、伝統的な変体仮名、筆文字の両方を視覚的にも楽しめる。英語版もリリースし、アートとしての書体の美しさも感じてもらいたいという。
「指先で字母と変体仮名を行き来することで、なるほど、漢字をこんな風に崩しているのか! とビジュアルで分かるのもアプリならでは。その成り立ちからいっても、活字ではなく草書体と見比べる方が本来の姿に近く、学びやすい」(エメリック准教授)
エメリック准教授は、開発を始めたきっかけは自身が日本文学を学び始めた際、「源氏物語」を読むためにまず膨大な変体仮名を覚える苦労があったこと――と大学院生時代を振り返る。「辞書を借りて全ページコピーして切り抜いて単語カードに貼って……。今学生を教える立場としても、もっとシンプルに簡潔に、そして楽しく学べる方法を作りたかった」。
今後、実際の文献で使用されている縦書きの「つづき書き」を学ぶモードの追加、江戸時代以降に生まれた「合巻」など、より専門的な独自書体を学ぶ別アプリのリリースなどを考えているという。
アプリの開発は、早大OBの柳井正ファーストリテイリング社長の寄付により発足した日本文化研究のグローバル化を推進する「柳井正イニシアティブ グローバル・ジャパン・ヒューマニティーズ・プロジェクト」の一環として行われた。6年間で総額2億5000万円の出資を予定しており、今後も学生・職員の交換派遣、シンポジウムの開催、今回のようなコンテンツの企画開発などに取り組んでいく予定という。
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