日本語能力試験「合格保証」うたう不正ビジネス疑惑 中国系SNS、カンニング機器を紹介
外国人の在留資格取得や就職の要件として活用される日本語能力試験を巡り、中国系SNS上で「合格保証」をうたう不正仲介疑惑が浮上している。通信機器を使ったカンニングの手法を数十万円で紹介する手口。試験を巡っては、時差を利用した不正行為が疑われる事案も過去に発生している。海外で試験を運営する独立行政法人「国際交流基金」は電子機器の持ち込み規制強化を含めて不正対策を進めている。
過去SNS上に解答流出
日本語能力試験は世界各地で実施され、近年は約80カ国約250都市で行われている。
一方、2024年12月実施分では、合否判定が「不能」とされた受験者が相次いだ。国際交流基金は「統計上、極めて不自然な同じ解答の集中」が確認されたと説明する。中国で他国より早い時間帯に試験が実施され、その後、SNS上に解答情報が流出した可能性があるとみられる。
今回、不正仲介が疑われる事案を訴えているのは、中国の自治区出身のビビさん(仮名)。親族の20代男性が昨年秋に来日し今年7月の日本語能力試験を受験する予定で、代わりに試験対策資料を中国系SNS「小紅書」で検索したところ、「合格保証」をうたう広告を見つけたという。
受け渡しはロッカー
不審に感じたビビさんが業者側に問い合わせると、業者は対面や電話でのやり取りを拒否し、中国の通信アプリ「微信」(ウィーチャット)での連絡を要求した。
ウィーチャットでのやり取りに基づけば、ビビさんが「どうやって合格を保証するのか」と尋ねたところ、業者は「設備を使う」と説明。提示された手口は2つだった。
1つは通信機能付きの腕時計型機器を利用する方法で40万円を提示。もう1つは小型イヤホンを耳に装着する方法で、費用は60万円。受け取りは駅のコインロッカーなどを利用して機器を「非対面で受け渡す」と説明された。
業者側は、試験中に外部から解答を受信する仕組みだと主張し、「国立大学の教授陣が事前に試験問題を入手しており、試験開始から約15分後に解答を腕時計を通して皆さんに送る」などと説明。ビビさんはその後、業者側との接触を断っている。
「許せない」
近年、日本語能力試験は外国人の就労や在留資格取得時の日本語能力証明として重視され、受験者数も増加傾向にある。ビビさんは「許せない。ここは中国の自治区ではない。関係機関には試験前の確認強化など、ぜひ対策してほしい」と訴えた。
国際交流基金は産経新聞の取材に対し、「昨年7月試験以降、試験開始から終了まで携帯電話など電子機器類の使用を禁止するルールの厳格化や、時差を利用した不正行為を防ぐための対策を実施している」とコメントした。
外務省関係者によると、中国系SNS上では今回以外にも不正仲介が疑われる投稿が確認されているという。(奥原慎平)
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