飲食店の“ドタキャン空席”を再販、ダイナースが「ごひいき予約」
「ダイナースクラブカード」を発行する三井住友トラストクラブは8月24日、直前キャンセルで生じた飲食店の空席を買い取り、ダイナースクラブ会員向けに再販売するサービス「ダイナースクラブ ごひいき予約」を始めた。予約が取りづらい飲食店を当日予約したいという会員のニーズに応えるとともに、直前キャンセルや無断キャンセルによる飲食店側の被害を軽減する狙い。
ポケットメニュー(東京都渋谷区)の飲食店予約サービス「ポケットコンシェルジュ」と、メッセンジャーアプリ「LINE」との連携で実現した。直前キャンセルが発生した飲食店の空席をダイナースクラブが買い取り、LINE公式アカウントを使い会員にリアルタイムで告知。会員はLINEから「ごひいき予約」専用Webサイトに遷移し、ポケットコンシェルジュの仕組みを通じて予約・決済できる。利用は無料。
24日現在、参加店舗は16店舗。甲殻類料理の「うぶか」、劇場型レストラン「81」、京料理「恵比寿 くろいわ」、江戸前寿司「青空」など、ダイナースクラブ会員に人気があり、予約困難な高級店をそろえたという。
三井住友トラストクラブの西村智博常務取締役は「(予約が取りづらい高級店に行きたいという)会員の要望と、飲食店の悩みをマッチさせることを考えた」と説明する。
この“飲食店の悩み”とは、直前キャンセルや無断キャンセルのことだ。近年、ネット予約の普及に伴い、こうしたキャンセルが増加。飲食業界全体の損失額は年間約750~2000億円(同社調べ)にのぼり、食材ロスやオペレーションへの支障など、さまざまな問題を引き起こしている。
キャンセル理由は、やむを得ない事情がある一方、「複数の店を予約しておき、当日の都合で選ぶ」といった恣意的なケースもあるという。高級店では特に被害が大きく、1日に約30万円もの損失を出す場合もあるとしている。「ごひいき予約が、飲食業界の課題解決の一助になれば」(西村常務)
ポケットメニューの戸門慶代表取締役は、もともと料理人だったという自身の経歴に触れつつ、「飲食業界の大きな課題であるドタキャンを、ごひいき予約を通して解決したい」と意気込む。
「現状、飲食店がキャンセル料を取るのは難しい。オンライン決済がより広まれば、最終的には徴収しやすくなるとは思うが、それでも全て解決はできない。ごひいき予約はキャンセルを抑止するのではなく、発生したものを買い取るという発想が新しい」(戸門代表取締役)
LINEの田端晋太郎執行役員は「LINEは通信インフラのようなもの。電子メールや電話にはない、LINEならではの即時性を生かしたい」と話す。
今後は、提携店舗数の拡大、地方進出を目指すほか、顧客の居住地や位置情報に合わせた店舗告知、レコメンド機能の追加などを予定している。
「飲食店の即時再販という新しいマーケットを作るサービス。至らぬ点も多いと思うが、あたたかく見守ってほしい」(西村常務)
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