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» 2019年09月27日 10時00分 公開

プロトレックスマート初! 心拍計搭載のタフなスマートウォッチ「WSD-F21HR」誕生秘話

[PR/ITmedia]
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 カシオ計算機は、アウトドア用スマートウォッチ「WSD-F21HR」を9月13日に発売した。「PRO TREK Smart」(プロトレックスマート)では初の心拍計測機能付きモデルだ。その狙いや開発の経緯について、商品企画の佐合祐一さん、ハードウェア構造設計を担当した黒川智康さんに聞いた。

ハードウェア構造設計を担当した黒川智康リーダー( 開発本部 時計開発統轄部 リスト機器開発部 第三開発室)と商品企画の佐合祐一さん(開発本部 時計開発統轄部 リスト機器開発部 商品企画室)

 WSD-F21HRは、型番から分かるように2017年発売の「WSD-F20」をベースに心拍計測機能を追加したモデルだ。ただし、GPS機能と連携して現在地やルートを確認できる「ダウンロード地図」は最新の「WSD-F30」と同じ最大5カ所まで保存できるなど、中身は大きく進化している(WSD-F20は1カ所)。

 心拍計測機能を追加した理由について佐合さんは、ユーザーの裾野を広げるためと話す。「PRO TREK Smartオリジナルの『アクティビティ』アプリには、サイクリング、フィッシング、パドルなど多くのメニューを用意しています。そしてWSD-F21HRでは、新たにトレイルランとシティランを加えました」(佐合さん)

「WSD-F21HR」の画面サイズは1.32インチと、今年1月発売の「WSD-F30」(1.2インチ)より若干大きい。価格は5万6000円(税別)

 トレイルランとは、登山道や林道といったTrail(舗装されていない道)を走るアクティビティ。きれいな空気と眺めを楽しみ、変化に富んだ道を走るため人気が高いという。ただし、コースの標高差などによって難易度が変わるなど、初心者には取っつきにくい面もある。

 「上りは特に心拍数が上がりますが、その状態のまま体力を使っていくと後半ガス欠になってしまいます。自分のペースを守るには、心拍ゾーンが高くなり過ぎないようにすることが大事です。また、気持ち良く山を下っていて、分かれ道を見落とすといったこともあります。そんなとき、腕の時計でルートを確認できるのがWSD-F21HRの強みです」(佐合さん)

 心拍ゾーンは、ダイエット(脂肪燃焼)やトレーニングのペース管理に役立つ指標だ。例えば最大心拍数の70%以下に抑えた軽い運動は、トレーニング前のウォームアップや脂肪燃焼に効果的。70%を超えるとややきつめの運動になり、アスリート達は持久力の向上やスタミナ向上など目的によって心拍ゾーンを合わせるという。

 WSD-F21HRでは、新しいウォッチフェイス「ハートレート」を実装し、内蔵の加速度センサーが運動を感知すると自動的に心拍計測を開始する。5段階の色分けされた心拍ゾーン表示は視認性に優れている。

新しいウォッチフェイス「ハートレート」。計測画面(写真=右)では現在の心拍ゾーンの他、1日の最大/最小心拍数、1日のエネルギー消費量などが確認できる

 「手元で心拍ゾーンや地図が見られるのはすごく価値のあること。オーバーペースになると表示とバイブレーションで通知する機能もあります。トレイルランのエキスパートや中級者の方はもちろん、特に初級者、これから挑戦しようという人たちに使ってほしいですね」(佐合さん)

 そんな価値ある機能を提供するWSD-F21HRだが、初めての機能だけに開発は苦労の連続だった。

光学式センサー(心拍計)選びの基準作りから始めた

 まず、初めての試みだけに心拍計測に関するノウハウがなかったと振り返る黒川さん。デバイスとしての光学式センサー(心拍計)は多くのセンサーメーカーが提供しているため、独自の基準を作ってデバイスを選定するところから始めた。

 「一般的なスマートウォッチなどに使われる光学式センサー(心拍計)というのは、心拍数を計測しているわけではありません。肌に緑色のLED光を当てると、血中のヘモグロビンが光の一部を吸収する原理を利用し、反射した光の変化を計測することで脈拍数を計測しており、その脈拍数を心拍数に置き換えています」(黒川さん)

