「頭脳には手や足につながる神経が必要だ」 RPA×AIで自動化の範囲が飛躍的に広がる UiPath 長谷川 CEO&PKSHA下村氏が語る“これからのビジネス”「UiPath AI EXPO ロボットにAI♡を込めて」7月30日開催

» 2019年07月17日 10時00分 公開
[房野麻子PR/ITmedia]
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 働き方改革やデジタルトランスフォーメーションを推し進めると期待されている「RPA」(ロボティック・プロセス・オートメーション)。既に多くの企業にソフトウェア型ロボットが導入され、少量・複雑・多様なデスクワークを自動処理している。そして次のステップとして注目されているのが、RPAにAI(人工知能)を組み合わせた運用だ。

 今回は、RPAのグローバルリーディングカンパニーであるUiPath(ユーアイパス)の代表取締役CEO・長谷川康一氏と、東京大学発AIベンチャーとして知られるPKSHA Technology(パークシャテクノロジー)事業責任者兼BEDORE代表取締役・下村勇介氏に、AIとの連携がRPAにもたらす影響について語っていただいた。

 お二人は大学の同窓で、同じ会社の先輩、後輩でもある。その縁がきっかけで今回の対談が実現した(以下、敬称略)。

UiPathの長谷川康一社長(右)とPKSHA Technologyの下村勇介氏(左)

「頭脳」を生かすには「手と足」につながる神経が必要だ

長谷川:日本発のAI企業であり、自然言語処理や対話エンジンで最先端を走っているPKSHAさんとお話しする機会を楽しみにしていました。とくに下村さんがご活躍されているとお聞きし、とても嬉しく思いました。

 UiPathは既存システムをRPAでつなぎ、手作業だったラストワンマイルの仕事を自動化しています。少量・複雑・多品種な作業を自動化する日本型のRPAは非常に注目を浴びています。

 それでもRPAだけでは自動化できない領域が存在します。例えば、人が目で見て確認する作業や人が判断する作業などです。

 人が判断する作業の自動化はまさにAIが得意とする領域。頭脳となるAIと手や足となるシステムやデバイスとをRPAがつなげることで、人を日々の現場業務から解放し、ラストワンマイルの自動化が可能と考えています。実際、「AIとRPAの連携で自動化の範囲を広げたい」とお客様からの問い合わせが増えています。

下村:長谷川さんが2017年2月にUiPathの日本法人を立ち上げ、日本発の日本型RPAを世界に発信し始めてから2年半。国内の顧客は約1000社に上るなど、ご活躍の様子を聞くたび、ぜひお会いしたいと思っていました。

 われわれも最近、問い合わせ対応を自動化して効率的に業務をしたいという要望をたくさんいただきます。「BEDORE」(ベドア)は、ディープラーニング(深層学習)と日本語の自然言語処理技術(Natural Language Processing:NLP)を組み合わせた対話エンジン。人が自然に話している言葉を理解した上で処理や回答を実行できます。

 ただ課題もあります。対話エンジンで人とのやり取り自体を自動化、効率化できても、その先のシステムで何かをする場合は人の手による作業が必要です。ここをRPAで補完すれば一連の作業を自動化できると思います。

 例えば、通常パスワードリセットの作業は、システム担当者が依頼者のアカウントを探し、承認手続きをし、ようやくリセットが実行されます。基幹システムと対話エンジンをつないで自動実行する環境を作ろうとすると、ある程度の期間と予算が必要です。

 一方、RPAが対話エンジンと既存システムとを仲介すると、多額のシステム投資をせず、実装作業も数時間程度で上記の自動化環境が作れます。RPAと対話エンジンの親和性は非常に高いのです。

長谷川:AIの精緻なモデルとRPAがつながり、既存システムを使ったビジネスが素早くデジタルサービスに生まれ変わる。非常に大きな可能性を秘めていますね。

RPAとAIが繋がることで自動化の世界は大きく広がる

長谷川:対話エンジン経由で問い合わせた内容をSalesforceやSAPに登録するというシナリオも一つの事例ですが、それだけにはとどまりません。例えば免許証や名刺などの本人確認画像をセキュアに対話エンジンに送り、RPAを介して連携したOCRで画像を読み取る、その読取結果をSalesforceに送り、新規顧客登録をし、完了結果を担当者に返す。さらに別の地域のエリア担当者へ登録があったことを通知する。このようなセールス活動フローの自動化が可能です。このように我々は様々なテクノロジーと組み合わせることで業務の自動化を実現できます。

