ニュース
Verizon、より高速なP2Pシステムの研究成果を発表
従来のP2P技術と異なり、新システムでは物理的な位置や転送コストを考慮してデータ転送を行うため、ダウンロード速度を平均で約60%改善できるとしている。
米Verizonは3月14日、大容量ファイルをより高速に送信できる新しいP2Pファイル転送システムの研究結果を発表した。
この研究は、同社が米エール大学やコンテンツ共有企業などと共同で行っているもの。従来のP2P技術では、ユーザーがあるファイルのダウンロードをリクエストした際、ネットワーク上のどのファイルをダウンロードするかは、物理的な位置などを考慮せずにランダムに選ばれる。これに対し、エール大学とPando Networksが開発した新ソフトと、Verizonのネットワークを使った新システムでは、最も低コストで、高速に配信できるデータソースを選択する。
今回のテストでは、ダウンロード速度を平均で約60%改善できるほか、Verizonの光ファイバー通信サービスFiOSのユーザーに対しては、最大6倍のダウンロード速度を提供できるとの結果が出たという。また、将来的には、P2Pネットワーキング配信コストを約50%低減できる見通しだという。
P2Pは、いまやインターネットトラフィックの半分以上を占めるとされており、違法ファイル共有手段としてだけでなく、テレビ局や映画会社、ソフトウェア企業などによる合法的な配信手段としての利用も増えている。
関連記事
- EUも支援、「合法P2P」プロジェクトが始動
「P2P-Next」では、欧州全体に合法的な次世代P2Pインターネットテレビ配信システムを構築することを目指す。 - 米大手ISP、P2Pトラフィック規制で訴えられる
Comcastが一部トラフィックを遅延させている行為が契約違反に当たるとして、加入者が訴訟を起こした。ネットワーク中立性の観点からも苦情が訴えられている。 - 「P2P活用を」「ヘビーユーザーの帯域制御OK」――総務省懇談会、ネット混雑緩和へ提言
ネットトラフィックが急拡大している現状に対応すべく、総務省の懇談会がまとめた報告書案では、P2P技術の積極的な活用を提言しているほか、トラフィックを圧迫する一部ヘビーユーザーに対する一時的な帯域制御は容認される――などとしている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.