さて、それにしても内蔵スピーカーだ。結論から書くと、極めて良い印象だった。サイズこそ小型だが、中低域がしっかりとボリューム感たっぷりに描かれ、中高域とのエネルギーバランスがきちんと取られている。
ドルビーのサウンドシステムは、単に音響ソフトウェアを組み合わせるだけではなく、音響特性に関して基準を設け、その基準をクリアできるシステムにしか認定を与えない。再生帯域をフラットにするということだけではなく、位相特性などを整え、バーチャルサラウンドによる立体的な音声が効果的に感じられるようにしている。
こうしたことが、4スピーカーのハードウェア構成と相まって、良い結果を引き出しているのだろう。そのことはNETFLIXのDolby Atmos®対応コンテンツや5.1チャンネル対応コンテンツで確かめることができた。
NETFLIXをWindows StoreからダウンロードできるNETFLIXアプリで視聴しようとすると、画面上のマークから音声が5.1チャンネルあるいは「Dolby Atmos®」のロゴマークが確認できる。これらのコンテンツを再生すると、視聴にちょうどいい位置(おおよそキーボードを扱うのにちょうどいいところ)に頭がある限り、音声が後ろ側にまで回るほどのサラウンド感を得ることができる。さらに際だっていたのが、セリフの明瞭さ。サラウンド音声らしい大きな音場ボリュームを包み込む音の中で、セリフがシャープに、聞き取りやすい音質で飛び込んでくるのだ。
Dolby Atmos®サウンド・システムでは、音声のタイプを自動的に判別しながら音質を自動調整するダイナミックモード(規定値)に加え、「映画」「音楽」「ゲーム」と用途ごとの音声処理プロファイルが備えられている。ダイナミックモードでも、きちんとサラウンド感は得られるが「映画」を明示的に選択すると、確実に映画らしい音場になるので試してほしい。
NETFLIXのDolby Atmos®対応コンテンツはまだ多いというほどではないが、オリジナルコンテンツの中でも力の入った映画やドラマは対応していることが多い。「ATMOS」をキーワードにNETFLIX内を検索すると対応コンテンツが一覧できる。
音楽についても触れておこう。
音楽再生時もエンハンスはかかるため、原音に忠実な再生という意味では正しいとはいえないかもしれない。しかし、薄型ノートPCという制約のある中では、充分に音楽用として使えるものになっている。
映画コンテンツの際には、迫力や音の広がり、そしてセリフの聞き取りやすさといった部分が調整されていたが、音楽コンテンツの際には明瞭度を高める処理が行われるようだ。処理はオフにもできるが、単純に音楽を流しておくならばオンにしておく方がいい。ノートPCの内蔵スピーカーでここまで音楽が楽しめれば充分だ。
1つだけ注意点を挙げるとするなら、低音は机に反射させて耳に届ける設計のため、膝の上で使っていると正確な音を聞けないこと。机の上に置いた上で試してほしい。
映像表示に関しては、なんといっても採用する液晶パネルの質が良い。ここに尽きるだろう。13.9インチのディスプレイは、普段から持ち歩くノートPCとしてはこれ以上ない大画面だ。狭額縁とフラットなゴリラガラスによる前面カバーは画面への没入感を高めてくれる。
広視野角のLPTS液晶パネルは1500:1のコントラスト比を誇っており、色再現域はsRGBの100%をほぼ正確にトレースしている。映像作品を楽しむという観点でいえば、これは映像の世界ではBT.709(現行デジタル放送の色域)と同等であり、一般的なSDR(標準ダイナミックレンジ)の動画作品を表示する上で色域が圧縮されることなく、映像製作者の意図通りに再現する実力を備えている。
”コントラスト比で1500:1”といっても、なかなかピンと来ないかもしれない。確かに高画質テレビなどでは、もっと高いコントラスト比を持つ液晶パネルが存在し、有機EL(OLED)ではそれを上回るコントラスト比を実現できているが、ノートPCやタブレット端末といったモバイル製品のジャンルでいえばトップクラスと考えていい。
というのも、さまざまな映像テストチャートを表示させてみたところ、ホワイトバランスは極めてよく調節されていた。最大輝度も450nitsあるため、部屋の明るさに合わせて輝度を調節すれば、色再現性の確かさとともに、良い映像を美しく表示できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:華為技術日本株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2018年8月4日