Google法務責任者が語る、「ストリートビュー」のプライバシー問題
「既存の法規制に合わない新サービスには法的リスクやクレームが付きものだが、Googleは世界中の法律や文化を尊重している」――米Google副社長で法務責任者のケント・ウォーカー氏が来日して都内で会見し、同社のプライバシー問題に関する取り組みについて語った。
記者からの質問は「Googleマップ」の「ストリートビュー」問題に集中。ウォーカー氏は「まだ始まったばかりのサービスでさまざまなクレームがあるが、ユーザーの意見を反映して改善していきたい」と話した。
ストリートビューは、車に搭載した360度カメラで撮影した主要都市の街路の詳細な画像を、Googleマップから閲覧できるというもの。米国で5月にスタートし、日本では8月に始まった。
Googleは公道をパブリックな空間ととらえ、ストリートビューの写真は「公道から撮影したため問題ないはず」としているが、住宅の表札まで写っていたり、道を歩く人や車のナンバーが写り込んでいることもあり、「プライバシーや肖像権を侵害しているのでは」と指摘されてきた。
プライバシー対策としてGoogleは、画像認識技術を使って人の顔と車のナンバーに自動でぼかしを入れている。「Googleは社会的な問題を、技術で解決しようとしている」とウォーカー氏は強調しつつ「技術は完璧ではなく、例えば馬の顔をぼかしてしまうこともある」と認める。
不適切な写真が公開されている場合は、ユーザーが同社に通知すれば削除する仕組みも備えた。「技術のコントロールは、ユーザーにゆだねている」
ストリートビューでもYouTubeでも、新しいネットサービスにはリスクが付きものだ、とウォーカー氏は話す。「法務的に問題ないと判断した上でサービスを始めているが、既存の法規制に合わない新しいサービスにはいろいろなクレームが付くもの。すべてを事前に想定できるわけではない」
ユーザーのフィードバックを受けながら社会的に受けいれられるよう調整し、今後もストリートビューの展開地域を広げていきたいという。「ネットサービスは運営しながら調整できるのがメリット。ユーザーにとって便利なサービスなら、問題を解決するための道筋は見つかるはずだ。日本のユーザーからの意見を聞きながら、日本独特のニーズにも対応し、よりよいものにしていきたい」
会見での主な一問一答は以下の通り。
――ストリートビューの画像を撮影する車には「街路撮影中」などとは書かれておらず、知らないうちに撮影されてしまう。プライバシーを重視するならば、もっと分かりやすく「撮影中」と示した方がいいのではないか。
興味深い意見だが、われわれはオプトアウト(撮影・公開した後、問題があれば通知してもらい、削除する)の方がより重要で効率的な方法だと思っている。車に「撮影中」と書いてあっても、外出中に自宅が撮影されてしまったら意味がない。
新しいサービスにはいろいろなクレームが付くもので、問題が事前にすべて分かるわけではない。最初の飛行機が飛んだとき、家の上空を飛んだ場合に不法侵入になるのか問題になったが、航路上空のすべての家に導入するのは現実的ではない。ユーザーにコントロールを渡すのがベストだろう。
――日本の家の塀は低く、車載カメラ位置が高すぎて家の中まで見えてしまうという批判もある。
カメラ位置を低くするという選択肢もあるが、そうした場合は人の顔がより多く写ってしまう恐れもある。
――車のナンバープレートや顔にはグローバルでぼかしが入っているが、日本では、表札が写っていることが問題になっている。
表札をどうするかは検討中だ。各国の文化やプライバシー意識に合わせて対応を考えていく。
――公道からしか写していないと言っているが、私道から写した画像があると指摘されている。
撮影車のドライバーは公道しか通らないようトレーニングしているが、地図上で公道と私道の区別が分からないところもある。ミスで私道に入ってしまった場合は申告してもらえれば削除する。Googleマップにも、ユーザーが私道の情報を追加してほしい。
地元の法律で侵入を禁止されていたり、軍事施設や水処理施設などセンシティブなエリアには入っていない。
――個人的に削除依頼をしたが、対応するという通知も、削除したという通知もない。
できるだけ早く削除・通知するよう心がけているが、改善を検討したい。
――削除依頼はネットでしか受け付けていないようだが、ネットを利用しない人についてはどう考えているのか。
知り合いのネットユーザーが代理で依頼してくれてもいいし、電話でも受け付けている。
Googleは検索サービスが人気を集めて10年で急激に大きくなった会社。より多くのサービスを展開しようと思えば、システムの多くは自動化し、オンラインサービスという形を取らざるを得ない。
――サイト上には受け付け電話番号が載っていない。
代表番号で受け付けており、専用番号はない。改善を検討する。
――これまでに削除依頼があった数は。
日本国内はまだ始まったばかりで把握していない。米国ではスタートから1カ月で数百件だけだった。
――カナダではプライバシー問題でサービスインが遅れているようだが。
かなり前の段階からカナダ政府の関係者と話し合っているが、サービスインが遅くなっているのはそのせいというよりは、カナダの国土が広大で撮影に手間取っているせいだ。
――ストリートビューのプライバシー問題で訴訟に発展した例はあるか。
米国で1件、私道と知らずに通って家を撮影してしまい、削除したケースで、家を撮影されて精神的苦痛を受けたとして、賠償を求める訴訟が起きている。だが写っていた家は今売りに出されており、写真をネットで閲覧できる。一体何が問題だったのだろうか。
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