国産サーバーの提供に弾み エフサステクノロジーズ製サーバー群の取り扱いを開始、その狙いは?国内のサーバー流通体制を盤石に

PR/ITmedia
» 2025年06月06日 10時00分 公開
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 クラウドサービスが伸長したことで「所有しないIT」という選択肢が広がった。しかし今、「オンプレミス」が再び脚光を浴びている。DXの推進、AIの活用、仮想化基盤を巡る動向への対応――企業の経営や競争力に直結する領域でオンプレミスが評価されているのだ。オンプレミスのITシステムを使うことでセキュリティや俊敏性を確保し、社内データなどのIT資産を有効活用してビジネスを成長させられる。

 総務省の「令和6年版 情報通信白書」によると、エッジコンピューティングの国内市場規模は2024年に約1兆6000億円に達し、2027年に約2兆3000億円に拡大するという。データセンター内のサーバーやクラウドの仮想サーバーを除く数字で、オンプレミスのサーバーに対する堅調な需要を示している。

 この勢いは生成AIの登場によってさらに加速するだろう。大手のIT企業やメーカーが大規模言語モデル(LLM)を自社開発するなど、事業会社の間でAIの活用が拡大。AIモデルの学習や推論に大きな計算リソースが必要だが、AIに入力する業務情報などの機微なデータは外部に送信できないことから、オンプレミスでAI基盤を構築する動きが活発化している。

 ITのトレンドが移り変わる中、日本企業のビジネスをオンプレミスで支え続けているのが国産サーバー「PRIMERGY」(プライマジー)だ。2000年に登場した“富士通サーバー”の冠ブランドで、現在は同社のハードウェア事業を引き継いだエフサステクノロジーズが製造、販売、導入、展開、運用、保守を手掛けている。

 2024年12月、PRIMERGYをはじめとする“エフサステクノロジーズのハードウェア”を巡って新しい発表があった。SB C&Sとエフサステクノロジーズがディストリビューター契約(取引基本契約)を締結したのだ。ディストリビューターとしての契約は初めてとなる。これは国内のハードウェア市場においてどのような意味を持つのか。両社のトップが出席したSB C&S主催イベント「PRIMERGY Startup Conference 2025」(2025年3月開催)から探る。

photo PRIMERGY Startup Conference 2025の様子

「GPUサーバー市場の成長率を超える」 エフサステクノロジーズ社長の期待

photo エフサステクノロジーズの保田益男氏

 AI市場の拡大を前に、エフサステクノロジーズの保田益男氏(代表取締役社長CEO)は、サーバービジネスの見通しを次のように語る。

 「エフサステクノロジーズは、PRIMERGYを軸にしたAIプラットフォームを提供しています。AI向けのGPUサーバーについては、GPUサーバー市場の成長率を超える勢いで売り上げを伸ばせるように取り組んでいます」

 GPUサーバー市場で攻勢をかけるべく、ハイエンド領域のSuper Micro Computerと協業。多様なAIインフラ要件に応えるためにも生成AI関連のハードウェアソリューションを強化していくと保田氏は説明し、「単なるプロダクト販売ではなく、多様なメニューを取りそろえています。SB C&Sとの協業によってさらに多くのことに取り組みたいと考えています」と続ける。

photo エフサステクノロジーズが取り組むAIインフラビジネス(提供:エフサステクノロジーズ)

富士通グループのハードウェアをワンストップで提供 SB C&Sのバリューとは

 PRIMERGY Startup Conference 2025の参加者の大半を占めたのが、富士通グループの製品を取り扱う販売パートナーだ。これまで販売パートナーは、富士通グループ各社やハードウェア、ソフトウェアベンダーの各社と個別にやりとりをして顧客に製品を提供していた。IT商材の流通を担う“総合商社”ことSB C&Sがディストリビューターとして間に入ることで、富士通グループの製品をSB C&Sが扱えるようになり、販売パートナーにとって効率的な取引が可能になる。

photo SB C&Sの草川和哉氏

 SB C&Sは、ソフトバンクの祖業である流通事業を引き継いでおり、国内ディストリビューターの中でも上位の取扱高を誇る。同社の草川和哉氏(代表取締役社長 兼 CEO)は「富士通パートナー、エフサステクノロジーズ、SB C&Sによるトライアングルで実りのある枠組みにしましょう」と呼びかけた上で、次のように続ける。

 「これまでは外資系企業の製品を提案できても、エフサステクノロジーズ製品は外さざるを得ませんでした。エフサステクノロジーズとのディストリビューター契約によって、サーバーもストレージも富士通製PCもワンストップで提供できます」

