「モンスト」は“執務エリアの外”で生まれた――急成長ミクシィに聞く「革新的チームのつくり方」

モンストが絶好調で急成長中のミクシィ。そんな同社の躍進劇を支えたのが新しいワークスタイルだ。たった数人から始まったチームが全社を支える一大プロジェクトに育った背景をミクシィ「はたらく環境課」に聞く。

» 2016年03月09日 10時00分 公開
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 「モンスターストライク」(モンスト)の人気が止まらない。2013年10月に提供をスタートし、15年5月には世界累計3000万ユーザーを突破。米App Annieが昨年発表したモバイルアプリ市場レポートによれば、モンストはゲームカテゴリの収益ランキングで世界2位を記録している

 そんな同アプリを生み出したミクシィにとって、2013年ごろは苦境の時期だった。同年の4〜6月期には上場来初の赤字を記録。「なんとかしなければ」――同社の誰もがそう考えていた時期に生まれたのがモンストだ。同アプリの大ヒットで、翌年同期の連結決算では売上高493%増の大幅V字回復を達成。それ以来も業績を伸ばし続けている。

photo ミクシィの売上高の推移

 これほどの大ヒットアプリならば、きっと全社肝いりの大型プロジェクトで生み出されたに違いない――モンストの“活躍劇”を見ると誰もがこう想像するだろう。しかし、その思いを胸に同社社員に話を聞くと、意外な答えが返ってくる。

 「モンスト開発プロジェクトは当時、本社7階の公共スペースにある会議室でスタートしました。そこは執務エリアではなく、インターネットは来客用の回線のみで、社内ネットワークにはVPN経由でしかできない不便な環境。そんな中、たった数人の社員でプロジェクトを進めていたんです」(ミクシィ はたらく環境課課長の橋本貴史さん)

執務室の“細かいルール”から解放――公共スペースの片隅で

photo ミクシィ はたらく環境課の橋本さん

 モンストの開発が執務スペース外で行われていたのには理由がある。

 「当社は社外の人が執務室で業務を行う場合、セキュリティの観点から事前に細かな手続きを必要としています。しかしモンストのプロジェクトチームは、社外メンバーと共同で開発を進めていくことがあったほか、人の入れ替わりも激しく、執務スペースの細かいルールから解放する必要があったのです」――橋本さんはこう話す。

 そこで同チームに与えられたのは、社内外の誰もが立ち入れる公共スペース内の会議室の一角。フリーランスのデザイナーやエンジニアなど、社内外を問わずさまざまなメンバーを巻き込みながらモンストのプロジェクトは進んでいった。

 「モンストプロジェクトのメンバー拡大ペースはかなりのものでした。公共スペース内にいくつか会議室がある中、『隣の部屋も使いたい』『その隣の部屋も使いたい』と勢力を拡大していき……。しまいには、セミナールームを丸々1部屋つぶして業務スペースにしてしまったほどです」

photo 初期のモンスト開発メンバーたち(出典:ミクシィ採用ページ

 しかし、そんな環境にも限界がおとずれる。

 「パートナー企業のメンバーは来客用インターネットしか使えませんし、社員も執務エリアの外だと社内ネットワークに自由にアクセスできません。これからさらにメンバーを増やそうとする中で、全員でアプリを開発する上で支障がある状況には変わらなかったのです」――こうしてついに、社内外のモンストプロジェクトメンバーは執務エリアに移動することになる。2013年末のことだった。

パートナー企業のメンバーにも執務スペースを開放 PC支給で対応へ

 ミクシィがパートナー企業のメンバーも執務室で働けるよう準備したことは大きく2つ。1つは入退室の手続きを簡素化すること。もう1つはパートナー企業のメンバーにも社員と同じ法人向けPCを支給し、全社的な管理がおよぶIT環境で働けるようにすることだ。