長谷川:またAI(モデル)を作る側の人たちにもRPAは有効ですよね。データサイエンティストは、分析に必要なロジックを作り上げるよりも、データ収集やクレンジングなどの手作業に70%以上の時間を使っているといわれます。それをUiPathで自動化すれば、データサイエンティストはモデル構築に時間をかけられるようになります。下村さんもデータサイエンティストでしたよね。

下村:はい、私もデータサイエンティストの仕事をしていたので、よく分かります。RPAは、運用のときにも効果的だと思っているんです。

 例えばマーケティングでは、顧客それぞれに最適なアプローチがありますね。それを判断するためには、顧客データベースなど、さまざまな所からユーザーデータを取ってきて、AIのモデルを作ります。しかし実際に運用する際には、さまざまなシステムを統合しないと1個のモデルにつなげられません。すると突然、社内に「5ヵ年プロジェクト」などが立ち上がります(笑)。コストも大きく膨らみ、なかなか前に進めなくなります。

 そこでRPAがユーザーの管理画面からCSV出力してデータを取ったり、他のシステムに入って画面からコピーしたりしてデータを集め、1つのデータセットにしてAIに学習させる形にします。これなら「2時間プロジェクト」くらいで素地ができます。

 ただ、AIや対話エンジンは頭脳なので、手や足が欲しくなるんです。理解したことを手足(各種システム)を使って実行したいと思ってもできません。

長谷川:そこなんです! RPAって人間でいうと脳と手や足をつなぐ「神経系」なんですよね。RPAは決まったことを正確に迅速に自動的に実行します。そこに耳と口である対話エンジン、頭脳であるAIを得ると、RPAは自動化の範囲を飛躍的に広げられる。そうすると人は顧客のためにもっと重要な作業に時間を割くことができる、そういう世界はすぐに実現できます。

下村:確かに実現できますね。その第一歩は、もう踏み出していると思います。

人の働き方が変わる、人生も変わる、日本が変わる

長谷川:RPA×AIの可能性が何かというと、現場の人間を中心にしてイノベーションを起こせることだと私は思うんです。自動化できる作業はRPAとAIに任せ、人間は顧客と話をして、品質の高いサービスを提供するために何が必要かを考える。そのために更に自動化を進化させる。この繰り返しがイノベーションにつながります。

 日本は良いサービスをし、細部にこだわりを持って優れた製品を提供してきました。しかし、ビジネスシーンの多様化で現場作業に忙殺され、日本人は疲弊しています。今、RPAとAIによる自動化で作業負担が軽くなれば、人は「おもてなしの心」と「品質へのこだわり」を再びビジネスシーンに吹き込むことができ、日本のビジネスはサービスの質が高く、生産性も高いものに復活できます。

下村:その通りだと思います。最近、「働き方改革」の文脈の中で、誰でもできることは自動化して、人は本質的な価値を生み出せることに注力したいと言われることが増えています。余った時間でもっと価値あることに挑戦する、あるいは早く帰って家族と過ごす。どちらもできるようになります。これは「人としての生産性」を高めることで、非常に意義のあることではないでしょうか。

長谷川:生産性に関しては、UiPath社内にも課題があります。おかげさまで、我々はこの1年で社員数の伸び以上に圧倒的にお客様の数が増えています。それに比例して技術的な問い合わせなども増えていますが、対応できる社員は限られている。そこでUiPathと対話エンジンやNLPを組み合わせ、自動化をして顧客サービスを高めたいのですが、BEDOREの社内サポートソリューションはどういうものでしょうか?

下村:人間の代わりに質問を受け付け、あらかじめ用意した回答を返します。必要な場合はFAQだけではなく、BEDORE全文検索エンジンと組み合わせることでマニュアルなどの情報を検索しにいき、質問者が一番欲しい情報を届ける仕組みです。

 対話エンジンの回答で質問者に満足してもらえなかった場合は有人のチャットシステムにつなぎます。今やっている業務でしたら、BEDOREが“前さばき”をして、足りない部分をオペレーターが対応することで生産性を上げられるでしょう。

長谷川:素晴らしいですね。今日お話ししたように、UiPathはRPAによる自動化をより実践的なものにするため、AIとの連携を追及していきます。その可能性を示す場として「UiPath AI EXPO ロボットにAI♡を込めて」を7月30日に東京の「ベルサール渋谷」で開催します。BEDOREさんにはUiPathとBEDOREが創り出すデジタルビジネスについて講演していただく予定ですね。こちらも楽しみにしています。

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提供:UiPath株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2019年8月2日

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