この頃、セキュリティ界隈で

ランサム被害、主因は脆弱性より「人」 34%がメールで感染、「本物に見えた」で疑わず

 世界中で多発しているランサムウェア感染は、いつもと変わらないように見える添付ファイルを開いたり、問題なさそうに見えるログイン画面にパスワードを入力したり、アカウントが乗っ取られているとは知らずに返信したりといった「人」の行為で始まっている――米セキュリティ企業Proofpointの調査でそんな実態が浮かび上がった。

画像はイメージ(Adobe Stock)

 攻撃側はAIを駆使して、もっともらしい詐欺メールを作成する手口を巧妙化させている。ランサムウェア被害を経験した企業の65%は、AIのために攻撃の実効性が高まったと回答した。

 調査はProofpointが日本や米国、欧州など12カ国のサイバーセキュリティ専門家953人を対象に、2026年3月から4月にかけて実施。回答者のうち84%が、過去1年の間にランサムウェア事案を経験していた。

 調査の結果、ランサムウェア感染には圧倒的に「人」が関係していることが分かった。

 最初の侵入に使われた手口は電子メールで相手をだます「ソーシャルエンジニアリング詐欺」が34%を占め、脆弱性の悪用(20%)や、流出した認証情報の利用(18%)、リモートアクセスの侵害(15%)を上回った。

怪しいと思わなかった理由

 発端となったのは不正なリンク(47%)が最も多く、次いで不正な添付ファイル(46%)、認証情報を盗み取る「クレデンシャルハーベスティング」(36%)、ビジネスメール詐欺(35%)の順。いずれも添付ファイルを開いたり、不正なリンクをクリックしたり、メールに返信したりといった従業員の行為が関係していた。

 国別にみると、日本は不正な添付ファイルが71%と突出して多かった。

 では、なぜ不正に気づけなかったのか。セキュリティ対策をかわされた理由として最も多かったのは、「本物らしく見えたので従業員が疑わなかった」の40%。次いで、ユーザーがリンクをクリックしたり、添付ファイルを開いたり、相手に返信するなどして「不正なコンテンツに接触してしまった」の38%が続き、「電子メールのセキュリティコントロールで検知できなかった」(33%)など技術的対策の不備を上回った。

 特に日本は、不正なコンテンツとの接触を原因として挙げる回答が49%に上り、インドと並んで最も多かった。

 「AIを使っただましの手口が巧妙化して、正規の業務上のやり取りとの見分けがつきにくくなっている証拠」とProofpointは分析する。

37%が2度目の恐喝被害

 こうした手口にだまされて内部への侵入を許せば、被害はデータの暗号化にとどまらない。

 攻撃に気付いた時には既に手遅れの状態にある。攻撃側はネットワークに侵入して情報を盗み出してから、ランサムウェアを展開してデータを暗号化する。

 「現代のランサムウェアはシステムにロックをかけることよりも、データや認証情報、継続的なアクセス権の奪取に重点を置く。そうすることで恐喝を繰り返して利益を上げたり、闇市場で売りさばいたり、二次的な攻撃の足掛かりとして利用したりする」(Proofpoint)

 被害企業のうち54%は身代金の要求に応じていたが、身代金を支払った企業のうち37%は2度目の恐喝の被害に遭っていた。日本で身代金を払ったのは37%だった。

 「ランサムウェアやデータ恐喝はエンドポイントや復旧の問題ととらえられがちだが、こうした攻撃は『人、ID、信頼されたコミュニケーション』から始まることが最も多いという現実が見落とされている」──Proofpointはそう警鐘を鳴らしている。

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海外のセキュリティ関連ニュースを追い続けている鈴木聖子さんによる、最近のセキュリティニュースブリーフィング。隔週でお届けします。

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