 「従来から社員全員にノートPCを配布していましたが、このタイミングからは一緒にプロジェクトを進めているパートナー企業のメンバーにも同じPCを配布するようにしました。中でもアプリ開発者やデザイナーのように高負荷な作業が必要な人には、希望者全員にデスクトップPCを支給しています」(橋本さん)

photo 希望者全員に高性能なデスクトップPCを支給している

 橋本さんによれば、パートナー企業のメンバーはそれまで個人のPCで仕事をするケースが多く、社内データに安全にアクセスできる環境を用意することが難しかったという。そこで会社指定の法人向けPCを支給することで、プロジェクトに携わるメンバー全員が同じ環境で“本領発揮”できるようにしたのだ。

 また、支給するPCのスペックにもこだわった。「ノートPCもデスクトップPCも妥協はせず、その社員のパフォーマンスを最大限発揮できるような最新マシンを提供しています」と橋本さん。例えばデスクトップPCは、高性能かつ故障が少ないといった理由から、長年にわたってデルの「OptiPlex」「Precision」シリーズを提供している。

ルールや道具のせいにはさせない――ミクシィが「はたらく環境」を大事にする理由

 社員数人でスタートしたモンストプロジェクト。同アプリがヒットしていくにつれて人員を増やしていき、今ではパートナー企業のメンバーを含めて400人近くが開発・運営などに携わっているという。

 橋本さんが所属する「はたらく環境課」の取り組みも、この急成長を支えた大きな要因の1つだろう。モンストプロジェクトがスタートした直後の2013年、情報システム部門から改称する形で設立された同部門は、ミクシィ社員のワークスタイルを向上させるためにさまざまな施策を行ってきた。モンスト躍進を加速させた「社外のパートナー企業メンバーとの協働環境」を整備したのも、同部門だ。

 だが、いくら同アプリがヒットを記録していたとはいえ、同社内で守られてきた従来のルールを変えたのはなぜか。「全体最適の視点が必要なのは明らかですが、それに固執して部分最適を悪としてしまうと、場合によっては事業の成長を阻害してしまうこともあります。社員がいい仕事をするために、チームごとに最適化されたルールを設けるのは悪ではありません」――橋本さんはこう話す。

 企業の情報システム部門は一般的に、ITシステムの運用ルールを定めて「順守させること」を重視しがちだが、橋本さんによれば、事業部門が利益を上げていくために特例を認めたり、必要に応じて新しい制度やシステムを用意したりすることも重要だという。

 そして橋本さんがもう1つ大切にしているモットーは、「社員が失敗を恐れず全力でチャレンジできるようにすること」だ。

 「会社が利益を生み出すためには社員の挑戦が欠かせません。しかし、あまりに厳しい社内ルールがあったり、スペックの低いPCを支給したりすることで“ルールや道具が失敗の一因”になってしまうのは非常にもったいないことですよね。それを避けるため、はたらく環境課では社員にとって最も働きやすい環境を提供するようにしているのです」(橋本さん)

新しい文化を創る”サービス育成へ 社内にスタートアップ精神を

 ミクシィのはたらく環境課には現在、情報システム部門だけでなく社内の総務部門や労務部門も参画している。ITシステムだけでなく制度やファシリティ環境の面からも、社員にとって一層働きやすい環境を用意するのが狙いだ。

 昨年8月には、事業拡大に伴いオフィス空間を大規模増床。執務エリアに加え、社員同士のコミュニケーションを促す会議スペースやリフレッシュスペースを多数用意するなど、「mixi」「モンスト」のようなヒットサービスを生み出すためのはたらく環境を整備している。

photo 増床したオフィススペースのエントランス
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 「われわれはたらく環境課の目標は、社員が自分たちの“本業”に集中できるようにすることです。社員にとって少しでもプラスになるITツールや制度の提供を通じ、ミクシィからますます革新的な取り組みやサービスが生まれるようにしていきたいですね」(橋本さん)

パワフルな端末をワークスタイル変革の源泉に

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薄く、軽く、フレキシブルに。デルは記事内に登場した「OptiPlex」シリーズや「Precision」シリーズのほか、超薄型・高性能な法人向け2-in-1タブレット「Dell Latitude 12 7000シリーズ 2-in-1」や、3-in-1スタイルのWindowsタブレット「Dell Venue Proシリーズ」などの提供を通じ、ビジネスパーソンの生産性を高める自由な働き方を支援しています。


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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ニュース編集部/掲載内容有効期限:2016年3月31日