 SB C&Sが注力している領域がAIだ。ソフトバンクグループ全体でAIによる産業変革とあらゆる課題の解決を目指している。SB C&Sは、PRIMERGYを使ったオンプレミスのAIシステムとクラウドサービスを適材適所で組み合わせたハイブリッド活用を後押しする構えだ。

 2025年1月には大手ITベンダー12社のトップを集めた「AI共創会議」を主催。エフサステクノロジーズの保田氏も参加して、日本企業のAI活用を促進する方法を本気で語り合った。同会議の様子は以下の記事で詳しく紹介している。

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IT業界のトップランナーが集う「AI共創会議」開催 日本の成長に向けてタッグ
日本をAI後進国にしてはならない――ITソリューションの国内トップランナー企業のトップが語った「日本企業がAIで成長するための勝ち筋」とは。


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「日本企業のAI活用が進まない」はなぜ起こる? 12人の業界リーダーが指摘する真因
日本企業のAI活用を阻む課題や障壁は何か、それらを解消するポイントは。ITソリューションの国内トップランナー企業のトップが語った。


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日本企業のAI活用に「共創」アプローチが効果的な理由
AI活用は1社単独のソリューションで実現できるものではない――国内企業のさまざまな課題に向き合うためにはAIビジネスに携わる企業によるコラボレーションが必要だ。企業同士のさらなる“共創”を目指すアプローチとは。


「商談化した案件が5倍に」 AIの波に乗るエフサステクノロジーズの製品群

photo エフサステクノロジーズの小林丈博氏

 エフサステクノロジーズの小林丈博氏(チャネルセールス本部 本部長)は、オンプレミスのAIに対するニーズが高まっているとして「お客さまからの相談件数が増加しており、商談化した案件が5倍になりました」と明かす。

 “オンプレAI”の波を逃すまいとエフサステクノロジーズが開発したソリューションが「Private AI Platform on PRIMERGY」(以下、PAPP)だ。PRIMERGYをベースにしたオンプレミスのAI基盤で、OSやLLM、操作インタフェース(WebGUI)をインストールして提供する。導入後すぐにAIを利用できる点がポイントだ。インターネットに接続しなくても対話型AIを利用できる他、顧客が用意したドキュメントや辞書データを使った検索拡張生成(RAG:Retrieval-Augmented Generation)に対応。AIのビジネス利用をバックアップする。

 「PAPPは複数のモデルを用意しています。タワー型でデスクトップPCのように使えるVerySmallモデルは400万円台から提供。Smallモデルは5年間の保守を含めて800万円台です。最上位モデルは1億円を超えますが、高性能GPU『NVIDIA HGX H100』を搭載できるのでパフォーマンスを求める場合はこちらをお薦めします」

 製造業からの引き合いが中心で、ネットワーク環境が安定しない工場で使うケースが多いという。データを外部に出せない医療、行政、金融の領域でも導入が広がっている。小林氏は「関心が高いPAPPをビジネスの契機にしてください」と販売パートナーに呼びかける。

photo オンプレAIの顧客ニーズを踏まえたエフサステクノロジーズの取り組み(提供:エフサステクノロジーズ)

分散型インフラで「GPUの無駄」を削減する技術

 AI利用が拡大する裏で、ハードウェアリソースの確保が難しくなっている。従来はワークロードが増えるたびにGPU搭載サーバーを増強していたが、それでは作業時間や導入コストがかさんでしまう。「AIモデルの学習には大量のGPUが必要だが、推論は少量で足りる」など用途や時期によって必要な量が変わるため、ハードウェアリソースが休眠している期間があるなど効率が悪い。

 この課題を解決するため、エフサステクノロジーズは「PRIMERGY CDI」というソリューションを開発。GPUやストレージなどのリソースを1カ所に集積しておき、必要に応じて各サーバーに割り当てられる分散型インフラ(CDI:Composable Disaggregated Infrastructure)を実現することで、限られたリソースを組み合わせて最適化できる。AIの学習時にはGPUリソースを集中的に割り当てて、それ以外の時間は各サーバーに配備するなどクラウドの柔軟性をハードウェアで再現可能な技術だ。スーパーコンピュータを手掛けた際の知見を生かしている。

