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「ポケモンスリープ」が暴く8万人の睡眠と生産性の関係 経済損失は年1兆円 筑波大がNature系列誌で発表
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このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
X: @shiropen2
筑波大学の柳沢正史教授らの研究グループが発表した論文「Association of sleep patterns assessed by a smartphone application with work productivity loss among Japanese employees」は、スマートフォンの睡眠アプリ「ポケモンスリープ」(Pokemon Sleep)の日本の利用者約8万人、計210万夜分の睡眠データを解析し、睡眠パターンと労働生産性の関連を明らかにした研究報告だ。
従来、睡眠と生産性に関する研究は自己申告のアンケートや小規模調査に頼ることが多く、日常生活における実際の睡眠パターンを客観的かつ大規模に把握することは困難だった。この研究ではアプリの利用記録から、総睡眠時間、寝つきまでの時間、夜間の中途覚醒、体内時計のタイプ、平日と休日の睡眠リズムのずれ(社会的時差ぼけ)といった多面的な指標を抽出し、質問票で得られた労働生産性低下スコアとの関係を検討した。
分析の結果、睡眠時間については短すぎても長すぎても生産性が低下する「U字型の関係」を確認できた。また寝つきが悪い人、夜中に目が覚めやすい人、休日と平日で睡眠時間が大きく異なる人ほど、仕事のパフォーマンスが低い傾向が認められた。
さらにAI解析を用いて睡眠パターンの類似性に基づき対象者を分類したところ、「健康的な睡眠型」「長時間睡眠型」「断片的睡眠型」「不眠傾向型」「社会的時差ぼけ型」の5タイプに分かれた。このうち特に生産性の低下が顕著だったのは「社会的時差ぼけ型」と「不眠傾向型」であり、この傾向に男女差はなかった。
経済損失に換算すると、「社会的時差ぼけ型」は「健康的な睡眠型」と比較して年間で1人当たり13.6万円の損失に相当する。日本全体では不規則な睡眠習慣による経済損失が年間約1兆円にのぼると推定された。
この研究成果は、Nature系列の科学雑誌「npj Digital Medicine」で2025年12月11日付で掲載された。
Source and Image Credits: Seol, J., Iwagami, M. & Yanagisawa, M. Association of sleep patterns assessed by a smartphone application with work productivity loss among Japanese employees. npj Digit. Med. 8, 751(2025). https://doi.org/10.1038/s41746-025-02155-3
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2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説している。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。
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