コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)によると、京都府警は1月24日、アニメ「CLANNAD」の静止画入りウイルスを権利者に無断で作成し、「Winny」を通じて送信できる状態にしていたとして、著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで、大阪府泉佐野市の大学院生の男(24)を逮捕した。
ウイルス作者の逮捕は国内初。ウイルス作成を直接処罰する法律は国内になく、著作権法違反を適用した。
調べでは、男は昨年11月28日、ポニーキャニオンなど3社が権利を持つアニメ「CLANNAD」の画像ファイル入り「原田ウイルス」亜種を作成し、Winnyネットワークを通じて権利者に無断で不特定多数に送信できる状態にしていた疑い。
男は容疑を認め、「ウイルスを作ったのは僕です。CLANNADを使ったのは話題性があるからです」などと供述しているという。
原田ウイルスはWinny経由で広まるウイルスで、感染すると「原田」と名乗る男性が画面に登場する。挙動は亜種によって異なり、PC内のファイルを削除したり書き換えたりする――といった被害が報告されている。
京都府警は同日、Winnyを通じてテレビアニメを権利者に無断で送信できる状態にしたとして、大阪府堺市の会社員の男(39)と、兵庫県尼崎市の職業不詳の男(35)も、著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで逮捕した。
調べでは、堺市の男は昨年9月5日、「アイドルマスター XENOGLOSSIA 第23話『RUN!』」(サンライズが権利を保有)を、尼崎市の男は同10月14日、機動戦士ガンダムOO 第2話『ガンダムマイスター』」(同)をそれぞれ、Winnyネットワークを通じ、権利者に無断で不特定多数に送信できる状態にしていた疑い。
調べによると堺市の男は「これまで放流していたことは間違いありません。過去のデータはHDDに保存しています」と、尼崎市の男は「間違いありません」と供述し、それぞれ容疑を認めているという。
ACCSによると、Winnyを悪用したユーザーの著作権侵害行為の刑事摘発は、03年11月、07年5月に次いで今回で3回目。
ACCSは改めてWinny利用をやめるよう呼び掛けている。「Winnyはほとんどの場合、第三者が著作権を持つコミックや音楽、映画などを無断でやりとりするために使われている」とした上で、「ファイル交換ソフトを悪用し、権利者に無断で著作物をアップロードしているユーザーを技術的に捕捉する環境は整っている。捜査機関やプロバイダに対してアップロードユーザーのIPアドレス情報を提供するなど、あらゆる手段を講じて著作権侵害行為の排除に努める」としている。
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