 SB C&Sと共同検証を実施している他、トライアル環境を東京の「Fujitsu Solution Square」に用意している。

仮想化環境の移行先はNutanixが現実解

 「AIに次ぐ喫緊の課題は、VMwareが買収されたことで仮想化ソフトウェアのライセンス体系が変更されたことです。費用の高騰や継続利用に対して不安を抱き、2024年度は保守を延長して様子を見たお客さまが多くいらっしゃいました。移行する場合は、扱いやすいNutanixも選択肢になります」(小林氏)

 Nutanixは小規模ライセンスを用意しているので、小さな仮想化環境の移行に使いやすいという特長がある。ハイパーバイザー製品は数あるが、小規模で運用ツールも充実している商品の選択肢は少ないためNutanixが現実解だと小林氏は解説する。

 PRIMERGYの「XFシリーズ」はNutanixの認定を受けており、工場でハイパーバイザーをインストールしてから出荷可能だ。ストレージやネットワーク機器などを統合したHCI(ハイパーコンバージドインフラ)として「PRIMEFLEX for Nutanix XFシリーズ」を用意しており、素早い導入とシンプルな管理を支援している。

AIも仮想環境も SB C&Sの支援体制は

photo SB C&Sの本美洋平氏

 「エフサステクノロジーズとの協業によって大きな武器ができました。サーバー、ストレージ、AI、仮想基盤というカテゴリーにエフサステクノロジーズが加わったのです」――こう話すのは、SB C&Sのプロダクト戦略を担う本美洋平氏(ICT事業本部 システム基盤推進本部 本部長)だ。

 協業を発表した2024年12月から翌年3月までの間に全国の多くのパートナー企業から問い合わせが寄せられ、それに伴い案件のパイプラインが大幅に増加したと本美氏は明かす。富士通グループのハードウェアをSB C&Sがワンストップで扱えるようになったことに対する期待の大きさを示す数字だ。

 2024年度にSB C&Sが取り扱った事業のうち、サーバーなどのプラットフォーム事業が大きな割合を占めている。ここに、PCなどのエンドポイントデバイス事業を合わせた領域がSB C&Sのビジネスの主要な柱となっている。もともと富士通のPCを取り扱っていたところに、エフサステクノロジーズと協業したことでPRIMERGYやストレージ製品「ETERNUS」(エターナス)も販売パートナーに提供できるようになった。

 豊富なラインアップをエンドユーザーに適切に届けるには、販売パートナーとの連携が欠かせない。SB C&Sの専任営業がパートナーに伴走し、エンドユーザーの用途に合わせたITシステムの推奨構成を提案。ベンダーとの距離の近さを生かして製品情報や技術トレンドをいち早くキャッチアップし、検証や比較をした上でパートナー企業に提供するなど、パートナー企業を全力で支える体制を整えている。

 提案を強化しているAI領域については「AIアラウンド戦略」の下で、ハードウェアやソフトウェア、セキュリティなどAIを取り巻くITインフラをワンストップで提供する。AIインフラ専任チームを設置しており、提案支援、技術支援、セミナーの開催など幅広く活動している。検証用の評価機を貸し出すサービスも行っており、エフサステクノロジーズ製品も用意している。

 相談が増加している仮想化環境に関しても専任チームを組んで対応。2017年に始めたNutanix関連のビジネスが急成長しており、2023年度から2024年度にかけて見積件数が約450%、成約件数が約160%伸長した。Nutanixの認定プログラム「Nutanix Technology Champion」に選ばれたSB C&Sのエンジニア4人を含むチーム一丸となって販売パートナーの提案を支援すると本美氏は力を込める。

「ハードウェア1つ、ケーブル1本でもお問い合わせを」

photo SB C&Sの諸留勇氏

 SB C&Sの諸留勇氏(執行役員 東日本営業本部)は「PRIMERGY Startup Conference 2025で伝えたかったのは、エフサステクノロジーズとの協業によって富士通ハードウェアをワンストップで提供できるようになったことです」とした上で、「ハードウェア1つ、ケーブル1本でも問い合わせていただき、共にビジネスを始めましょう」と呼びかける。

photo SB C&Sの永谷博規氏

 SB C&Sの永谷博規氏(取締役 専務執行役員 兼 ICT事業本部長)は「40年かけて法人向けディストリビューションビジネスを拡大してきました。富士通グループ製品を皮切りに、国内ベンダー製品の取り扱いをさらに増やしていきます」と話す。

 SB C&Sは「繋ぐ」というキーワードを掲げてビジネスを推進している。エフサステクノロジーズとの協業もその一部だ。永谷氏は「SB C&Sとベンダー、ベンダーとパートナー、パートナー同士などさまざまなつながりを生み出して、一緒に中長期的に取り組んでいきましょう」と結ぶ。

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