緑色のLED光を当て、反射した光の変化を計測する仕組み

 LED光の反射を利用するため、装着した人によって結果が左右される。「われわれの判断基準は、どのような利用者に対しても高い精度が出せること。多くの被験者を集め、リファレンス(基準)となるスポーツ用途向けの心電式心拍センサーと比較しました」(黒川さん)

 検証の際は、同じ運動を続けるのではなく、走ったり、歩いたりと、運動パターンを変化させながら検証していった。これにより、リファレンスと比較して追従が遅れたりズレがないかなどを見極めながら、センサーを絞り込んでいった。

 ハードウェアだけではない。「運動時に腕を振ると『体動ノイズ』と呼ばれるノイズが発生することがあります。また腕時計と腕の間に隙間ができると余計な外光が入って正確な計測ができないことも。それらを検出して適切にノイズを除去し、いかに精度を出すか。そうした部分にセンサーそれぞれの特徴があります」

 当初、数種類あったセンサーは、メーカーの評価用筐体(きょうたい)を使った検証で絞り込み、さらに「WSD-F20」の筐体を利用したテストで最終的に1機種を選んだ。手間と時間は掛かったが、精度には自信があると黒川さんは話している。

樹脂+金属による軽量な裏ぶたを新開発

 センサー性能を発揮させるために外装にも手を加えた。外光の影響を受けやすいセンサーの精度を保つには腕と密着させることが重要だ。そのためには腕を動かしてもグラグラ動かないよう、時計本体を軽くする必要があった。

 タフネスさが売りのWSD-F20は約92グラムと若干重めだ。「F20の裏ぶたはステンレス製で、重量の2割程度を占めていました。軽量化を図るため、樹脂と金属を組み合わせた裏ぶたを新規に開発しました」。

WSD-F21HR(写真=左)とWSD-F20(写真=右)の裏ぶた

 応力解析ソフトと試作金型を活用して試作を繰り返す。WSD-F21HRでは裏ぶたの中央にLED光を透過させる窓を設けた上で、防水性と軽量化を実現する必要があった。「防水性は確保できるか。たわみ量(剛性)はどの程度か。応力解析ソフトによる検証と試作金型での実測との往復によるカット・アンド・トライで金属と樹脂の比率や形状を決めていきました」

試作した裏ぶたの数々

 中心部には透過と遮光を兼ねた窓(センサー窓)を設けることにした。「当初はセンサー窓に一枚ガラスにすることを検討していましたが、LED光がフォトダイオードに直接入らないように遮光する必要があり、透明樹脂と黒樹脂(遮光)の2色成形に変更しました。その上でセンサー窓と裏ぶたを一体化しています」

センサー窓は透明と黒(遮光)で樹脂を2色成形し、裏ぶたの樹脂部分と接合した

 もう1つ、大きく変更したのがバンドだ。センサーにとって重要なのは肌へ密着させること。そのためにはバンドの伸縮性・屈曲性が重要になる。

バンドも多くの試作品を作って検討した

 「センサーの精度を確保するため、バンドには今まで以上の柔らかさが必要でした。しかし質感が高く強いソフトウレタンを他の素材に変えたくはありません」という黒川さん。ソフトウレタンのまま、バンドを柔らかくすることに挑戦した。

 単純にバンドを薄くすると強度が落ちてしまうため、強度を確保しながらバンドの肉をそぎ落とす必要があった。「いろいろな穴を開け、どこまで断面積を減らしても大丈夫かを見極めようとしました。同時にデザインも見直して頂き、腕に密着するよう金具の穴のピッチを限界まで狭めています」

金具の穴のピッチを限界まで狭めた

 腕にぴったりと本体が密着する、こだわりのバンドができた。こうした部品ごとの素材や構造の工夫により、製品の総重量も従来の92グラムから81グラムへと大幅な減量に成功した。

 紆余曲折はあったものの、信頼性の高いセンサーを適した環境で使えるようにしたWSD-F21HR。新たに追加されたランニングアプリでトレーニングの効率を高め、山野を駆けるアスリート達をサポートする。自身も週末はランニング等を楽しむという黒川さんは、「心拍計測をしたことのない人にも自信を持って『使いやすい』といえるものができました」と笑った。

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提供:カシオ計算機株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2019年10月26日

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