wikiを使った「Web向けLotus Notes」に大きな関心
wikiをメインストリームにし、アプリケーション開発プラットフォームに変えようとしているシリコンバレーの新興企業の製品のβ版に、かなりの関心が集まっている。
米カリフォルニア州パロアルトに本拠を置くJotSpotの無料βテストアカウントには、大小合わせて3000社近くの企業が登録した。「予想をはるかに上回る数で、この分野に本当に関心が持たれていることを示している」と話すのは、3週間前に正式に立ち上げられたJotSpotのジョー・クラウスCEO(最高経営責任者)。
「wiki」は「quick(敏速な)」という意味のハワイ語で、シンプルなブラウザベースのインタフェースを使ってアクセス・改変できるWebサイトを表している。テクノロジー通の間で特に人気があり、おそらく最も知られているwikiは、数千人が編集に協力しているオンライン百科辞典「Wikipedia」だろう。
JotSpotは、初心者でも使えるWYSIWYGエディタを提供することで、wikiをもっと取っつきやすくしようとしている。またコラボレーションツールとしてのwikiの有用性を高めようと、それぞれのwikiページに電子メールアドレスを割り当て、ユーザーが各ページに寄せられる電子メールメッセージを管理できるようにしている。
有用性と使い易さの向上に加えて、JotSpotはwikiを、簡単なプロジェクト管理、トラブルシューティング、求人業務などのタスクを実行するWebベースアプリケーションに変えている。同社は、ユーザーがwikiページを改変するのと同じように変更できる既成アプリケーションを幾つか提供している。
「現在のwiki分野は、1993年当時のインターネットのようだと感じた。私に言わせればここはオタクの世界であり、有用だが限定された人々のためだけの分野だ。だがwikiはもっと幅広いユーザーに有益なものだと当社は考えている」とクラウス氏。wikiはドキュメントだけに関連するものでなく、アプリケーションにも関連するものであるべきだと同氏は言い添えた。
JotSpotはまだ初期の段階にあるが、今後コラボレーションツールのニーズが高まるにつれて、いずれこうしたwikiの拡張版はIBMやMicrosoftなど大手企業のコラボレーションツールに対抗するようになるかもしれないとBurton Groupのアナリスト、ピーター・オケリー氏は予測する。
「JotSpotは組織で採用されるようになり、現在使われているほかのコラボレーション製品に置き換えられるだろう。最終的に、IBMの『Lotus Notes』やMicrosoftの『SharePoint』といった重鎮との競争になるだろうし、コンテンツ・文書管理ベンダーともある程度競合するかもしれない」(同氏)
JotSpotの製品は「Web向けLotus Notes」と呼ばれており、かつてLotusに勤めた経験を持つオケリー氏もこの見方に同意する。同氏はJotSpotについて「Notesと同じようなドキュメント指向アプリケーションを実行できるし、もちろん、ドキュメントベースのワークフローや情報収集のようなタスクも実行する」と説明している。
JotSpotの早期利用者は、ホスティングサービスとして提供されている同製品をさまざまな用途に使っている。JotSpotのwikiサービスを用いてコールセンターアプリケーションを走らせている顧客もあれば、地元や遠隔地にいる同僚と共同作業を行うためのWeb空間として利用している顧客もいる。
Accretive Solutions傘下にあるDickson Allanデトロイト事務所で上席コンサルタントを務めるニッキ・ビーバー氏は、JotSpotno技術を使って、デトロイトにいる140人の同僚と別部門Horn Murdock Coleの同僚で使うためのイントラネットサイトを立ち上げようとしている。ビーバー氏は、JotSpotがDickson Allanのカリフォルニア事務所の顧客だったことから同社のことを知ったという。
「現在、電子メールと音声メール以外に(同僚との)通信手段がなく、JotSpotでイントラネットを立ち上げているところだ」と同氏。
ビーバー氏は、JotSpotのシンプルな点とコストが安い点を気に入っている。「エディタがそのままツールに内蔵されているので、新しいソフトや特別なトレーニングの必要なく、Webサイトを切り分けて複数の人々に管理作業を割り当てることができる」と言う。JotSpotを使っていなかったら、Web開発者を新たに採用しなければならなかっただろうと同氏は語っている。
ビーバー氏によれば、Dickson AllanではJotSpotの将来的な用途として、wikiのオリジナルコンセプトである自由形式のWebコラボレーション空間の創造や、連絡先管理や求人業務といったシンプルなアプリケーションを検討している。
Burton Groupのオケリー氏は、wikiの人気は予想以上に高く、「多くの人々がwikiを共同作業向けワークスペース指向ツールとして使っている」と話している。ただしJotSpotのクラウス氏によれば、wikiは大企業のCIO(最高情報担当者)がサポートを呼びかける類の技術ではないというう。
「一般に、wikiはボトムアップ型のテクノロジー。まずワークグループレベルで導入され、次第に広まっていく傾向にある」と同氏。このことはJotSpot β版の登録状況にも反映されているようだ。「(登録者は)Fortune 500社に掲載される大手企業のCIOたちではなく、例えばワークグループリーダーといった人たちだ」(クラウス氏)
JotSpotは、ベンチャーキャピタルのMayfieldとRedpoint Venturesから520万ドルの出資を受けているほか、CEOのクラウス氏とCTO(最高技術責任者)兼共同創設者のグラハム・スペンサー氏などが同社に出資している。両氏は検索エンジンExcite.comの共同創設者だ。
なおJotSpotでは現在もβ版の登録を受け付けている。
Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
グッスマ、顧客の2800人のカード番号全16桁+セキュリティコードなど流出か 下4桁は40万枚分
-
2
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
3
楽天カード、本人認証をワンタイムパスワードに統一 27年2月から順次
-
4
「PayPay連携の銀行から、お金全部盗られた」被害報告……原因と対策は? PayPayに聞いた
-
5
松屋の公式アプリとWebサイトが停止 不正アクセスを検知、モバイルオーダーや弁当予約も使えず
-
6
ベネフィット・ワンの委託先に不正アクセス セゾン会員向け優待サービスで約2.9万人分の個人情報漏えい
-
7
NEC、委託先の情報漏えいで謝罪 「セキュリティ事業を手掛ける企業として反省」
-
8
ANAの予約情報に不正アクセス、JALと同じ委託先経由で 個人情報をのぞき見た痕跡も
-
9
不正アクセスによる漏えい人数、半年余りでのべ2億6000万人に 日本人口の2倍超
-
10
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR